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動きが生み出す意識の考え方

世の中には様々な職業がある。

世の中には様々な役割がある。

今、私も私が出会った職業、そして役割を生きている。

誰もがこの世に生まれ、その瞬間から明日の何かのために歩みを進めている。


「動きを通した人間形成のお手伝い」

「動作教育」

こういった言葉を軸にここまで進んできた。

そこに気持ちを置いてここまできたのは、世間一般にあった、健康や幸せの定義に違和感があったから。


昔は、健康とは体か心か。
そしてその二つは切り離されて話されることが多かった。

心が病むのは、心が弱いから。
やる気がないのはその人の心に問題があるから。
その人が成功したのは心が強いから。


出てきた現象、結果に視点を置くけど、なぜその結果になったのか、どんな要素で心が病み、やる気が出なくなったことや成功したその前の段階での要素はあまり語られてこなかった。


出力ベース
そしてAがBを作り出すという直線的な考えかた。(因果関係)


HealthやFitnessという一側面で人をみる世界から、時代はうつりかわり、Wellness、Whole healthという言葉が語られるようになってきた。


心が病むのは、あなたの心が弱いからではなく、栄養が満たされていないから。
やる気がないのはその人に問題があるというわけではなく、睡眠が足りていないから。
その人が成功したのは心が強いからだけでもなく、周りに自分を信頼してくれる人がいるから。


我々はあくまでも環境の一部であり、その環境から様々なことを受け取って、その受け取ったものを脳が総合的に判断をして、言動や行動に現れてくる。


アメリカの大学でアスリートたちと過ごす中で、そんなことを思い考え、動きがもたらす未来への可能性を想像した。


今、「なぜ体を動かすのか?」
と問われたら、
「その人の環境にゆらぎを作るため」
と答えるだろうし、
「脳に異なる感覚刺激を入れるため」
と、答える。

環境
ゆらぎ
感覚刺激

言葉としてはとても抽象的で、何を示しているのかわかりづらいけど、それがどこにつながっているのか、少し多角面から考えてみたいと思う。

人のWellnessを最大化するためには、自分を知ることが大切なキーとなる。他者を知る前に、自分を知ること。どんな役割であっても、そこは大事になると思っている。


私を動かすもの。
私の気持ちが動くもの。

それは何によって動き

何が起こるとその動きを感じるのか。



先日、アントニオ・ダマシオ教授のMind(心)とConsciousness(意識)のお話を、「Don't think! Feel」というタイトルで書いたけれども、その文章にも書いたけれども、彼は「意識は具現化される・意識は身体化される」(Consciousness is embodied)と述べている。


簡単に要約すると、
Mind(心)があり、Consciousness(意識)が存在する。
心とは「神経系の地図に基づいた継続的なイメージの集合体」つまり、これまでの経験による脳内に残された信号・情報の集まり。

そして意識は、心に体の中からの情報(内受容情報)が加わって生まれてきたものが意識。その体からの情報をFeeling(感じる)という風に、アントニオ・ダマシオ教授は定義している。


つまり、意識とは、体の中で起こっているものが具現化されたもの。
意識として(言語・非言語(ボディランゲージ)含む)見えているもの(具現化されているもの)は、心の情報に私の中で起こっていることの情報が加わった結果としてそこに現れている。


私が動きを通して、人を見るというのは、ここの仕組みを丁寧に追いかけることで、その人の中にある何が今の意識を作り出しているのかにたどり着けるのではないか、そこをみていくことで、その人が作り出したい意識を生み出すことが可能なのではないか、、、と思ったことにある。(未来を作り出す源泉にたどり着ける)


そんなことをA-Yogaという形を通して実践しながら、そして思いを共有する動作学の仲間たちと対話をしながら進んでいる。


今朝、動作学の仲間が共有してくれたNewspicksを舞台のポッドキャスト、a scope リベラルアーツで世界の見る目が変わるの第30回目で、乾敏郎先生が感情と情動のお話をしていた。


そこでは、

感情=Feeling, Affect
情動=Emotion


情動(Emotion)とは、感情に伴った生理的な反応であり、例えばドキドキする、体温が上がる、血液が下がるなどで、それは外の刺激や記憶に伴って生じる生理的反応と説明している。

一方、感情(Feeling)とは、情動の発生に伴って生じる主観的な意識体験と説明している。


アントニオ・ダマシオは、意識(Consciousness)とはFeelingとMind(心)が合わさったときに生まれると説明していたが、乾先生の話とは言葉の定義が少し異なるな、、、と思うのですが、この辺りは分野によって説明が少しずつ変わってくる。


どちらにせよ、双方が一致しているのは、主観的体験、意識的な体験(ダマシオ教授の言葉ではConsciousness、乾先生の言葉ではFeeling)は、内受容感覚と元からあった脳内の記憶の情報をもとに、脳が予測の元作り出したものでもあり、それは動きが伴うもの、脳が受容してきたもろもろの情報が身体化されたものであるというもの。


動きを通して、その人の内側を推測することができると同時に、動きを変化させることで、今後予測するものにも変化が生まれるし、そこには多様性が広がっていく、そう信じている。


体が硬いのは筋肉が硬いから、関節が硬いから、、、と一般的には言われるが、その体の硬さが、あなたの中にある何かを身体化したものであるとしたら、その硬さはなにによって作られたものなのか、、、そんな風に体を見てみたらどうだろうか。


意識とは、非常にあいまいなもので、意識とは個々に変化するもので、意識とは常に揺らぐものである。


現在、関わらせていただいている株式会社ワコールさんを中心とする、「からだ文化研究プロジェクト」

「美しい佇まい」をキーワードに、様々な研究者、身体学研究者、企業様と美しい佇まいを作り出すものは何か?心、姿勢、動作?様々な側面からアプローチしていて、これからの身体美・心体美の軸になっていくといいなぁと思っています。

昨日オープンしたプロジェクトサイトには、聖心女子大学の菅原健介教授とワコールの坂本研究員の対談、そして私のインタビュー記事も掲載されております。これからどんどんアップされていくと思いますので、ぜひご覧になってください。


これまで多くの方の体を通して感じてきたことを数値化して、より多くの方の幸せにつなげることができたら心よりうれしく思います。


年内のセミナーは終了しましたが、年明けは、1月16日(日)のヨガジェネさんのヨガ動作学からスタートします。動きを通して人の可能性を考える、そんな時間のスタートになれるように進めていきます。(がんばって、実技の部分を増やしたいとは思います、、、)



年末年始、きっと書きたくなると思うけど、もし書く機会がなかったら、、、と思うので、ご挨拶。

今年も1年本当にありがとうございました。

このサイトを通して、皆さんとの対話を楽しめること、心より感謝いたします。まだまだまだまだ未知な世界をどう言語化するかに苦悩していますが、数多くある点と点を結びながら、少しずつ形にしていければと思っています。

皆様にとって、愛多き1年の終わりとなりますように。
心より祈っております。

ありがとうございました。



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