エッセー 「70年代を代表するディストピアSF大作 "未来惑星ザルドス"」
ショーン・コネリーが赤フン一丁で頑張っている幻のSF大作、それが1974年製作のイギリス映画「未来惑星ザルドス」である。
当時、赤絨毯のテアトル東京(京橋)に観に行った。
2293年、人類は不老不死の「エターナル(Eternals)」と有限の生命時間(要は普通の人間)の「獣人(Brutals)」が存在していた。
「獣人」は荒廃した土地に住み、理想郷「ボルテックス」に住むエターナルのために食料を生産する奴隷であった。
ふたつのグループ間の接点は「ザルドス」という巨大な空を飛ぶ石の頭で、ザルドスは穀物を受け取る代わりに獣人の中から選んだ「エクスターミネーター」という殺し屋集団に武器を渡し「獣人」の人口調整をさせていた。
ある日、エクスターミネーターの一人であるゼッド(ショーン・コネリー)は、ザルドスを操るエターナルのアーサー・フレインを殺してザルドスに乗り込みボルテックスへ侵入する。
ボルテックスに着いたゼッドはコンスエラとメイという二人のエターナルに出会い、ボルテックスで暮らし始める。
やがてゼッドは「オズの魔法使い(The Wonderful Wizard of Oz)」という古い本を見つけ「Zardoz」という名の語源を知る。
ゼッドは、生きることに退屈したアーサー・フレインによって、エターナルに「死」を復活させるために敢えてボルテックスに招き入れられたことを知る。
やがてエターナルの安逸だが不毛な暮らしに耐えられなくなったゼッドは仲間のエクスターミネーターたちを呼びみボルテックスで殺戮を始める。
しかし、エターナルたちは逃げるどころか、むしろそれを喜んで受け入れ滅びていく。
ゼッドはザルドスの中でコンスエラと結婚し、セックスをして子供をもうけ、ともに老い、朽ち果ててこの世を去って行く。
医学の進歩は様々な難病を克服しつつあるが、それがある意味「自然淘汰」という自然の摂理に反することでもある。
神は暇で暇でしょうがない。そのため自らの分身である人間を争わせて楽しんでいるという説がある。
神も悪魔も表裏一体、ともに残酷である。なぜなら、ともに人間の心が創りだした幻影であるからだ。
誕生、成長、死、自然の摂理に沿って生き、そして枯れるように死にたい。そう思う今日このごろである。