【忍殺二次創作】ソウカイヤvsザイバツ【第十四話】
※※注意※※
これは『ニンジャスレイヤー』の二次創作小説です。
同じnote内に公式様の連載もあるので
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◇14◇
キョート・アッパーガイオン。観光の中心地、キョート城。
GRGRGRGR……遠雷が聞こえてくる。
「明日は雨か」見事に手入れされた白砂の庭。
そこを掃き清めるのは、グランドマスター、ケイビイン。
「イクサの趨勢は、どうなったでしょうか」
その傍らに付き従うは、直属の配下であるマスター階位、ペインキラー。
「……そんなものは」ケイビインはその手を止めることはない。「関係のないことだ」
彼はキョート城の防衛を司るニンジャであり、敵はソウカイヤだけではない。
いつ機に乗じて暗黒メガコーポやその他の敵対組織のニンジャが攻め入ってくるかも分からない。
偉大なるロード・オブ・ザイバツ。そのお膝元を守り続ける。
ケイビインが為すべきことは、その一点のみだ。
「例え誰が攻め入って来ようとも、返り討ちにする。そして、偉大なるロードのためにキョート城の風景を維持する。それだけだ」
◆◆◆
「イヤーッ!」
特殊なムテキ使いであるアロンダイトは、自らの身体を硬化させるとまるで剣のような状態になる!
ザイバツ・シテンノの最後の一人であるレッドゴリラは、アロンダイトを手に持つと、それを武器にしタイフーンめいて振り回す!
「イヤーッ!」
それに弟子であるサイクロプスも合わせて棍棒を振るい、ソウカイヤのニンジャたちをネギトロにしていく!
「イヤーッ!」「アバーッ!?」
あの嵐のごとき暴力に巻き込まれてはひとたまりもない!
「ここが使い所よ!」
少し離れたところから、ダストスパイダーは腕のサイバネ機構を発動!
テッコの先から、粘着性の白い塊が発射される!
左右一発ずつ、二発しか弾丸のない、ダストスパイダー奥の手である!
「グワーッ?!こ、これは?!」
レッドゴリラに見事命中したそれは、その瞬間猛烈な勢いで膨張!
レッドゴリラの動きを完全に封じ込める!
カーン!特徴的な発射音!
「アバーッ?!」高速回転するスナイパースリケンが、レッドゴリラの額を貫く!
「レッドゴリラ=サン!?マスターレッドゴリラ=サン!」
師匠の負傷にサイクロプスは取り乱す!
それをダストスパイダーはもう一発のクモノス・ジツにて狙いを定める!
「アバーッ?!」
だが、突如謎めいたスリケンが心臓から生える!
メンタリストの恐るべきゲン・ジツによるイマジナリースリケンである!
このフィールドはいつの間にか、彼の磁場により法則が書き換えられてしまっている!
メンタリストは隠れ、姿を見せない。このままでは、自在に生やされるイマジナリースリケンにて、大打撃は必至!
「フォハハハハ!」
だが、その磁場を押し払うのは……同じくゲン・ジツ使い、フューネラル!
彼はメンタリストとは違い、悠々とイクサ場の真ん中を進む!
彼がステッキを振ると、極彩色のムカデやハエの怪物が次々と生み出される!
「グググ……」
ダストスパイダーは辛うじて爆発四散は免れるが、立ち上がることもできず他のソウカイニンジャたちに引きずられていく。
「サイクロプス=サン、ヘイキンテキを乱すな……!」
レッドゴリラは頭を貫かれながら、爆発四散までには至らず!なんたるビッグニンジャのニンジャ耐久力か!
「ウォーッ!レッドゴリラ=サン!」サイクロプスは喜びの雄叫び!
「イヤーッ!」
レッドゴリラはアロンダイトを振り回し、ゲン・ジツの怪物たちを次々と斬り払っていく!
カーン!再び特徴的な発射音!スナイパースリケンがサイクロプスに迫る!
「グワーッ!」それを身を挺して弾き飛ばすのは、スカベンジャー!
「クソッ、これが最後のマツタケだ!」
スカベンジャーが懐からキノコを取り出し咀嚼すると、そのキズは見る見るうちに回復する!
「あのスナイパーニンジャ、厄介だぞ!」
「俺に任せろ!イヤーッ!」
ハイペリオンはテイクザットユーフィーンド・ジツを放つ!
周囲数十メートルにわたり暴風が荒れ狂う、乱戦では使いにくいジツではあるが、離れたスナイパーニンジャをあぶり出すには最適!
「グワーッ!」
衝撃波に巻き上げられ、ガントレットがその身を露わにする!
