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【忍殺二次創作】ソウカイヤvsザイバツ【第九話】

※※注意※※
これは『ニンジャスレイヤー』の二次創作小説です。
同じnote内に公式様の連載もあるので、
紛らわしいタグはつけないようにします。
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◇9◇



 ……これは、開戦の少し前時系列。キョート城での会話。
「ポータル・ジツでネオサイタマまで行くのか」
 アンコ・ラムを傾けるこの男は、ザイバツ・グランドマスター。電算室室長、恐るべきエコノミックニンジャ、ヴィジランス。

「ああ。俺は元々一匹狼。しかも乱戦ともなれば、俺のジツはフレンドリーファイヤの可能性が増える」
 それに応えるは、同じくザイバツ・グランドマスター。恐るべきアンタイ・ウェポンの使い手。ダークドメイン。

「そうか」
 ヴィジランスは、しばし沈黙したあと、続ける。
「……ポータルの事故の確率はほとんど一定で三割ほどだ。往復するとなると、半分の確率で帰れなくなる。それでも行くのか」
「もとより承知の上」

「私は実際にイクサの場に立つことは無い。幾人もの同胞が死に、イサオシを立てるというのにな。……それを、歯がゆく思うこともあるよ」
 これから始まる大イクサを前にし、ヴィジランスは普段であれば絶対に言わないことをつい漏らす。

「……ザイバツはテックや電脳に疎いニンジャが多い。お前のように、サポートに徹してくれているヤツがいるから、俺たちは戦える」
 ダークドメインは、通信機器に手を触れる。
「お前にはお前の戦場がある。それだけのことだ」
 それは、どちらもロード・オブ・ザイバツからは厚い信頼を受けつつも、組織の中ではスタンドアローンとして戦ってきた両者だからこそあった会話なのかもしれない。


◆◆◆


「アバーッ!?」
 奴隷ハッカー無惨!
 ニューロンを焼かれ、今死亡したのが最後の奴隷ハッカーだ。電算室は屍累々とした惨状となっている。
「このっ……変態めっ!変態めェェェェ!」
 ストーカーは目から出血するほどニューロンを加速させ、直結LAN端子から思考の速度で電子タイピングを続ける!Kick!

「「「「ドドドドーモモモモ」」」」
 しかし、ダイダロスの多重ログインのペースには、全く追いつかない!
 ダイダロスは、ヴィジランスの防衛プログラムをイメージした電子戦車に電子ハイキック!
 防衛プログラムは爆発四散!
『ハッハッハッハッハ!』
 しかし、高笑いと共に、ヴィジランスの声がコトダマ空間に響く。
『私は生体LANを持たない。繋がっていないものを焼き切るのは不可能だろう?』

「いくらでも手はありますよ。イヤーッ!」
 ダイダロスが手薄になったキョート城のコアシステムに手をかけると……KARA-TOOOOOOM!キョート城電算室のUNIXが爆発する!
「イヤーッ!」その直前にヴィジランスは縦回転跳躍!
 隣のUNIXに着地すると、猛然とタイピングを再開!

「イヤーッ!」
 ダイダロスが電子カラテ!
KARA-TOOOOOOM!キョート城電算室のUNIXが爆発する!
「ヒヤリ!」その直前にヴィジランスは縦回転跳躍!
 隣のUNIXに着地すると、猛然とタイピングを再開!

「イヤーッ!」
 ダイダロスが電子カラテ!
KARA-TOOOOOOM!キョート城電算室のUNIXが爆発する!
「ハット!」その直前にヴィジランスは縦回転跳躍!
 隣のUNIXに着地すると、猛然とタイピングを再開!

 UNIXが爆発!UNIXが爆発!UNIXが爆発!
 その度にヴィジランスは縦回転跳躍!次々とUNIXを変え、イクサ場の通信、キョート市場の株価操作、ダイダロスへのKickを行う!
 もはや直結クローンヤクザは全滅、ハッカーニンジャも数名しか残っていない。
『正しき歴史』ではナンシー・リーと互角に戦った電算室だが、そのナンシーを手玉に取ったダイダロスには敵わないということなのか!?

「変態めっ!変態めっ!変態めっ!変態めェェェェ!……あっ」
 ストーカーが鼻血を出し昏倒!
「イヤーッ!」ヴィジランスはその瞬間、ZBRアンプルをストーカーの首筋に注射!ドクン!心拍再開!
 なんとかストーカーはニューロン死を免れる!
「ほう、直結しないで物理空間でも動き回れることが功を奏しましたね」

 KARA-TOOOOOOM!さらにUNIX爆発!
「アバーッ!?」最後のハッカーニンジャが爆発四散!
「このまま、UNIXの爆発で貴方を爆発四散させてあげましょう」
 意識を失ったストーカーがクローンヤクザに担ぎ上げられ、UNIXの前から引き剥がされる。
 爆発に次ぐ爆発により、残ったUNIXはストーカーが座っていたその一台を残すのみ!
「イヤーッ!」ヴィジランスが縦回転跳躍しその席に着地!

