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エッセー「横浜港 大桟橋 PS食堂 "至福のカツカレー" の想い出」

 かつて横浜港で外航船のエージェントとして働いていた時期があった。

 エージェントとは、港に入港する外航船の各種手続きを代行する仕事で、定錨地の設定・許可、税関の臨検立ち会い、荷降ろしや積載、乗組員の上陸許可の申請、検疫、トン税(港の使用料)の支払いなど、本船が入港してから出航するまで必要な一切の法的な業務を代行する仕事である。

 特に横浜港は、神戸港とともに沖荷役(沖に停泊している船と艀(はしけ:バージ)の間で荷物の積み降ろしをすること)が認められている港なので、沖荷役がある場合には、管轄である海上保安庁への申請も重要な職務であった。

 連日、大桟橋横のPS(ポートサービス)の波止場から、高速船をバウチャーし、大黒沖や本牧沖、川崎の扇島沖に停泊している本船に向かったものだ。余談だが、当日はMM21(みなとみらい21)は造成が始まったばかりで、横浜ベイブリッジは建造中だった。

 そんな仕事の合間の楽しみはやはり食事。忙しくなければオフィスがあるシェルビル(中華街 南門を出たすぐのビル。現在は大型駐車場になっている)近くの中華街でランチをするのが常だが、忙しい時はPSに併設された食堂をよく利用した。

 そのPS食堂(正式名称はKAIKYO/海峡)の名物といえばボリューム満点の「カツカレー」。PS食堂を利用するのは味にうるさい沖仲仕をはじめとする港湾労働者なので、自ずと「美味い、安い、ボリューム満点」の三拍子がきっちり守られている。

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 肉厚な " カツ ” も食べ応え充分だが、なによりもベースであるカレーライスが美味い。それでいて値段はなんと450円。

 このカツカレーを食するたびに、海の男(の端くれ)だった若き頃を思い出す。

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