マガジンのカバー画像

Essay

307
鳴海邦彦が思いつくままに、そして気ままに綴るフリーエッセー。
運営しているクリエイター

記事一覧

ショートエッセー 「沸騰都市にそびえる摩天楼 ブルジュ・ハリファ」

United Arab Emirates (UAE), Dubai 現在世界で最も高い建造物 ブルジュ・ハリファ(206階建て・全高828.0 m) 一度ブルジュ・ハリファの154階特別展望台" At The Top Sky " から外界を見下ろせば人生が大きく変わる。自分が天界の神になったような優越感を味わうともう人間の世界へは戻れない。日本円で約15,000円の特別料金を払ってでも体験する価値は十分にある。

ショートエッセー 「傭兵の流儀」

漢(おとこ)の世界、プロ(職人)の世界にはそれぞれの流儀がある。 優しさと非情とは表裏一体。死は苦痛からの開放であると同時に魂の肉体からの開放である。それ福音であり慈愛である。 「重傷を負って動けない者に出会ったら、傭兵として最後の贈り物を与えてやらなくてはならない。捕えられてゆっくりと殺されるよりも、すっぱり死んでいく方が本人もうれしいのだ。それが傭兵のルールであり、彼らはみな過去にそれを経験しているのだ。」 フレデリック・フォーサース著「戦争の犬たち」より。

ショートエッセー 「泡処(あわどころ)」

 その昔、当時トルコ風呂と呼ばれたいた現在のソープランドが、トルコ大使館からのクレームを受けて新たな名称を一般公募したことがあった。  当時、糸井重里に憧れコピーライター志願だったワダスは、喜び勇んで応募した。  トルコ風呂の新名称は、  " 泡処(あわどころ)"  我ながら天才的なネーミング。自らの才能に鳥肌が立ち勝利を確信した。これで賞金はオデのもの、一人ほくそ笑み選考結果を待った。  だがしかし、審査員は"ソープランド"などという情緒もへったくりもない名称を採

ショートエッセー 「バジリコ部長」

前職の営業部長M氏は人呼んで「バジリコ部長」。 全身からスゥイートバジルの香りが漂う「歩くイタリアレストラン」。 最初の頃はバジルの香水でも使っているのかと思っていた。 しかし、たまたま彼がトイレで「大」をした後に入ってしまった個室でびっくり! なんと強烈なバジルの香りが漂っているではないか。 そう、驚いた事にバジル臭の源は、なんと彼の体内だったのである。 後に判明した事実によれば、彼の奥様が「バジルは健康に良い」という雑誌の記事を読んで以降、和食、洋食、中華を問わ

再生

ショートエッセー「追想 千葉真一」

キーハンターで幼年期を過ごし、東映カラテアクション映画で青春時代を過ごした自分にとって、千葉真一はブルース・リーと並ぶ人生の師であり、憧れである。 そんなグレート千葉と初めて会ったのは今を遡ること23年ほど前の2001年のこと。当時働いていた香港系の外資系企業のとある女性を通して、グレート千葉と野際陽子さんとの間に生まれた長女(剣舞アーチスト)を紹介されたのがきっかけだった。 初見は今は無き六本木の旧防衛庁横のクラブ「エロス・グロッソ」の隣にあった、日本が誇るハリウツドSFX界の巨匠スクリーミング・マッド・ジョージが内装を手がけたカフェバー(名前は忘れた)。 物凄いオーラと共に現れたグレート千葉は、まさにグレート千葉(なんのこっちゃ?)。初対面の挨拶もそこそこに、ただひらすら一方的に熱く熱く語ること凡そ1時間、「それでではまた、ごきげんよう!」再び固い握手と共に颯爽と店を後にした。

ショートエッセー 「追憶 青山プエブロ」

 かつて表参道 国道246 南青山5丁目交差点近のビルの3階に店を構えていたスペイン料理の老舗 ”プエブロ青山 " 。数年前、惜しまれながらもその長い歴史に幕を閉じたが、この店には大学時代から足掛け30年以上通った。  まだ日本に本格的なスペイン料理店がわずかしか存在しない時代に誕生したプエブロのパエージャは唯一無二、まさに至高の逸品だった。  私見だが、未だプエブロのパエージャを超えるものは存在しない。今一度あの絶品を味わいたいものだ。

再生

ショートエッセー 「映画史上最もクールな銃撃戦 ”THE MATRIX”」

映画史上、最もカッコよくスタイリッシュな銃撃戦シーン。マトリックス以前かマトリックス以後か、この映画により歴史は変わった。 The coolest and most stylish gunfight scene in the history of cinema. Before or after The Matrix, history was changed by this film.