 大人しくUNIXから離れていればヴィジランスに危険が及ぶことは無いだろう。
 しかし、このUNIXを爆発させられては、ザイバツの連携は困難になる。
 ヴィジランスは、イクサ場で死闘を続ける味方の事を、ネオサイタマへ向かったグランドマスターを、あるじたるロード・オブ・ザイバツのことを思い、ニューロンを加速させる!

「イィィィ……ヤァアアアーーー!!」
 読者の方の中にニンジャ視力をお持ちの方はおられようか。だが、ヴィジランスのタイピングする指が見えることは無いだろう!
 これは電算室室長、グランドマスターとしての意地をかけた戦いなのだ!
 迫りくるダイダロスの偽装ログインをすべて押し返す!ゴウランガ!

「イヤーッ!」
 そこに新たなUNIXを担ぎながらエントリーしてきたのは……ストーカー!
「室長……まだ!まだやれます!」
「当たり前だ、遅れを取り戻せ!」
 ストーカーは驚くべきニンジャ器用さでUNIXを並列接続すると、生体LAN端子に直結!再び電子戦に身を投じる!
 0100110100……11010110100……。


◆◆◆


 KABOOOOOOOOM!!
 バリキ・ジツによりデスナイトはとてつもない爆発四散!
「ウグ……ググ……」
 それによってビホルダーは吹き飛ばされ、ボロ雑巾めいた無惨な有様である。
「イヤーッ!」
 それを確認したジルコニアによるカイシャク!

 彼の持つヒカリ・ジツは、攻撃を受けた箇所に虹色の結晶を埋め込まれ、そのまま成す術も無く結晶の成長と共に死を迎える。恐るべきジツだ。
 全身大火傷のビホルダーが受ければ、ただでは済まないだろう。
「イヤーッ!」
 だが、それを邪魔したのは四人のニンジャ!

「イヤーッ!」
 飛来したスリケンをルーシディティは全て打ち落とす!
「ドーモ、デビルフィッシュです」「レイザーエッジです」「ウォーターボードです」「アルマジロです」
 アンダーカードの中でも準シックスゲイツ級と名高い四人である!

「雑魚がウヨウヨと……イヤーッ!」
 パラベラムが新たに現れたソウカイ・ニンジャたちへ飛び掛かる!
「イヤーッ!」「グワーッ!」
 ゴロゴロゴロゴロゴロ!そのアンブッシュを体当たりにて跳ね返したのはアルマジロ!
 彼は背中を中心に装甲で覆うニンジャ装束を身にまとい、身体を丸めて転がることで恐るべき速度の回転攻撃をすることができるのだ!

「イーヤヤヤヤヤヤヤッ!」
 デビルフィッシュは背中に備えたカスタマイズ・サイバネアーム『イカ・フレーム』を展開!八本もの新たな腕が触手めいてうごめく!
 両腕と合わせて一度に十枚もスリケンを投擲!
 ルーシディティの飽和制圧攻撃を的確に防いでいく!

「イヤーッ!」
 ジルコニアの懐に入り、両腕からサイバネ・ブレードを展開するはレイザーエッジ!
 何もない所から内蔵型超振動ブレードが突然生える!
 これぞカスタマイズ・サイバネフレーム『カクシ・キリ』!
「グワーッ!」ジルコニアはその恐るべきサイバネに対応できず、浅くダメージを受ける!

「ビホルダー=サン、ここは一旦退きましょう」
 ビホルダーを背負うのは、ウォーターボードだ。
「どこへ行こうというのかい?」
 だがイグゾーションは、それを当然逃さない!
 イグゾーションは引き連れてきたクローンヤクザに軽く触る。
「スッゾ?」
 カラテ振動波を注ぎ込む!バリキ・ジツ!

「アバババーッ!」
 クローンヤクザがバンザイの姿勢のまま突進!爆発!
「グワーッ!?」
 ウォーターボードはビホルダーを背負ったまま何とか爆発の範囲から逃れようとするが、吹き飛ばされる!大きくダメージ!

「アバーッ!」「アバーッ!」「アバーッ!」「アバーッ!」
 次々とクローンヤクザをバリキ・チャージし、異常活性させていくイグゾーション!
「さぁ、行きたまえ」
 何人ものクローンヤクザが目や口から光を放ちながら、走り来る!
「グワーッ!?グワーッ!?グワーッ!?グワーッ!?」
 爆発!爆発!爆発!クローンとはいえ、人間一人がもつエネルギーとはこれほど巨大なものなのかと改めて驚愕せざるを得ない!

