【忍殺二次創作】ソウカイヤvsザイバツ【第十話】
※※注意※※
これは『ニンジャスレイヤー』の二次創作小説です。
同じnote内に公式様の連載もあるので、
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「イーヤヤヤヤヤヤヤヤッ!」
パーガトリーは中腰体勢でセイケン・ツキ!それに合わせ、周囲に展開しているカラテストームの背中からカラテ粒子が剥がれ、輝く光弾となり飛び出していく!カラテミサイル!
「テメッコラー!」ソニックカラテジャブで相殺!
「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」コリ・スリケンを投げる!相殺!
「ハァーッ……ハァーッ……ハァーッ……!」
すでにソニックブームはソニックカラテの使用限界を超え、両鼻から出血!フロストバイトもジツの使い過ぎで両目から出血!
しかし手を緩めるわけにはいかぬ。そうすればイクサ場はたちまちこのカラテミサイルの飽和攻撃に支配されてしまうだろう!
「敵はパーガトリー=サンばかりじゃないんだぞ、イヤーッ!」
ガラハッドは再び果敢にもジャンプキック!
それをアースクェイクが身体を張って受ける!
「イヤーッ!」
停止した隙を突き、アースクェイクのビッグカラテ突進!オスモウ!
「!?」しかし、突進した先のガラハッドの姿は掻き消える!
「こっちだ、バカメ!」
またしても、コンジャラーのブンシン・ジツである。なんたる乱戦で効果を発揮する厄介極まりないジツか!
「ヌゥゥゥン!」
バードゥンが両腕をアースクエイクに向けると、アースクェイクの周囲に超自然の重圧が発生!
「イヤーッ!」動きが鈍くなったアースクェイクの横をノクターンが連続側転ですり抜けようとする!
「イヤーッ!」アースクェイクはローキックにて何とか牽制!ソニックブーム、フロストバイトの元には通さない!
「邪魔はさせんぞ……」
「「「イヤーッ!」」」
そこに飛び出してきたのは、奇妙な統一感を感じる三人のニンジャ!
「ドーモ、プリアレウスです」「コットゥスです」「ガイギスです」
援軍!しかし、アデプトのニンジャが何人集まろうとも……否!
「お前たち、やるぞ……イヤーッ!」
おお、見るがいい!三人が不可思議なフォーメーションを取ると、閃光!
光が収まるとそこに立つのは……一人!
「ドーモ、アースクェイク=サン。ヘカトンケイルです」
シュウシュウと白煙を上げながらアイサツするのは、六本の腕、四本の脚、六つの目を持つ、二メートルを超える巨体の怪物!
上背だけとればアースクェイクと同等か。だが、体格でみればアースクェイクの二倍はある!
『正しき歴史』にて戦ったニンジャスレイヤーをして、合体時はグランドマスターにも引けを取らないカラテを持つと言わしめた、恐るべきニンジャである!
「ヌゥン!」ヘカトンケイルは右の二本の腕を振り上げて、勢いをつけて叩きつける!
これはビッグニンジャクランのワザ、アースクェイク・シコだ!名前に対する意趣返しとでも言うつもりか!
「ヌゥーッ!」
だがアースクェイクは、その振動にビクともしない。
アースクェイクは冷静に腰を落としカラテをためると……「イヤーッ!」突進カラテ!オスモウ!
「イヤーッ!」対するヘカトンケイルも、シコの体勢から真正面から突進!
KRAAAAASH!とんでもない爆音!頭と頭がぶつかり合う!
周囲に衝撃が波紋めいて広がる!普通のニンジャがまともに受ければ全身の骨を砕かれネギトロとなるだろう!
「グワッ!」「グワッ!」
両者は一瞬だけ体勢を崩し、たたらを踏む。しかし、すぐに立て直し、お互い重心の中心たる腰を掴む!
これこそ、オスモウに伝わるミギ・ヨツの体勢である!
そのまま動かなくアースクェイクとヘカトンケイル!
両者は一旦休んで様子を見ているのか?……否!
その筋肉はハガネめいて緊張し、全身にははちきれんばかりのカラテが込められている!拮抗しているのだ!
ズルズルと地面に脚をめり込ませながら後退したかと思うと、また押し返す。それを繰り返す!
三人がジツにて合体したヘカトンケイルと拮抗するとは、アースクェイクのなんというパワーだろう。しかし。
「でかしたぞ、ヘカトンケイル=サン!」
ガラハッドが、コンジャラーが、ノクターンがアースクェイクの脇を抜けてソニックブームとフロストバイトに迫る!
