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【忍殺二次創作】ソウカイヤvsザイバツ【第二話】

※※注意※※
これは『ニンジャスレイヤー』の二次創作小説です。
同じnote内に公式様の連載もあるので、
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◇2◇


「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」

 ヘビ・ケンが舞い、フランベルジュが唸る!
 アースクェイクはその巨大に見合わぬ俊敏性で、フタツアタマヘビの恐るべき剣撃をいなしていく!

 普段であればその桁違いのニンジャ耐久力により、アースクェイクは敢えて敵のカラテを受け、そのままビッグカラテをお見舞いするところだが、この敵にそれは愚作。
 味方のコッカトリスと同じく、この二人もヘビ・ニンジャクランに連なるもの。ドク・ジツの使い手であろう。僅かな傷が致命傷になりかねない。

「コシャク!イヤーッ!」
 バジリスクが業を煮やし、バックステップから遠距離戦に切り替える。いかに高い俊敏性を持つとはいえ、スリケンの面制圧はいつまでもかわしきれるものではあるまい。
 バジリスクはアフリカ投げナイフめいた邪悪なスリケンを投擲!その時!

「イヤーッ!」
 ウカツ!もう一人の存在をすっかり忘れていた!ダイシュリケンが、アースクェイクの身体をギリギリ通り過ぎ、アフリカ投げナイフめいた邪悪なスリケンごとバジリスクに襲いかかる!アブナイ!

「イヤーッ!」
 KRAAAAASH!分離機構を作動させたニーズヘグのヘビ・ケンが伸び、ダイシュリケンを辛うじて逸らす!
 しかし、その隙を逃すアースクェイクではない。「イヤーッ!」ビッグカラテの代名詞、突進カラテだ!オスモウ!

「グワーッ!」
 ニーズヘグはジャンプしてかわすが、少し掠っただけネギトロになりそうなほどの衝撃を受ける。これが当たれば……ナムアミダブツ!
「ワッハハハハ!ワッハハハハ!愉快じゃ!」しかし、ニーズヘグはうろたえるどころか更なる哄笑!なんたるイクサオニか!

「ウオーッ!アースクェイク=サンを助けるんだ!イヤーッ!」
 四人のカラテを遠くから見ていたバタフライが、空中のニーズヘグ目指しスリケンを投擲!しかし!
「つまらぬ真似で水を差すんではないわ!イヤーッ!」
「アバーッ?!」ヘビ・ケンがバタフライの胸に突き刺さり、そのまま心臓を摘出!「サヨナラ!」バタフライは爆発四散!

 ニーズヘグは回転着地すると、ギラギラとした目でヘビ・ケンを構える。
「愉快、愉快じゃ。この混沌、ケオス。イクサの醍醐味じゃの」
「チィーッ、ニーズヘグ=サン。助けなどいらぬ。あの程度のスリケン、俺だけでかわせた」
「ワッハハハハ、そうかの」

 野生的でありながら理性的。混沌でありながら理詰め。恐るべき相手だ。アースクェイクは指揮官でありながら、イクサの采配を取る余裕がない。このままでは全滅やもしれぬ。さりとて、この二人を抑えられるニンジャはこの場には自分たちしかいない。
 このままではジリー・プアー(徐々に不利)だ。

「フタツアタマヘビ殿が血路を開いたぞ!推し進めー!!」
 鶴翼の陣の最も大事な中央。その中央の指揮が乱れ、ソウカイヤのニンジャたちは連携を欠き陣を形成できなくなっていく。
 それを見逃すザイバツではない。

「進めー!進めー!」
 先頭を走るウェンディゴの前に、巨漢のニンジャが立ちふさがる。
「邪魔よ!イヤーッ!」ウェンディゴはその巨漢の相手にカラテを仕掛ける!
 ウェンディゴは恐るべき握力の持ち主であり、身体に触れられればヌキテにより肉ごとそぎ落とされてしまう。防御は無意味だ!
 ……そう、身体に触れれば。

 ヌンヌンヌンヌン!超自然的な力により、ウェンディゴのカラテは吸いつけられたように相手ニンジャの数ミリ手前で動かなくなる。
「な、なんだこれは!?」
 ウェンディゴも歴戦のセンシである。だが、押しても引いても少しも身体を動かすことが出来ない!

