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【取材記事】愚直に向き合うことで生まれた「育てるって楽しい」|農家 松浦史昌

「おいしいものづくりの背景に触れる」をテーマに、福島県・国見町近隣で活躍している人たちから、仕事内容やこだわり、大切にしている価値観について話を伺います。

今回は、2022年12月に開催した「農園の写真展」で取り上げた国見町の農家さんをご紹介します。

前回の阿部郁さんのお話に引き続き、第2弾!今回は松浦果樹園の松浦史昌さんにお話を聞いてみました。

松浦果樹園 松浦 史昌 Fumiaki Matsuura

福島県国見町出身。大学進学で上京し、そのまま首都圏の不動産会社に就職。もともと実家を継ぐつもりはなかったが、コロナ禍で考え直すきっかけがあり2020年春に就農。桃を中心にりんごやあんぽ柿を生産されています。阿部郁さんとは1個下の後輩で中学校は同じ野球部だったとか...

お話を聞かせていただいた時期は、ちょうどあんぽ柿が生産されている11月中旬。実は、福島が発祥のあんぽ柿。渋柿を硫黄で燻蒸してから乾燥させてつくるあんぽ柿は、なんとも絶品です。色は美しいオレンジ色で、半生のジューシーな味わいが特長です。粒が大きい蜂屋柿のあんぽ柿は、しっかり乾燥した表皮ととろっとした果肉の食感をより楽しめます!

では早速、松浦さんに話を聞いてみましょう。

ー松浦さんはこの時期、どんな1日を過ごしていますか?

 1日のルーティーンですか。あんぽ柿の時期は、朝がそんなに早くないんだよ(笑)大体8時くらいからかな。この時期だと、霜が降りるときは外へ取りに行かないんだ。反対に、霜が降りていないときは、8時から皮むきをして、途中で休憩して、暖かくなってきたら外へ柿を取りに行く。で、午後は戻ってきて皮むきをする。その繰り返しだね。

 大体それを21時くらいまでやっているかな。日によっては硫黄で蒸す作業もやるんだ。ある程度皮むきをした柿が溜まったら、30分間燻す。大体1回で600個くらいかな。その後は柿を干していく。この作業を繰り返しやっていくだけだよ。シンプルだよね(笑)

収穫した渋柿のヘタを切り落としている様子
ヘタを落としたあとは皮をむきます

ー農家になる前は何をされていたんですか?

 実は、東京の某不動産会社で飛び込み営業をしていたんだ。結構大変だったよ(笑)大学を出て新卒就職。まだまだ社会を知らない私にとっては、すべてが新しいことで思うように心が追いつかないことも多かったんだ。そのときは日々もがきながら過ごしていたんだなと振り返って思うよ。でも、今思うとあの時間も今の私にとっては社会を知るいい経験だったな。

ー大変だった社会人から農家へ転職して3年目、何か変化などありましたか?

 いや、なんだか3年目から楽しくなってきている感覚はありますね。やり方も学んで、段々とどうすればいいのかが分かってくる。農家に転職した3年目の今年が、いちばん充実した感じがしますもん。まずは3年やんないとなと思ったよ。
 
 ここだけの話、去年まで自分は戦力だと思ってなかったから、お金ももらっていないですしね(笑)なんだかんだありましたけど、でも本当に今年がいちばん楽しかったですよ。やっぱり桃の木オーナー制度を通して、たくさんの方と出会うことができたことが大きかったですね。そのおかげで自分ひとりでやっているときも楽しかったです。

桃の木オーナー制度を通して、オーナーさんと談笑されている松浦さん

 実は、農家になりたての最初の2年間は体力がなくて、途中で体調を崩してしまったりして、収穫を最初から最後までぜんぶ付き合えたのが今年で初めてなんです。楽しさと同時に、自分の体力も追いついてきたんだよね。やっぱり石の上にも3年という言葉があるとおりだなって思って。本当にようやくおもしろくなってきました。今後も頑張っていきたいと思います!これからもよろしくね。

「農園の写真展」にてオーナーさんと一緒に1年の振り返り

今回は松浦史昌さんにお話をお伺いしました。
一度は国見町を離れ、首都圏の一般企業に就職をした松浦史昌さん。実家を継ぐという大きな選択をし、慣れない農作業にも、愚直に向き合う中で生まれた一筋の光。「3年目にしてようやく農業が面白くなってきた」と、自信に満ちた表情でおっしゃっていたことが非常に印象的でした。美味しいものができるまでには、1人1人の隠れたストーリーがあること。忘れずに生きていきたいです。


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■参考:オーナー制度の楽しみ方7つ!




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