「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」
「ザッケンナ!ザッケンナ!ザッケンナコラーッ!」
だが二人とも、それを阻む余裕はない!カラテミサイルを撃ち落とすだけで精一杯!
「イヤーッ!」ガラハッドのジャンプキック!
「グワーッ!」
ソニックブームの最中に突き刺さる!
「ワドルナッケングラーッ!」
ソニックブームは瞬時に状況判断!
ソニックカラテは殺傷力は高いが、至近距離で使えば自らにも危険が高い。
ソニックブームは膝蹴り、ショートフック、頭突きのコンパクトなワン・インチのカラテコンビネーションを繰り出す!ワザマエ!
「イヤッ!イヤッ!……グワーッ!?」
それを受けきることができず、ガラハッドは最後の頭突きを浴びる!
「イヤーッ!」
フロストバイトは冷気を圧縮!スリケンではなくクナイ・ダート生成!ヒサツ!
「お前の死因は……カラテ中の不幸な転倒死だ!」
「アバーッ?!」ガラハッドの眉間と股間を貫く!「サヨナラ!」ガラハッドは爆発四散!
「カーッ!」
しかし、そのわずかな隙ですらグランドマスターの前には致命的!
パーガトリーは抜け目なく血中カラテ粒子を補填!
「イィィィ……ヤアァァァーー!!」
これまで以上の数のカラテミサイルが飛来!飛来!
フロストバイトに、ソニックブームにカラテミサイルが雨のごとく降り注ぐ!
「シマッタ!……グワーッ!グワーッ!グワーッ!」撃ち落とせず、被弾!
同じくカラテミサイルや変種カラテミサイルを使うニンジャは多いが、その大半の射出量は良くて一度に四発か五発というところだろう。
対するパーガトリーは一度に十発は下らない数を発射し続けている。なんという体内カラテ粒子生成速度か。
パーガトリーはこれだけのカラテミサイルを発射しながら、自らの周りには常にカラテストームを展開。防御にも隙はない。
これが、グランドマスターの実力。
「チィーッ!時間切れか!」
ヘカトンケイルは何かを察すると、強引に組み手を切る。
アースクェイクの間合いから離れると、また閃光。プリアレウス、コットゥス、ガイギスの三人に分離する。
「イヤーッ!」
その隙に、アースクェイクは連続側転。フロストバイト、ソニックブームの前に立つと、両腕を大きく広げ、二人の盾となる!
「アースクェイク=サン!」
「グワーッ!グワーッ!」
「ヌゥゥゥン!」
体勢を立て直そうとするフロストバイト、ソニックブームだが、それをバードゥンが超自然の重圧にてインタラプト!
「クソーッ!」「ナンオラーッ!」
立ち上がることすらできない!
「イヤーッ!」
地面に倒れ伏すソニックブームへ、ノクターンが背後からカワラ・ワリ!アブナイ!
「ザッケンナ……コラーッ!」
ソニックブームはワーム・ムーブメントからのソニック蹴り上げ!まるでブレイクダンスの動きだ!
寝たままの体勢でなんというカラテか!タツジン!
「アバーッ!?サヨナラ!」ノクターンは爆発四散!
ヒュルルル!ヒュルルル!
だがそこに、アースクェイクの身体の隙間を縫って飛来するのはパーガトリーのカラテミサイル!
「グワーッ!グワーッ!アバーッ!!」
超自然の重圧により十分に動くことの出来ない三人は、無防備な体勢でそれを浴びるしかない!
全身から流血し、爆発四散寸前の三人!
だがソニックブームは諦めない。
彼はニンジャとなる前、モータルのヤクザであった頃。
ソンケイするオヤブンを裏切るか死かの選択を迫られ、オヤブンのために徹底的に戦い死を選んだ男だ。
諦めるぐらいなら、戦って死を選ぶ。
「テメッコラー!スッゾオラー!」
フロストバイトもまた、諦めない。
彼は、ニンジャソウルとの馴染みが悪く、ニュービー時代はニンジャとして三流だった。
そんな自分を見捨てず、彼の適性に合わせドサンコ任務を与え、その後成長した自分を認め『シックスゲイツの六人』にまで取り立ててくれたラオモト・カンを、オヤブンをソンケイしているのだ。
「オノレーッ!」
その目は死んではいない。
「グワーッ!グワーッ!グワーッ!」
だが……心意気だけでどうにかなることだけではない。
アースクェイクは二人を庇うように立ったまま、フロストバイトとソニックブームはカエルめいて地面に貼り付けられたまま、猛攻から逃れる術はない!