「ゴオオーン!」
だが、それを空中でキャッチし、落下を防ぐのはセンピードの巨体!
彼は背骨をサイバネ改造しており、六メートルもの長さにまで伸ばすことが可能なのだ!
「済マナイ、助カッタ……」ガントレットは感謝の言葉をかける。
「礼はいい、次の狙撃ポイントへ急げ!」
乱戦!乱戦!お互いに一歩も引かぬ、なんたる入り乱れし乱戦か!
◆◆◆
「イヤーッ!ムシアナ・ジツ!」
ダークドメインが虚空に手を突き出すと、そこに虚な空洞が生まれる。暗黒空間へのアクセス口であり、ダークドメインのみがそこに進入することができるムシアナだ!
そこからバチバチと帯電する黒い塊りを取り出す。
触れたものを対消滅させる、アンタイ・ウェポンだ!
「イヤーッ!」
アンタイ・ウェポン・クナイ・ダートを投擲!同じ質量の物質を消滅させるまで止まることのない、死の弾丸だ!
「ムッハハハハ!」
それに対し、ラオモトは防御の姿勢をとることもない。代わりに、周囲の石や小岩が浮遊しはじめ、猛烈な勢いでラオモトの周りを回転し始める!
ラオモトの宿す七つのニンジャソウルのひとつ、タナカ・ニンジャクランの念動力だ!
アンタイ・ウェポンは小石とぶつかるとその大きさを狭めていき、仕舞いには跡形もなく消える。
「フム……」
それを見たイグゾーションは、近くにいたのフロッガー肩に触れる。
「へっ?……アバババーッ?!」
フロッガーは目や口から黄金の光を発し痙攣!バリキ・ジツ!
「さぁ、行きたまえ」
イグゾーションが手を離すと、フロッガーはバンザイの姿勢でラオモトまで走り迫る!
バリキ・ジツによって引き起こされる爆発は、念動力では防ぐことは不可能!
「ムッハハハハ!」
ラオモトがナンバンとカロウシを構え、振る!光の筋が二本走ったかと思うと、フロッガーは四つに分断されている!
七つのジツを備えるだけではなく、なんたるイアイドーの腕前か!
「イヤーッ!」
爆発の瞬間、ラオモトは飛翔!
KABOOOOOM!猛烈な爆発が起きるが、むしろラオモトはそれすらも利用してさらに高度まで跳びあがる!
「ラオモト=サン!」
そこに飛びくるのは、ヘルカイト!
「気が効くでないかヘルカイト=サン!このイクサが終われば貴様をシックスゲイツに任命してやるぞ!」
「は、ハハーッ!」
ラオモトはヘルカイトを念力にて空中に固定すると、それを足がかりに反転!モズ・ダイブキックだ!
「イディオットめ!」
しかし、相手は触れるだけで消滅するアンタイ・ウェポンの使い手だ。真っ直ぐに落ちながらの攻撃は自殺行為では?!
ダークドメインは、巨大なアンタイ・ウェポンを盾として取り出し、落下点で待ち構える!
このままラオモトの脚はケジメされてしまうのか?!
「ムッハハハハ!」
ラオモトの目が怪しく光る!
「なっ……グワーッ!」
ダークドメインの身体が激しく痙攣!
「これは……カナシバリ・ジツ!」
そう、ラオモトが宿す七つのニンジャソウルのひとつ、ビホルダーのものと同質の『視線を合わせた相手の動きを麻痺させる』ジツである!
「グワーッ!」
ダークドメインは体勢を崩し、地面に倒れる!
普段のダークドメインであれば麻痺したぐらいで倒れはしないが、先程のゲイトキーパーとのカラテでえぐられた右足の影響!
KRAAAAASH!モズ・ダイブキックが突き刺さる!もうもうと土煙が上がり、両者の姿が見えなくなる!
「ラオモト=サン!ヤッタ!とったりー!」
空中でヘルカイトが勝鬨を上げる!
しかし、土煙がゆらめくと、ダークドメインが姿を現す。
数秒間、己の位相をズラすムシアナ・ジツの応用!
「アバーッ!」「アババーッ!」
そこに全身を発光させたクローンヤクザが殺到!バリキ・ミサイルだ!
「ヌゥーッ!」
着地を狙った完璧なタイミング!ラオモトに避ける術はない!
「クソッ……!」
だがこのままではダークドメインも爆発に巻き込まれてしまう。無理を承知のムシアナ・ジツ連続使用!
KABOOOOOM!KABOOOOOM!!
「グワーッ!」爆発!
