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第10回 映画『エゴイスト』を語る!!〜思い込みや偏見や恥を捨てて、一度本気で考えてみないか?あなたがそばに寄り添ってくれる人を必死で探している本当の理由は何なのか?本当に望んでいるものは何のか?「愛か?金か?」というナンセンスな問いが抱える根本的なおかしさ。そして、「愛」とは何なのか??

くに:記念すべき10回目だよ!!!

たけ:これ、1回作るごとに数時間喋ってから文字起こしするじゃん??
頑張ってるよね(笑)

くに:引き続きよろしくな!!さて、そんな10回目は映画『エゴイスト』です。たけの今年の暫定ベストなんだよね??

たけ:んーちょっと特別な作品になってしまったかもしれないなー。
くに知ってるかな、韓国映画で『息もできない』っていうのがあるんだけど、それと同様観終わった後、席をしばらく立てなかったなあ。ずっしり重いもの持たされた感じで。くにちゃん10回目えらいタイトルつけたね〜(笑)
愛について偉そうに喋れる身ではありませんが、いっちょ真剣にやってみっかということで!まず、あらすじ簡単に言うとこんな感じです↓↓

14歳の時に母を亡くした浩輔(鈴木亮平)は、田舎町でゲイである本当の自分を押し殺して思春期を過ごし、現在は東京でファッション誌の編集者として働きつつ自由気ままな生活を送っている。そんなある日、浩輔は母を支えながら暮らすパーソナルトレーナーの龍太(宮沢氷魚)と出会う。浩輔と龍太はひかれ合い、時には龍太の母も交えて満ち足りた時間を過ごしていく。母に寄り添う龍太の姿に、自身の亡き母への思いを重ねる浩輔。しかし2人でドライブの約束をしていた日、龍太はなぜか現れず……。

たけ:映画館、結構埋まってたんだけど、男性が少なくて。。。女性がほとんどでした。性別問わず色んな人に観て欲しいなーと心底思うんだけどね、、、。確かに、ある側面についてティピカルな印象が強い映画だとは思うんだけど、いわゆる”そういったこと”を超越した作品というか、観客全ての人に向けたもの持ってると思うんですよ。今回のタイトルにもなってるけど、一回考えてみないか?人を愛するとは何なのか?みたいな。照れ臭いことかもしれないんだけど、一生懸命結婚する相手とか、彼氏彼女を探してる人たくさんいるわけで、本当のところ、何でそれやってるの??っていうことを一度ちゃんと考えてもいいんじゃないかな、、と。年齢的にそろそろ結婚しなきゃな!みたいな事で果たして良いのでしょうか、、、、、という(笑) 結婚に限ったことではないけど、一緒にいてくれる人を多くの人が欲しいと思うわけで、その時そこに伴っている気持ちがまず最初にあって、ほかではないその人である理由がそこにあるのか??というボールがスクリーンから飛んで来ました。

くに:まさに浩輔が龍太に持っている愛情だよね。浩輔は、仕事で経済的な豊かさを手にしている一方、龍太はその真逆で、1日中働いて、あまり身体の良くないお母さんとなんとか一緒に生活をしているという状態だね。でも、浩輔は心の底から龍太のことを愛しているから、そんな事全く気にしてないし、色んなもの買ってあげたり、それこそ金銭的に援助してあげるね。龍太は何度もそれを繰り返ししてもらうことにだんだん後ろめたくなってくるんだけど、浩輔の愛情を感じて、受け入れるよね。

たけ:そうだね。ネタバレになるから言えないけど、龍太がある仕事をしてお金を稼いでいるよね。それは、世間的に見ると絶対に人に言えないと言われる内容なんだけど、浩輔はそれを知った時も、自分が金銭的な支えになるから、一緒に頑張ろうという言葉をかけるよね。この浩輔が龍太にとる構え、俺映画観てて、こんな愛情や感情で結ばれることがあり得るんだろうか?っていうくらい今の時代、奇跡的な存在に見えてしまって。。

くに:もちろん、浩輔と龍太のように、深い愛情で結ばれる人は沢山いるだろうけど、この二人は奇跡的な存在だね。まあ、、ここから必ず浮かぶのは、避けて通れない「愛か金か」問題ですな。でも、よく考えたらこの問い全くナンセンスだよなって昔からウチら話してたよね。

たけ:よくわからないんだけど、二項対立になっちゃうのね。「愛」と答える人に対して、「金派」が「現実をもっと見ないとダメ」というカウンターがいくという図式ね(笑) それで、いつも「金派」の人に思うのは、この問いについて考えるとき「どのくらいの生活水準を求めてるの?」っていう事が一つと、「二人が協力して健康で文化的な生活送れれば良いのでは?」っていう事ね。愛がある二人が協力して、例えば経済面に困っているんだとしたら一緒に解決していけば良いはずだとしたら、「愛か金か?」っていう問いっておかしくない??っていうことは前から言ってたよね(笑) だから、二人が一緒になった時、不十分になる要素を二人が協力していく事で解決していくつもりが最初からあって、それが前提で一緒にいたいと思えるんだったら、この問いは生まれないはずじゃないの〜?って前から言ってたね。