「イヤーッ!」再び合体したヘカトンケイルが弄るようなカラテをアースクェイクに浴びせる!
「ヌゥゥゥン!」バードゥンもジツを緩めることはない!
「よくよく持った方だが……ホッホッ、限界かの。全く汚らわしい野犬風情が、梃摺らせてくれたわ」
パーガトリーは勝ちを確信する。
ジャキン。金属音。
「…………は?」
パーガトリーの胸から、金属の刃が生えている。
ゴボッ。パーガトリーの口から血が流れ落ちる。ゴボッ。
「ア……ア?」
それを、何が起きたか分からないという表情でパーガトリーは見つめている。
パーガトリーの胸から生えているのは……いや、背中から刺さり、胸まで貫通しているのは、カタナ。
バチバチとノイズが何もない背後に走ると、風景が歪み、そこから一人のニンジャが姿を現す。
「ドーモ、パーガトリー=サン。バンディットです」
パーガトリーを背後からカタナで突き刺すのは、ステルスニンジャ、バンディット。
敵を騙すには味方から。アースクェイクの駆る改造ハーレーに乗っていたニンジャは、もう一人いたのだ。
決定的なチャンスをモノにするため、ニンジャ野伏力にてずっと潜んでいた、このニンジャが。
「ア……アア……ア」
パーガトリーは貫通するカタナを何度も見て、それが信じられないという表情をする。
パーガトリーのカラテストームの唯一の弱点、背中からアンブッシュを仕掛けたのだ。
ゴボッ。ゴボッ。パーガトリーの口から血が止まらない。
「エッ?」「パーガトリー=サン……?」
その様を、コンジャラーやバードゥンらは茫然と見つめている。
「サヨ、ナラ!」
パーガトリーは爆発四散!
「アバーッ?!」
だが、ただで死ぬパーガトリーではない。死の間際にカラテマインを展開!
直撃したバンディットは吹き飛ばされ、深傷を負う!
「さ、流石だぜアースクェイク=サン……ここまで考えて戦力を温存してたんだな……」
ソニックブームがヨロヨロと立ち上がり、吹き飛んできたバンディットを支える。
「へへ、俺たちにすら教えてくれないなんて人が悪い……アイエッ?」
フロストバイトも立ち上がると、手を広げ立ったままのアースクェイクに触れる。
だが、おお、ナムアミダブツ……。
アースクェイクは、立ったまま───衰弱死していた。
「パ、パーガトリー=サン……?」
「そんな……パーガトリー=サンが……」
がっくりと肩を落とし、士気を落とすザイバツニンジャ。
ソウカイヤの三人はボロボロではあるが、指揮官を失ったザイバツを打倒するのは難しくないだろう。
「オイッ、テメェら、降伏するなら今のうちだぜ。苦しまないようカイシャクしてやる」
一方。ソニックブーム達から少し離れた場所。
「アバー……」
ハーレーから投げ出され、糸の切れたマリオネットめいたポーズで寝転ぶヤマト・コキ。
彼女は、白く濁った瞳で空を見ていた。
セキバハラはネオサイタマとは違い、晴れの日が多い。今日も快晴だ。
(アサリ=サン……ショーゴー=サン……ゴメン……)
そのニューロンには、もう一度会いたかった友人たちと、自らのために命を落とした転校生の顔が次々と浮かぶ。
(アタイ……もうダメみたいだ……ゴメン……)
ヤモトの身体が、一際強く光り輝く!サクラ色のオーラが奔流となる!
彼女の周囲の爆発四散したニンジャたちの、遺された布が次々とツルの形に折られていく!
それにようやくニンジャたちは気がつくが、致命的に遅すぎた!
「な、なんだ?!」「何が起きている?!」
まるで死神の咆哮かのように、オリガミ・ミサイルが荒れ狂う!
ものすごい数!パーガトリーのカラテミサイルですら比較にならない!
桜色の軌跡を残し、折鶴が四方八方に翔ける!
「アバーッ!」「アババーッ!」
士気を落とし、呆然としていたザイバツニンジャも、ボロボロとなり咄嗟には動けぬソウカイニンジャも、奔流を逃れることはできない!
その場にいたニンジャたちは、次々と爆発四散!
「アババーッ!」「アババーッ!サヨナラ!」
おお、インガオホー……インガオホー……インガオホー……。
───ヤモトが発するサクラ色の光は次第に弱まり。
……その後、二度と輝くことはなかった。
【つづく】
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