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お散歩する、その風景

ドイツ人は歩くことが好きです。何かと歩きに行こう!と目的なく、ぐるぐると歩きにいくことに誘われます。「散歩する=spazielen gehen」とドイツ語の初級教科書で最初の方に習う動詞であるくらい、ドイツ人にとっては散歩・歩くことが好きらしいです。

フランクフルトは平らな道が多く、中心街までも難なく歩いていくことができます。ついつい日本の感覚で電車(U-Bahnという地下鉄)に乗って、サクサク移動してしまうことが多いのですが、最近は歩いて移動することが多くあります。
友人と一緒に家からクリスマスマーケットに歩いて行ったことがきっかけで、今まで点と点だったフランクフルトの地図が繋がり、より街の構造を理解することができたことで、ちょっと歩いて出かけようか?と言えるようになりました。
私は音大からゼメスターチケットと言って、フランクフルト市内の電車は全て乗れるいわゆる定期券を持っているのですが、クリスマス時期に遊びにきてくれている妹は電車チケットがありません。そして案外電車賃がじわじわと高いので(片道3.40ユーロ、1日チケットは6.60ユーロくらい)歩いて行けるのであれば健康にもお財布にも優しい。
ということで、妹がフランクフルトに滞在している間は徒歩移動が基本になりました。

よし、街まで歩こうか。そう言って30-40分くらい、他愛のない話から将来の真面目な話、いい人いないの!?という恋愛話まで。前を向いて横並びに歩いているからこそ話せる、そして日本語を話す人がいないから話せる話題を延々と歩きながら。通りかかった人のマフラーが素敵だったり、新しいカフェを見つけたり、何屋さんなのかなあと見るもの全てが話題。おしゃべりすること、同じ時間を共有することがお散歩の醍醐味だなあと思います。

日本ではついつい「早く、速く、次の予定へ」と慌ただしさだったり、鮮度が命!かのように時間が過ぎ去っている感覚がありました。電車の時間は常に正確で乱れのない交通機関や規則正しさによって成り立つ生活の日本の時間の流れと、あと何分で電車が来る”でしょう”、やっぱりキャンセルで〜すというような、テキトウでいい加減なドイツの交通事情や細かい部分と大雑把な部分が混在しているドイツの時間の流れは体感が違います。日の長さや光加減もきっと影響していると思いますし、根本的な文化の違いや土地の違いもあると思うのですが、「時間の流れ」に大きな違いを感じます。
実際に私も、日本とヨーロッパを往復している生活をしていたときには時間の流れが物理的に違うのでは!?と思うくらい、生活リズムや自分の歩くスピードや予定の入れ方が違っていました。
「お散歩する」これも、日本だと時間を持て余している人、暇な人、と思われるかもしれませんが、ドイツではお散歩することに目的を見出しているようで、老若男女問わずみんな歩きます。素敵な老夫婦が連れ添って歩いていたり、学生が議論しながら歩いていたり、はたまたランニングしていたり。「歩く」ことでクリエイティブなことを生み出す、またコミュニケーションをとる、歩くことが目的ではなく、その先にあることが目的になっているのかなあと、私も実際に歩く・お散歩するということを始めてから考え始めたことでした。
お散歩が好きなドイツ人、ではなくてお散歩は副産物で別に目的があるだけでその手段がたまたま歩くこと・お散歩なのか!?と複雑に考えてみたり。笑

ちょっと散歩に行かない?そんな風に颯爽と歩くことを誘えるような余裕のある人間になりたいなあ、そんなことも思います。

Bis dann ;)

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