note版 哲学ダイアグノーシス 第十二号 アウグスティヌス
<note版>
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<哲学ダイアグノーシス>
第十二号 アウグスティヌス
グローバルなビジネスで成功を収めた欧米の大富豪たちは、私たち日本人の感覚からするとけた違いの寄付などをすることがよくあります。たとえばビル・ゲイツは2005年に「ワクチンと予防接種のための世界同盟」に7億5000万ドルの寄付をしましたが、これは民間からの寄付としては最大規模だそうです。ビル・ゲイツはその後、2008年に「ビル&メリンダ・ゲイツ財団 (B&MGF)」を設立し、途上国に対して寄付を続けることを表明しています。また、最近では今年の5月に、アメリカの投資家であるロバート・F・スミスが、ジョージア州アトランタの大学卒業式で、約400人の卒業生全員の学費ローンを全額肩代わりすると発表しました。その額は少なくとも1000万ドルには達するとのことで、日本でも話題になりました。
欧米の大富豪たちはなぜこのようなことをするのでしょうか。「偽善」だとか「売名」だとか考える方もいらっしゃるかもしれません。確かに彼らの動機を、そのようにいわゆる性悪説的に(笑)考えると理解できるような気もしますね。
しかし、そうではないのです。彼らは、私たち日本人には理解できない、さらには、彼ら自身も気づいてはいないかもしれない、ある高潔な動機や使命感といったものにもとづいて、このように、いわば善行を積んでいるのです。今回は、そういったことについてのお話です。
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