 ウォーターボードは背負ったビホルダーもろとも突風に巻き込まれる枯葉めいて翻弄!
 だが、ウォーターボードはその卓越したニンジャ平衡感覚により、空中で翻弄されようとも姿勢を崩すことは無い!
 彼は本来、水中でのイクサを得意にするアクア・カラテの使い手なのだ。

「イヤーッ!」
 ゴロゴロゴロゴロ!アルマジロはセキバハラに点在する巨岩を、丸まり回転したまま垂直に駆け上がる!
 ピンボール玉めいて傾斜を利用して浮き上がると、パラベラム目掛けて空中から強襲!
「イヤーッ!」
 パラベラムは肘のサイバネ機構を作動!拳を振りぬくと同時に火薬が点火され、その速度を底上げする!
「グワーッ!?」
 アルマジロはその回転体当たりをセイケン・ツキにて真正面から吹き飛ばされる!

「イヤーッ!」そのまま追撃するパラベラム!
 アルマジロの装甲の薄い側面を、肘のサイバネにより加速させた拳で猛烈な連打!
「グワーッ!グワーッ!アバーッ!?」
 たまらず、アルマジロは丸まり姿勢を維持できず連続側転でパラベラムから距離を離す!

「遅いぞ!イヤーッ!」
 しかしパラベラムの踏み込みの方が遥かにハヤイ!
 連打をやめ、腰を入れた強烈なストレート!当然ヒジの火薬で猛加速!
「アバーッ!?」アルマジロは悶絶!

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」
「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」
 デビルフィッシュは合計十本の腕でルーシディティの飽和制圧スリケンをなんとか相殺するものの、ルーシディティが摺り足にてジワジワと近づいてくるのを留めることはできない!
「バカな……こちらは腕が十本あるんだぞ!」
 しかしデビルフィッシュとルーシディティのスリケン投擲量は互角!

「イディオットめ……イヤーッ!」
「グワーッ!」ルーシディティはスリケンを投げた勢いそのままにショートフックをボディに叩きこむ!
 ルーシディティはイグゾーションの副官的な立場を預かるニンジャであり、指揮能力に長ける。だが、決してそれだけの男ではない!
「ゴボッ……ゴボボーッ!」デビルフィッシュは嘔吐!

「マスター階位のニンジャにカラテが無いとでも思ったか?イヤーッ!」
 デビルフィッシュのイカ・フレームを肘と膝で勢いつけて挟み込む!Krack!無残にもへし折る!
 Krack!無残にもへし折る!Krack!無残にもへし折る!Krack!無残にもへし折る!
「グワーッ!グワーッ!グワーッ!」

 元々なかった腕を増設し、それを自在に操作するというのは過酷な訓練が必要だ。産まれたときから多腕のバイオニンジャですら四本が限界なのだ。
 八本もの新たなサイバネ・アームを増設し、実践レベルでスリケンを投げられるだけでも驚嘆に値するだろう。
 しかし、ワン・インチのカラテとなれば話は別だ。
 デビルフィッシュはイカ・フレームでカラテを仕掛けるが……逆につかまれ、またへし折られてしまう!
「アバーッ!?」

「イヤーッ!」「グワーッ!」
 ウカツ!レイザーエッジはジルコニアのカラテをかわし切ることができず、その拳を胴体に叩き込まれる!
 そこから生えるのは油膜じみてテラテラと光る結晶体……ヒカリ・ジツである!

「カクシ・キリ!イヤーッ!」
 レイザーエッジは肘から展開したヒートエッジで応戦!
 攻撃を仕掛けようとしたレイザーエッジは身体をひねったときに、結晶を生やされた部分に激痛が走る!
「イヤーッ!」
 精彩を欠く斬撃!それを難なくかわすジルコニア!
「ウググ……」レイザーエッジの胴体に生えた結晶体はジワジワと大きくなり、動きを確実に阻害していく!

「イヤーッ!」
 ジルコニアが肩を目掛け袈裟にチョップ!
「イヤーッ!」
 それを防ぐべく、肩から新たな刃を展開するレイザーエッジ!
 だが、チョップはフェイント!ジルコニアは逆の手で抉るようなキドニーブロウ!
「グワーッ!腎臓グワーッ!」

 レイザーエッジの背中からは新たな結晶が生える!ヒカリ・ジツ!
 それによりさらに動きを制限されるレイザーエッジ!
「イヤーッ!」
 レイザーエッジは素早く状況判断。結晶ごと自らの身体を切り刻む!
「ほう」
 傷口をヒートエッジで焼き止血!
「ハァーッ……ハァーッ……!」これ以上結晶が育つことは防いだが、その傷は浅くない。荒く息を吐く。
 
 ビホルダーを撤退させるために駆けつけた四人であるが、このままではジリー・プアー(徐々に不利)だ。
 このまま皆殺しにされてしまうというのか?
「ビ、ビホルダー=サン……頼みがある」
 ウォーターボードはすでに満身創痍。クローンヤクザはまだ数十人はいる。耐え切れるはずもない。

「俺たちに、カナシバリ・ジツをかけてくれ」


つづく

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