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Don't think! Feel

タイトルの言葉は、映画「燃えよドラゴン」の中でブルースリーが言った名言として語り継がれている。

先日、Brain Science PodcastのDr. Antonio Damasioの話を聞いていて、そのあとふと浮かんだ言葉が 

" Don't think!  Feel"

映画を見たことはないですが、ブルースリー(脚本家マイケル・オーリンという人らしい)は、何をもってこの言葉を入れたのだろうか、、、と思う。


Don’t think!  Feel.

「考えるな、感じろ。」

と訳されますが、

これが

Don't feel!  Think.

「感じるな、考えろ。」

でないのはなぜなのだろうか。その言葉に多くの人が未だに魅了されるのはなぜだろうか、、、。



何かを極める、行動変容を起こすうえで、自分自身の変化を促すうえで、Don't Think! Feelがキーだとするなら、今の科学ではどう説明できるのだろうか。


Podcastの中で、Dr. Antonio Damasioは、ConsciousnessとMindについて話をしている。


Consciousness

Mind

意識


ThinkがConsciousnessなのか、Mindなのか?

Feelはなんなのか?


Dr. Antonio Damasioは、Mindの定義を

「Mind(マインド・心)というのは何かと言うと、神経生物学的なプロセスであり、心は、非神経的な事象と神経的な事象の連携から構築される。」「神経系の地図に基づいた継続的なイメージの集合体」と話していました。


一方、意識(Consciousness)とは、

「心(Mind)に体からのイメージを加えたものであり、その体からのイメージと言うのは体からくる内受容的な感覚である」と話している。


この定義からすると、MindとConsciousnessは異なるものであり、神経系・非神経系からできた地図(Mind)に体の内側からくる情報(内受容感覚)が加わることで、意識(Consciousness)が生まれるということになる。


ここでいう内受容的な感覚というのは、内臓感覚だけでなく、深部感覚、前庭感覚といった器官から、脳幹、視床、島皮質、体性感覚野(体性運動皮質、補足運動皮質)、前帯状皮質といったところで処理される、意識的にも非意識的にも受容されている感覚となりますが、この内受容感覚は恒常性を保ち、自己の気づき(Self Awareness)を促進するといわれています。(メモ:内受容感覚という言葉を最初に使ったのは、Sir Charles Sherrington:ノーベル賞受賞したイギリスの生理学者)


意識を生み出すのは、Mindに内受容感覚からの情報が加わることが必要であり、この内受容感覚からの情報を得ることをFeelingと表現しており、Dr. Antonio Damasioは、Feeling(感じる)の定義を「空腹感やのどの渇きと言った、ホメオスタシスに関連する感覚である。」と定義しており、これは内受容感覚と言える。


つまりは、内受容感覚でFeelしたものが、脳内の地図であるMindに出会ったときに、Consciousnessが創発するということなのだと。



我々が自分自身の行動や自分自身の気持ちを変えたいと思ったとき、頭で何かを考えて、そこに答えを探そうとすることが多いと思う。が、Dr. Antonio Damasioが言っていたか、他の研究者が言っていたのか忘れてしまいましたが、脳の中の地図を変えていくのはFeelingがキーであると話していた。


Podcastの中で、彼は「意識は具現化される・意識は身体化される」(Consciousness is embodied)と述べている。

その意識を作り出すのに大切な要素として、外界からの信号(外受容感覚)よりも、身体からの信号(内受容感覚)が意識の基本的な要素であると彼は主張している。それはつまりは、「脳は意識や主体的な経験において欠かせない(必須)なものではあるが、脳そのものが意識を生み出すことはできない」ということらしい。


Don’t think! Feel.

つまり

「思考に答えを探すな」

「考えるのではない!」

(なぜなら、意識は意識から生まれるのではなく、FeelingがMindと合わさったときに生まれるものだから)

だから、

Feel

「感じることを優先しろ!」

と、ブルースリーが言っているその意味が、このDr. Antonio Damasioらの考えで説明ができるのではないかとふと思ったのである。



意識はなぜ生まれるのかを知ってみると、少し見方が変わるのかもしれないし、ブルースリーの言葉を100%生きてみると、何かが変わるのかもしれないと思うし、Feelのために、自分が身体を動かすこと、身体的な経験をすることの大切さも感じてもらえるのかもしれないと思う。


動作教育ができることは、Thinkから、Feelに人を誘うことであり、Feel の経験を通してMindが変わり、さらにそのFeelがConsciousnessの世界を広げてくれるのだと思う。


Mind(心)が存在し、そこに体の中で起こっている情報(Feeling)が加味され、Conscious(意識)が生まれる。そしてMindの変容には、Feelingが重要になる。



人工知能(AI)が人間を越えるためには、おそらくAIが内受容感覚を持つことができたら、きっと「意識」を手にすることができて、人間と同等、または情報量と分析力から考えると人間以上の存在になれるのかな、、、と思いましたが、AIが内受容感覚を持つまでは、ある側面を除いては人間を越えることは難しく、やっぱり人間がもっとも環境に適応できる存在なのかもしれない。



「Don't think! Feel. (考えるな!感じろ。)」の台詞には続きがあるそうで。


「It is like a finger pointing away to the moon.(それはまるで、月に向かって指をさしているようなものだ。)


Don’t concentrate on the finger, or you will miss all that heavenly glory.(指にばかり気をとられていると、せっかくの輝きを見逃してしまうぞ)」


つまりは、かといっても、自分の中(Feel)にだけに集中するのではなく、常に外の世界との地図(相手の状況)(Mind)があるからこそ、そこに意識が生まれる、行動の変容が起こるということを言いたかったのかなぁ、、、と思っている。(知らんけど~)


うまく、まとまったかわからないけど、久しぶりに何度も何度も書き直した文章でした、、、。どう解釈をするのか、研究者が見ているもの、発見したこと、考えていることを自分なりにまとめてみました。


またしばらくして再度読み直して、どんな風に感じるのか、、、身体教育を通した人間形成の探求は続く。

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