エッセー「幻の番組企画案」

 今を遡ること21年前、地球滅亡の危機と危惧されたミレニアム問題も解決した西暦2000年。ネットの世界は既存のナローバンド&ダイアルアップ接続からブロードバンド&常時接続へと大きく変貌を遂げる黎明期を迎えていた。そんな中、サブカルチャー系コンテンツの宝庫である日本をコンテンツアグリゲーションのベースにすべく乗り込んで来た外資系企業があった。香港に本社を構えるアジア最大(当時)の通信・IT企業PCCW(Pacific Century Cyber Works)である。

 PCCWは世界でもトップテンに入るリッチマンである李嘉誠(り・かせい)の次男 李沢楷(リチャード・リー)が立ち上げた企業で、2000年当時「アジアにおける最大の企業買収」と称されたケーブル&ワイヤレスHKT(Cable & Wireless HKT)の買収(買収額は380億米ドル、当時の日本円のレートで約3兆7千億円)により一躍香港最大の固定回線網および無線通信事業者となった。

 2000年、当時某一部上場企業の子会社で映像制作プロデューサーとして辣腕を振るっていた自分は、日本に進出して来たPCCWにヘッドハンター経由でブロードバンドコンテンツプロデュサーとしてスカウトされた。

 以下の企画は、ローンチさせるブロードバンドコンテンツポータルサイト「NOW(Network Of The World)」のバラエティ番組企画用として考案した企画である。

 半ば冗談のような企画だが、資本金300億円で日本に乗り込んで来たPCCWでは十分に実現可能な企画だった。

①スカイフィッシュ踊り食い
企画概要:メキシコ ゴロンドリナス洞窟にてロケ。ヘルメットにGO Proを装着したビースト千葉(番組キャラクター)がスカイダイブしながら大口を開け空中を乱舞するスカイフィッシュを食いまくる。降下中、踊り食いをしながらスポンサーであるキリンビールの生搾りを一気飲み。 

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②モケーレムベンベ生け捕り作戦
企画概要:コンゴ共和国西部エペナ地区のテレ湖にてロケ。NASAの協力を得て、赤道上の静止衛星より同湖を監視し、伝説の首長竜モケーレムベンベが呼吸のため湖上に姿を現した瞬間、上空を旋回する米軍のC130スターリフター機上にて待機していたビースト千葉(番組キャラクター)が、モケーレムベンベの首めがけ上空30000フィート(高度10000メートル)よりHALO(高高度降下低高度開傘)に降下、モケーレムベンベの首にしがみつき特大の麻酔注射を打ち込み生きたまま捕獲。米軍のC130スターリフターにて横田基地へ移送後、麻布台のNOWスタジオへ。

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③チュパカブラ捕獲作戦
企画概要:未だ南米を恐怖に陥れている謎のUMA チュパカブラを生きたまま捕獲するため、ビースト千葉(番組キャラクター)が単身メキシコに乗り込み、夜間、敢えて囮となって出現の報告が多数寄せられている危険地域をほっつき歩き、首筋に食らいついて来たチュパカブラをホールドしてタイラップで固定、輸血をしながら米軍のC130スターリフターにて横田基地へ移送後、麻布台のNOWスタジオへ。

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