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感情は体から生まれるのか?

私たちの体はなぜ不調を感じるのだろうか?

私が幸福と感じるのはなぜだろうか?

私が不快と感じるのはなぜだろうか?

快や不快はどこからきているのか?

人は不快を嫌うが、そもそも不快は嫌うべきものなのだろうか?


お客様に説明をするときに、私は、「基本、私たちの体に起こっていること、私たちの感情も含めて、私たちの脳がその反応を起こしている。」というお話をします(もちろん最初からそんな難しい話をするのではなく、会話の中で少しずつ体と感覚と脳の仕組みの話を加えていきます)


例えば、温かい部屋から、0度の外気の外に出たとき、私たちの体は「ぶるぶるっ」って体を揺らして、それによって「寒っ!」ってつぶやきます。


触覚(皮膚)が温度変化を感じ(感覚刺激:Sensation)、脳がそれを受け取り(知覚:Perception)、身体の内部がぎゅっとなるのを感じ(情動:Emotion)、体内の恒常性(ホメオスタシス)を保つために、交感神経を優位にして体内の温度を維持する活動の一つとして、「ぶるぶるっ」と筋肉が収縮を起こし、その反応を「寒い」(Feeling:感情)というものとして私たちはとらえている。

Dr. Antonio Damasioによると「感情は、生物に自分自身の生命の体験を与える」と説明しています。

「ぶるぶるっ→寒っ」は我々に生命の体験を与えてくれている。
そしてその「寒っ」も、個々に異なる(雪山なのか、海から泳いで浜に上がったときに浴びた風なのか、、、それによってもすべて生命の体験が変わる訳である)


さらに「感情は、「自己」の創造に貢献する重要な要素だ。自己とは、その生物の状態によって命を吹き込まれ、身体という枠組み(筋骨格構造から成る枠組み)の内部に固定されていて、視覚や聴覚といった感覚系が提供する視点によって方向づけられる心的プロセスのことだ。」と述べています。(「ダマシオ教授の教養としての意識」参照)


上の文章を図式にすると以下のようになるのだと思う。



心と意識については、以前に書いているのでそちらをご覧ください。それも少し前の話なので、そこからさらに情報はアップデートされているとは思いますが、大筋理解できるかなぁ、、、と。


著書の中で、Dr. Damasioは、人間にとって大事な3段階は、① 存在する(Being)、② 感じる(Feeling)、③ 認識する(Knowing)と言っている。


自分を自分として認識するためには、存在し、感じることが前提として存在している。


それらの過程で現在自分が感じているもの、自分の体の状態は、私たちの脳神経系が「恒常性」を保つために起こした反応であり、かつそれらがおそらく自律神経系と密接な関係をもって起こっているから、様々なアプローチの基盤として自律神経系(ポリヴェーガル・迷走神経系)を知る必要があるのではないかと思っている。


これまで多くの方の体をみさせていただいてきた。

身体に不調を感じている人、身体が不快な反応をしている人(身体は不快な反応をしていても、本人がそれを認識しているとは限らない)、の多くが、自分の体の枠組み(筋骨格系)が明確でない人が多い。

それはもちろん外界との関係性(対象物は何メートル先にあるのか、隣の人との距離、など)、自分の体の中での適応(床が傾いていることに対して、頭の位置を維持しながらバランスをとる、自分が前に動いているのかどのくらいのスピードで動いているのか、動くことが環境内で問題なく動けるのか、など)も重要なポイントになるが、それらを体が理解するうえでも、自分の体の枠組みである骨格をしっかりと認識する、独立して動かす、一緒に動かす、関係性をもって動かすことが重要で、動きは人間にとって、BeingとFeelingとKnowingを通して、貴重な体験としての「自分自身の生命の体験を与え」、その先に「自己を知る」「自己認識」があるのではないかと思っている。


身体を知ることは、自分を知ること。

体を動かすことは、感情を動かすこと。

知覚とそこから起こる感情が心を彩ってくれる。


ホメオスタシスそして自律神経系の適応という観点から、なにか一つ動作教育の身体的、心身的アプローチが作れそうな気もするのだが、まだまだ削っていく必要がありそうだな、、、と思った今日。


今年も、こんな感じで思いついたときに、頭の中を文章に落とし込んでいきましょうかね。何が正解かはわからないけど、答えは相手の中にある。


参照 ダマシオ教授の教養としての意識(ダイヤモンド社)
(英語が読める方は、英文で読んだほうがいいかもしれません。日本語訳が若干複雑なので、、、私も英語と日本語の両方を読み比べております、、、。「Feeling and Knowing Making Minds Conscious」)

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