ラオモトは爆風を受けるが、それを念力により多少は柔らげる!
「ラオモト=サン!?」ヘルカイトは狼狽!
「騒ぐな、この程度で!」
ラオモトは耐える!なんたるビッグニンジャソウル由来のニンジャ耐久力か!
「クソッ、イグゾーション=サン!俺までやるつもりか!」
ダークドメインはイグゾーションに向かい、怒りを顕にする。
「君なら回避できると思っていたさ。実際問題なかっただろう?」
対するイグゾーションは余裕の表情だ。
「……クソッ、このイクサが終われば、覚えていてもらおうか」
「イヤーッ!」
ラオモトはイグゾーションに向けてナンバンとカロウシを四方八方に乱れ斬り!
イグゾーションは素のカラテで受ける!
同時に念力で小石をいくつも飛ばす!一つ一つは大したダメージではないが、カラテの中に織り込まれれば厄介極まりない!
「イヤーッ!」ダークドメインはムシアナから新たなアンタイ・ウェポンを生成!インタラプトに向かう!
「クラエーッ!」
そこにヘルカイトがバクチクを連続投擲!
「イヤーッ!」ダークドメインはアンタイ・ウェポンで自らに降り注ぐバクチクは対消滅させ、爆風はムシアナにて素通り!
「ムッハハハハ!隙あり!」
「グワーッ!」
全くの死角である頭上からキックが降り注ぐ!
片足立ちでもう片方の脚を頭上にまで上げる奇妙な構え、サソリ・ニンジャクランのカラテだ!
「イヤーッ!」
地面に埋まるように膝をつくイグゾーションへビッグカラテ突進!オスモウ!
ナラク共振状態のニンジャスレイヤーですら正面から受けるのは愚策と判断した、猛烈なパワーを誇る一撃である!
「イヤーッ!」
それをイグゾーションはなんとかジャンプ回避!
「ムゥン!」
ラオモトの瞳が怪しく光る!カナシバリ・ジツ!
空中では取れる体勢も限られる。目を合わさざるを得ない!
「……とでも思ったかね?」
イグゾーションはただ闇雲に跳躍した訳ではない。彼が目指すのは、空中を飛ぶバイオスズメ!
「イヤーッ!」
バイオスズメを足がかりに更なる跳躍!その瞬間にバイオスズメはバリキ・チャージされラオモトへ向かう!ゴウランガ!
「まずはあの目障りなニンジャを始末することとしようか」
イグゾーションが目指すはヘルカイト!
次々とバイオスズメを飛び石めいて踏みつけつつ上昇!なんたるニンジャバランス感覚か!
「アバーッ!」
踏みつけられたバイオスズメは全てバリキ・チャージされ、目やクチバシから光を放つ!
バリキ・ジツは爆発させないよう命のギリギリまで活性させるのが非常に難しいジツだ。それを一瞬で完了させるとは、なんたるワザマエか!
「ヌゥーッ!」
バイオスズメは次々とラオモトの元へ飛来!
ラオモトは念力で操る小石でそれを尽く迎撃するが、空中のイグゾーションへ反撃することは難しい!
「舐めるなよ!イヤーッ!」
ヘルカイトは手にしたサスマタで応戦!
「ジャンプするだけの貴様と違い、空ではフーリンカザンはこちらにある!」
ヘルカイトはサスマタを横薙ぎに一閃!それをイグゾーションはブレーサーで受ける!
ヘルカイトは凧を開き姿勢を保つが、イグゾーションはなす術なく落ちるしかない!
「バカメーッ!」
ヘルカイトは追撃にタケヤリを投擲しようとし、ニンジャ第六感が最大の警鐘を鳴らす!
「イ……イヤーッ!」
ヘルカイトはがむしゃらに回避!そこをアンタイ・ウェポンの一撃が通り過ぎる!紙一重!
いつの間にかヘルカイトのすぐ後ろにまでダークドメインが回り込んでいたのだ。ムシアナ・ジツの短距離ワープを利用した気配なきアンブッシュ!
致命的な一撃は回避した。しかし、凧の強化ワ・シは無惨にも引き裂かれ、もはや飛ぶには用を為さない。
「オノレーッ!」
ヘルカイトはキリモミ回転し地面に落ちる!