くに:だから、この問いが生まれる背景として「愛より金が大事」っていう認識が強く広まっているってことはあるかもだね。でもシンプルに考えたらさ、それ自分がそう思っていても相手から思われていたらどう思うのよ?って思うよね、、、(汗) トートロジーみたいになっちゃったけど。。

たけ:出典がちょっと思い出せないんだけど、日本人は愛より金で結びつくっていう調査があったような、、、。金の切れ目が縁の切れ目、、、、。

くに:で、そんなこと実は対して重要じゃなくて、大事なのは「愛する」とはどういう事なのか?という事です。恥を捨てて真剣に考えてみて見よーぜ!

たけ:難しいねー。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。愛は英語で「love」だけど、語源調べると「世話をする」みたいなニュアンスがすごい含まれているみたい。だから、「与える」「贈与」というのは一つキーワードなんだと思うんよね〜。同時に、映画の内容から考えていこう。龍太に対する浩輔の愛をネガティブに左右するものって何かあるだろか?浩輔は龍太の苦しい生活をサポートしようとしているよね、だからその状況が浩輔の龍太に対する愛を薄れさせていく要素ではないね。浩輔は龍太のお母さんも自分の大事な家族のように接していくから、龍太を取り巻く環境全てを包み込んで大切にしようとするよね。だから、結論、浩輔はただ龍太と一緒にいれれば良くて、龍太が元気でありのままでいてくれればいいんだよね。(アフターサンのカルムとソフィの関係性と一緒なんだよねえ)

くに:とはいうものの、相手に尽くすことで結果的に自分が幸せになろうとしてない?、それって結局「利己的な利他」で、最終的に自分の幸せが大事なんでしょ?っていうカウンターが来たらどうする?

たけ:おお、、難しい、、。ん〜、困った時は逆を考えてみよう。例えば、誰か大切な人が不幸な気持ちでいて、それを見て自分も悲しくなってしまう、という時、何とかして助けてあげたくなるという行動を駆動するものとして最初に出てくる気持ちって「自分が幸せになりたいから助ける!」という気持ちだろうか?多分違うよね?「なんとかしてこの目の前の大切な人を元気にしてあげたい!」っていう気持ちが何より先にやってくるんじゃない?確かに、それが叶った時、自分も幸せな気持ちになると思うけど、それは結果的にやってくるものであって、行動のきっかけじゃないと思うんよ。
利他的な行動の結果、利己的リターンがやってくる時はある、でも利他的な行動を駆動する動機はあくまで利他的な感情なんじゃないかと思う。もっと言うと、利他と利己は相互補完的に存在していて、タイトルのエゴイストって言うのはそう言った意味合いを含んでるんじゃないかな。それは時としてバランスを崩して、相手を傷つけたり、相手の望んでいるものではない事として行動されてしまうこともある。ネタバレだから言わないけど、浩輔が龍太のお母さんにしてしまったこととか、まさにそうだよね。いや、それは違うんじゃない??みたいな(笑) 愛って、時としてバランスを崩してしまう不安定なものなんだな〜というのがすごい描かれていたと同時に、その不安定とか過ちも受け入れて、一緒に乗り越えていけるのが、愛の一つの側面なんじゃない?っていうのが伝わってきましたけどね〜。

くに:エゴイストっていう意味合いが映画見てるとすごく伝わって来たよね、なんとか相手の為になりたいと思ってやるんだけど、相手からしたら、それは望んでないみたいな場面がたくさんあった。でも、ここ重要で、それがきっかけで関係が悪くなったりはしないんだよね。だから、確かに愛にはエゴイスティックな側面があるけど、この登場人物達は、それを乗り越えていける関係だっていうこともすごく伝わってきたね。「愛か金か問題」的なものはこの二人には生じないね、どんな問題でも二人で乗り越えていきたいと思っているからね。

たけ:「愛」を一言で表すのは難しいけど、「大事にする」ってことなんじゃないかなあ。大事にするってことは、すごい長い時間軸をとるわけじゃん?3日だけ大事にする、とかないじゃん?(笑) それは必然的に自分の人生が重なるってことだよね。長い時間軸の中で色んなこと起こるし、時に間違えるし、相手を傷つけるし。それでも、一緒に居たいから、大事にする。「大事にする」ってことの中に色んな要素が含まれている気がする。そして、「大事にする」=「それを大事にする自分が愛おしい」っていうことであって、切り離せないことなんじゃないかな。浩輔は龍太と一緒にいることで、龍太と一緒にいる時の自分をも愛することができる。他の人といる時じゃありえない、ありのままの自分がこの人といる時だけ顔を出す。誰かを愛するということは、自分を愛する、いうことなのかもね。その喜びを表す劇中の表現が本当に泣けました。絶対観て欲しい!!

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