エッセー 「津久井湖 沼本ワンド カマキリ事件」

旧友のKはカマキリが大の苦手。  その昔、津久井湖が減水して沼本ワンドがほとんど干上がってしまった事があった。  そのため沼本旅館のボート乗り場は遥か沖合いとなり、たどり着くまでには葦・雑草が生い茂る湿地を歩かねばならなかった。  事件はKを先頭にボート乗り場に向かっていた時に起こった。  因みに、Kはかなりの巨体であり全ての動作はスローモー、否、優雅だった。  プラノのタックルボックスをぶら下げ、ヨーロッパ貴族のピクニックのように前方で優雅に歩みを進めていたKが急

ショートエッセー 「神」

 神は気まぐれで全てを与え、気まぐれでその全てを奪う。  神は人間の尺度でいうサディストではない。残酷なまでに無垢なのだ。まるで赤ん坊が笑いながら小さな昆虫をバラバラにするように、自らが創造した人間の一生を弄び、飽きればボロボロにして捨てる。  しかし、神にも弱みがある。それは自らの完全なるコピーである人間を作ってしまったこと。人間が自らのうちにある神性に気づき、覚醒した時、創造主である神をも超える存在となる。  それをわかっている神は、天使と悪魔を造り人間の心を幻惑す

再生

ショートエッセー「Isle of Man TT(マン島TTレース)」

地球上では、1年に一度だけ人が風になる。 " The Isle of Man Tourist Trophy Race(マン島TTレース) " は、英国王室の属国であるIsle of Man(マン島)の公道を封鎖して行われる世界一危険でエキサイティングなモーターサイクルレースである。 その歴史は古く、起源は20世紀初頭の1907年まで遡り、世界最古の議会で『青空議会』としても知られるマン島議会「ティンワルド」が制定した公道閉鎖令に基づき公道を閉鎖して行なわれる。 競技は伝統的に5月最終週から6月第一週に開催され、島の南東部にある首都ダグラスを起点として、北東海岸部の町ラムゼイを経由してスタート地点まで戻る一周60.7kmの公道コースで争われる。 今年も、高低差396m、200を超えるコーナーが待ち構える世界一危険な一般公道を、命知らずのライダー達が平均193km/hを超えるスピードで駆け抜ける。

再生

ショートエッセー「究極のラインどり」

プロとアマチュアとの圧倒的な違い、それは"確信"を持って行動するか否かである。 地球上で最も危険な公道レース「マン島TTレース」を戦うライダー達が繰り広げる一見無謀とも見えるミリ単位のラインどりは、自らを信じ確信と自信を持って行動するプロフェッショナが見せる究極の神業なのである。

ショートエッセー 「1982年の追憶 連日連夜の箱根詣」

 22時頃に品川の自宅を出発。中原街道経由環八から第3京浜に入り横浜料金所まで全開。そのまま横浜新道に乗り保土ヶ谷料金所へ。国道1号線に降りて藤沢市内を抜け浜須賀のT字路を右折して国道134号線へ合流。平塚、大磯を経由して箱根の表玄関である小田原市街に到着するのは午前0時頃。有料道路の料金は第三京浜が200円、横浜新道が50円、締めて片道250円。  国道1号線のバイパスである箱根新道には、料金所を過ぎるとしばらくの間長い上りの直線が続く。ここで前方をブロックするトラック軍

再生

ショートエッセー 「その動き猿(ましら)の如し "Capoeira(カポエラ)"」

ブラジルがポルトガル領だった19世紀初頭、人身売買でアフリカから連れて来られた黒人奴隷が、自らの身を守るための格闘技が起源とされる格闘技カポエラ。 手錠に繋がれて、腕の自由を失っても、アクロバチックな動きの足技だけで敵を倒すことができるカポエラは、黒人奴隷は看守を誤魔化すために音楽に合わせ、踊りに見せかけて練習したため、格闘技というよりも舞踏的な要素が強いとされてきた。 しかし、実はカポエラはとてつもない破壊力を秘めた恐るべき格闘技なのである。 驚異的な柔軟性を兼ね備えた肉体は、変幻自在な猿(ましら)の如き動きで敵を翻弄し、鞭のようにしなやかで強靭な蹴りで敵を倒す。

再生

ショートエッセー「超弩級スーパーカーのガチンコバトル! ナルド最高速トライアル」

ドイツのニュルブルクリンクと並ぶスポーツカーの聖地であるナルド・サーキット(Nardò Ring)は、長靴の形をしたイタリア共和国の踵部分、プーリア州レッチェ県ナルド(Nardò)にある半径4km、一周12.5kmの完全な円形の超高速テストコースである。 この超高速テストコースでは、過去、幾多のスーパーカー、スポーツカーが自らの限界を試すべく、過酷なスピードトライアルに挑んできた。 そのナルドでスピード記録に挑むのは、異端のスーパーカー、Noble M600、年間2000台を目標に掲げ、量産メーカーとして名乗りを上げたマクラーレンの野心作、McLaren MP4-12C、そしてランボルギーニの旗艦、Lamborghini Aventadorの3台。ともに600馬力を超えるエンジンを搭載し、最高速300km/hを超える超弩級スーパーカーである。 全周バンクの超高速テストコースで繰り広げられるハイパワーバトルを刮目せよ!