「グワーッ!」
なんとかウケミするが、無傷とはいかない。そして何より、飛ぶことが出来なければ、あのグランドマスター二人を相手するには……。
「アア……スミマセン、ラオモト=サン……スミマセン……」
ヘルカイトは涙ながらに地面にへたり込む。
「愚か者め、誰が休んでいいと言った。その命、俺様のために最後まで使い潰せ」
ラオモトは地面にウケミする二人のグランドマスターに向けて、油断なく二刀流を構える。
「やはり思った通り、素のカラテではラオモト・カンの方が上のようだね」
イグゾーションは、自らのニンジャ装束についた土埃を払いながらダークドメインへ同意を求める。
「……俺はそうは思わん」
ダークドメインの返事は素っ気ないものだ。
「先ほど、ビホルダーという油断ならない強者と戦ってね」
イグゾーションは常に戦況を俯瞰し、考える。
「自分へギリギリまでバリキ・ジツをかけ、カラテを高める。やったことはなかったが、これが案外上手くいくものでね」
「……何が言いたい?」
ダークドメインは視線を返すことなく問い返す。
「自分にギリギリまでカラテ振動波をかけるのは、調整が難しくてね。あのラオモト・カンがそんな隙を作ってくれるとは思えない……時間を稼いでほしいのだが」
できるかね?
イグゾーションの視線はそう語っていた。
「……誰にものを言っていると思っている。貴族主義の鈍重なうらなりめ」
そうバトウしつつ、ダークドメインはこれまでになく極限までカラテを高める!
あのラオモト・カンを一人で相手にする。難しいが、やるしかない。
「いやはや、私に賛同する貴族主義のニンジャも、敵対するイクサ狂いどもも、みんな死んでしまった。残るは私たちと、あの忌々しい毒蛙だけだ」
イグゾーションは大きくため息をつく。
「イクサに来ようともしない、あの卑怯者のパラゴンを引きずり下ろす。キョート、ひいては世界はロードのもと我々高貴なるキョートのニンジャが支配しなければならない。そのためには、まずこのイクサに勝たなければ───協力して欲しい」
「よくよく舌の回る男だ」
自らの生死の瀬戸際にあっても権謀術数を張り巡らせるこの男を、ダークドメインは少しだけ恐ろしく思い、また少しだけ頼もしく思った。
───だが、己のすることは、カラテだ。カラテあるのみだ。
ダークドメインは、両腕にアンタイ・ウェポンを生成!
「イヤーッ!」
ダークドメインはラオモトへ飛び掛かる!決断的な踏み込みだ!
「何をするつもりかは分かっているぞ!イヤーッ!」
しかし、ラオモトもイグゾーションにバリキ・ジツを使わせる隙を与えるつもりはない!
先ほどセルフ・バリキを使用した際に、ビホルダーは決死のイクサにあって、そのジツをIRCにて情報を提供していたのだ。なんたる忠誠心か!
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」
二刀流と二刀流が、歯車めいて噛み合う!
ラオモトはアンタイ・ウェポンのため、ビッグカラテ突進やモズ・ダイブキックといった直線的なワザは封じられているに等しい!
しかし、ダークドメインもカナシバリ・ジツの存在から、視線を合わせないようワン・インチでカラテをするには動作が限られる!
そして、ラオモトの念力により巻き上げられた小石がアンタイ・ウェポンに触れるたび、その大きさは次第に小さくなっていく!
もしアンタイ・ウェポンが消滅すれば、ムシアナから新たな武器を取り出す隙はあるまい。
だがそれは、このワン・インチでの話。
ダークドメインには、一時的に全身でムシアナに入り、数秒間だけ己の位相をズラす無敵の防御術がある。
右腕のアンタイ・ウェポンが消滅!左腕のアンタイ・ウェポンも消滅!
「ここだ!イヤーッ!」
ダークドメインはムシアナを開き、短距離ワープを実行!
ラオモトの隙をつき、改めてアンタイ・ウェポンを生成……「イヤーッ!」
そこに飛び込んできたのは、ヘルカイト!
「オオォーッ!バンザイ、ラオモト=サン!!」
なんたる忠誠心!なんたる自らを省みぬ行動力か!ゴウランガ!
「アバッ……」ヘルカイトの頭から胸にかけて、アンタイ・ウェポンの一撃が突き刺さる。
「アバッ……アババッ……」そして、ダークドメインの胸にも。
名刀・ナンバン。
ラオモトが投擲したそれが、ヘルカイトごと、ダークドメインを貫いたのだ。
「サヨ、ナラ!」
ダークドメインは爆発四散!
「ラオモト=サン……バンザイ……サヨナラ!」
ヘルカイトも爆発四散!
「アッパレであったぞ、ヘルカイト=サン!ムッハハハハハ!」
しかし、ラオモトがイグゾーションへ目を向けると。
「オオオ……オオォ……!」
イグゾーションは、全身にバリキを満たし終えていた。
【つづく】
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