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Essay

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鳴海邦彦が思いつくままに、そして気ままに綴るフリーエッセー。
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2021年5月の記事一覧

エッセー「賢者の知恵」

 世の中、自分のことを知っている人間よりも知らない人間の方がはるかに多い。  物凄い数の友人・知人がいると豪語する人間でも、地球規模で見ればその数は全人口のほんのわずかに過ぎない。  が故に自分は所見の相手に対峙した際には常に敬意と畏怖の念を持って接するようにしている。  翻ってみれば、日本人ほど見てくれや年齢、人相、風体、そしてなによりも肩書で人を判断する輩が多い国は他に例に見ない。  その手の輩は、いずれ致命的な判断ミスをおかし、自ら墓穴を掘ることになるだろう。

エッセー「横浜港 大桟橋 PS食堂 "至福のカツカレー" の想い出」

 かつて横浜港で外航船のエージェントとして働いていた時期があった。  エージェントとは、港に入港する外航船の各種手続きを代行する仕事で、定錨地の設定・許可、税関の臨検立ち会い、荷降ろしや積載、乗組員の上陸許可の申請、検疫、トン税(港の使用料)の支払いなど、本船が入港してから出航するまで必要な一切の法的な業務を代行する仕事である。  特に横浜港は、神戸港とともに沖荷役(沖に停泊している船と艀(はしけ:バージ)の間で荷物の積み降ろしをすること)が認められている港なので、沖荷役

エッセー「 "NISSAN SKYLINE GT-R"賛歌」

 以下の原稿は、2002年、当時総合プロデューサー兼編集長だったCar@nowに寄稿した自らの原稿である。 レースで勝利することを宿命として生まれたGT-Rの歴史が、5代目となる現行モデルR34型GT-Rで一旦、その幕を閉じる。走りを愛するすべてのドライバーに夢と希望を与えてくれたGT-Rへの熱い想いを込めて送る、哀愁の挽歌・GT-R大特集!  幻の名車と呼ばれた2代目GT-R・KPGC110の生産中止から17年後、栄光の赤バッジは不死鳥のごとく蘇った。歴代3代目となるR

エッセー「長生きの秘訣」

 人間である以上、”死”からは絶対に逃れることはできない。  人間は母親の胎内から生まれ出でた瞬間から死へのカウントダウンが始まる。  人間の寿命はあらかじめ決まっている。生まれてすぐに命を落とす者、幼くして命を落とす者、若くして命を落とす者。一見すると残酷なように思える理不尽な死も、実はあらかじめ決められたプログラムなのである。そしてそれを決めているのは “神”という名の宇宙の摂理。  若くして理不尽な死を遂げる者がいる反面、100%命を落としてもおかしくない状況の中

エッセー「認知的不協和」

 人が何かを心から信じているとき、それが間違っていることを証拠と共に示されても、非常に不愉快な気分になり、新しい証拠を受け入れることができない。それを「認知的不協和」という。心から信じていることを守ることが重要なので、自分が信じることがあてはまらないことは論理付けようとしたり、無視したり、拒絶する。  コロナパンデミックの現在、幼少期より常識として刷り込まれた知識に凝り固まった人々は、学歴や権威、社会的ステータスや肩書といった表層的なデコレーションでのみで人を判断し、その意

エッセー「幻の番組企画案」

 今を遡ること21年前、地球滅亡の危機と危惧されたミレニアム問題も解決した西暦2000年。ネットの世界は既存のナローバンド&ダイアルアップ接続からブロードバンド&常時接続へと大きく変貌を遂げる黎明期を迎えていた。そんな中、サブカルチャー系コンテンツの宝庫である日本をコンテンツアグリゲーションのベースにすべく乗り込んで来た外資系企業があった。香港に本社を構えるアジア最大(当時)の通信・IT企業PCCW(Pacific Century Cyber Works)である。  PCC