 そのウェンディゴの目の前で、敵ニンジャは身体を捻る……捻る……捻る!
「ハイーッ!」
 独特のカラテシャウトと共に、無防備なウェンディゴに放たれるのは、超威力のタタミ・ケン!
「アバーッ!?」
 吹き飛ばされたウェンディゴは、地面に激突し爆発四散!
「サヨナラ!」

「ガハハ。中央陣にいるのはアースクェイク=サンだけだと思ったか」
 殺到するザイバツニンジャに対するのは、シックスゲイツ最強の男。
「インターラプター=サン!」
 消沈気味だったソウカイヤ陣の士気が、一気に上がる!
『こちらのザコどもは俺に任せろ。だが、俺は指揮はそれほど得意ではない、早めに交代してくれ』
 そうIRCにてアースクェイクに送信する。

 インターラプターの周りを何人ものザイバツニンジャが囲むと、次々とアイサツする。
「さぁて、いつまで持つか」
 インターラプターはひとりごちる。
 そう、彼には敵の強さ以上に、懸念する問題があった……。
 

◆◆◆


「イヤーッ!」
 コッカトリスは、右手の肘を九十度上方に曲げ、掌は蛇の顎めいた形にした奇妙な構え。そのまま、地を這うような低い姿勢でサラマンダーに迫る!
 ワン・インチにまで近づくと、急浮上するように上体を起こし、右手の蛇のアギトを顔面めがけ振りぬく!

「イヤーッ!」
 この恐るべき変則カラテを、サラマンダーは電光石火のブリッジ回避!
「コブラ・カラテか」
 サラマンダーは、ブリッジ回避の体勢を活かし、足をコッカトリスの首筋めがけ跳ね上げる!
 あれは伝説のカラテワザ、サマーソルトキック!
「そのカラテ、ザイバツのニンジャでも同じようなものを見たことがあるぞ!イヤーッ!」

「イヤーッ!」
 上半身をひねり、間一髪でかわしたコッカトリスは、両腕を鞭めいてしならせ、鞭打を連続して放つ!
 彼はドク・ジツの使い手でもあり、その爪にかすりでもしたら、いくらグランドマスターとてひとたまりも無いだろう!

 コブラ・カラテは身体の柔軟性が重要なカラテだ。たとえクランの憑依者とはいえ、完全にものにするには一朝一夕では不可能だろう。
「フーッ!」
 おお……だが、見るが良い、サラマンダーの動きを。まるでコッカトリスと鏡写しのようではないか!?
 両腕を蛇めいた形にし、腕を鞭の如くしならせ、鞭打を放つ!

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」

 KRAAAAAAAASH!お互いの鞭打が衝突し、相殺する!
「俺は、ニューロンに焼きついたカラテであればいくらでも再現できる。このカラテで、カラテのみでグランドマスターにまで上り詰めたのよ!」
 自らが血を吐くような訓練で身に着けたカラテを、そっくりそのまま使われるというのは如何なる気持ちであろうか。ここまでのカラテラリーは実際互角。しかし、コッカトリスの額からは、冷ややかな汗が流れ落ちる。
 そういった少しばかりのカラテの乱れが、タツジン同士では命取りとなる。

「そこだ!イヤーッ!」
 コッカトリスのワン・インチから放たれるのは……ダブル・ポン・パンチ!デスナイトの恐るべきヒサツ・ワザ!「グワーッ!?」
 これも間一髪、コッカトリスは蛇めいた柔軟性で上半身をひねると、何とかダブル・ポン・パンチの衝撃を不完全なものとする!
 しかし、完全にかわしたわけではない。ダメージは如何ほどのものか!?

「まだよ、イヤーッ!」
 倒れるかと見せかけたコッカトリスの身体は、まるで蛇がとぐろを巻くかのような奇怪な動きで、地面すれすれで回転。そのまま回し蹴りを放つ!
「焦ったなコッカトリス=サン。イヤーッ!」
 コッカトリスの目が驚愕に見開く。蹴りを放っていたはずの自分の体が、なぜかサラマンダーに組み敷かれているではないか。これこそ古代ローマカラテに伝わる5つの型のひとつ、獅子の構えである!

「グワーッ………イヤーッ!」
 背骨をへし折られる寸前、柔軟性を活かしなんとか関節技から逃げ出すコッカトリス。「ゲホッ、ゲホッ」コッカトリスは口からこぼれた血をぬぐう。これが、ザイバツ・グランドマスター。一対一、素手のカラテでは最強の呼び声も高い男か。

「その傷ではカラテの精彩もさらに欠くだろう。ハイクを詠むが良い、コッカトリス=サン」
 サラマンダーが悠然とコッカトリスに歩み寄る。
「『シックスゲイツの六人』に恥じない素晴らしいカラテだったぞ。キサマのワザマエは、俺の中で生き続ける」

 自らのカラテはさらけ出せばさらけ出すほど、吸収され学習され、同じ動きで対処される。そして、基礎的なカラテのワザマエはサラマンダーの方が上だ。認めたくは無いが、このままでは負けは確実。八方塞りだ。
 死ぬ。明確な死のイメージに、コッカトリスの思考は深く沈み、過去の出来事が脳裏に去来する。

(ムッハハハハ!ムッハハハハ!)
 ニンジャソウルの憑依。それによる万能感、得た超人の力。しかし、同時にコッカトリスは、蛇めいた醜い外見へと変貌。ソウルの誘いもあり、身体をさらに改造もした。
(見事だ、コッカトリス=サン!)
 だが外見など、あるじたるラオモト=サンの前では一切意味など無かった。

(ワシは弱者をいたぶるのが何よりの楽しみだ。だが、ニンジャは違う。ワシの役に立て。ヤクザのソンケイを得よ。そうすれば、お前には最高の暮らしと、うなる程のカネを約束しよう)
 とてつもないソンケイ。カラテ。カネ。その全てを持つ男が、自分のことを必要としてくれている。
(ワシの役に立て、今日からお前が『シックスゲイツの六人』だ)

 カッ!と眼を見開く。時間にして一秒未満の回想。だが、コッカトリスの意思は決まった。
「ウオオオーッ!バンザイ!ラオモト=サン!バンザイ!ソウカイヤ!!」
 コッカトリスは、あえて自らを鼓舞するように叫ぶと、高く跳躍!そのまま、空中で反転し柔軟性を活かした跳び蹴りを放つ!
「フン、ヤバレカバレか」
 いくら深手とはいえ、この大味なカラテがサラマンダーに通じるはずも無く……否!

「バカメーッ!!」
 ナムサン!コッカトリスの狙いは、蹴りをガードした無防備な身体に対する、蛇の大顎めいた両腕の引き裂き……ヘビ・クランの秘術、ダイジャ・バイトだ!コッカトリスは、決して勝負を捨てることなく、最後のチャンスに自らの最大の奥義で賭けに出たのだ!

 だが……おお、ナムアミダブツ。
「ア、アア………」
 ダイジャ・バイトは。
 僅かでもサラマンダーの身体に触れれば、毒にて死に至らしめただろうカラテは、ほんの数ミリ届くことなく、吸いつけられたように停止した。

「カラダチ……!」
 そう、これは以前サラマンダーと引き分けたインターラプターの秘術、カラダチ。
「お前の奥義、しかと俺のニューロンに刻ませてもらったぞ」
 サラマンダーは動けないコッカトリスの身体を絡め取ると、天高く跳躍!回転し、頭から叩きつける!ジュー・ジツの禁じ手、アラバマオトシ!
「アバーッ!?サヨナラ!!」
 コッカトリスは爆発四散!


◆◆◆


「アバーッ!? サヨナラ!」
 サンバーンの爆熱を受け、ナッツクラッカーは爆発四散!
 戦場はやはり、アースクェイクが予想したとおり、おおむねザイバツの優勢といった情勢である。

「推し進めー!勝利は我らにありー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!」
 ザイバツのアデプトニンジャ、カクタスが「ザイバツ」と威圧的に見事なショドーされた旗を振り、後方から士気を鼓舞する。

 ヒュルルルルル。ヒュルルルルル。口笛めいた音がカクタスの耳に入る。それが聞こえたのは上空から。……上空から?
 KABOOOOOOM!KABOOOOOOM!!ザイバツの陣地、後方で連続した爆発が巻き起こる!
「アバーッ!?」それに巻き込まれ、多くの後方支援ニンジャが爆発四散する。「サヨナラ!」カクタスも爆発四散!

「な、何事だ!?」「上、上だ!」
 はるか上空をものすごい速度でカラテ飛行するのは、二つのカイト……『シックスゲイツの六人』、カイトを操る恐るべきニンジャ、ガーゴイル!それに付き従うは、彼の部下であるヘルカイト!
 彼ら二人が高々度から急降下しながら、大型のバクチクを次々投下しているのだ!

 KABOOOOOOM!KABOOOOOOM!!爆発は収まることなく続く!このままでは陣地は総崩れ、前線のソウカイヤとの挟み撃ちにより全滅すら引き起こしかねない!
「俺に任せろ!」
 ソーサラーが果敢に爆発の渦中に進み出て、上半身を分離する。彼は全身をサイバネ改造しているザイバツでは珍しいタイプのニンジャだ。
 分離した上半身は、ブースターで上空まで飛び上がろうとした。その時!

「アバーッ!?」
「空でそれじゃあ遅すぎるぜ、アンタ」
 気流を上手く読み、凧によって自在に加速するカイト操作により、ヘルカイトが横から電撃的にヤリでのアンブッシュを仕掛けたのだ!
「サヨナラ!」
 ソーサラーは爆発四散!

 そう、ジツで自在に空を食べるほどのニンジャは実際少ない。ほとんどが、テックの力を借りなければ航空戦力を持つことは難しい。
 サイバネを忌避するザイバツにおいて、自在に空を飛ぶニンジャはいない。「イヤーッ!」彼一人を除いて。

「グワーッ!」
 ヘルカイトは突然のアンブッシュに驚愕し、浅くダメージを受ける。
「ドーモ、アイボリーイーグルです。空を飛べるニンジャはいないと、ザイバツを侮ったか。我がエアロカラテを見るがいい」
「ドーモ、アイボリーイーグル=サン。ヘルカイトです。フン、キサマ一人で何ができる!」
 ……熾烈なイクサが続く中、空でもまたひとつ、戦況を左右するイクサが始まった。


つづく


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