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個人的USインディロック名盤5選

こんにちは。 音楽オタクのVTuber、杉並クナイです。音楽漬けの日々を送っています。

今回はいわゆるUSインディロック…もっとざっくりと言ってしまえばピッチフォークで高得点を得ているタイプの音楽(笑)の名盤を紹介します。前置きはこれくらいにして、早速本題へ。音楽評論っぽくカタめの文体にしてます。

The National『High Violet』

USロック史に名を残すべき実力派バンドの最高傑作。自分はThe Nationalの音楽性を「歌とギターの伴奏だけで成立するくらい強靭な主旋律を、緻密なミニマル寄りのオーケストレーションと激しいドラムで肉付けした音楽」だと認識している。

Leonard Cohen辺りから影響を受けた深く渋みのあるフォーク/カントリー寄りの感覚とロック的な勢いの完璧な両立。この辺りは、映画音楽の作曲家としてもキャリアを積んだデスナー兄弟の深い音楽的知識によるものだろう。今作は各楽曲の良さもアルバム全体のまとまりの良さも完璧で、前作『Boxer』と併せて全ての音楽好きに聴いて欲しい歴史的傑作。

Big Thief『Two Hands』

フォーク寄りのUSインディロックバンドの中でも作編曲・演奏共に間違いなく最高峰。儚げなのに確固たる芯があるヴォーカルが本当に美しい。

今回掲載した曲に顕著だが、シンプルなフレーズの反復なのに非常に滋味深いギターのフレーズはJohn FaheyをはじめとするAmerican Primitivismといったジャンルからの影響が伺える。また、この手のバンドにしてはドラムがかなりどっしりとした質感なのも、彼らの楽曲に「地に足のついた」ような印象を付与しているだろう。その辺りのバランス感覚も含めて、似たり寄ったりになりがちなフォーク近辺の音楽においてありそうでない絶妙なポイントを突いているように思う。

My Morning Jacket『Z』

USインディシーンの中でもオルタナティブ・カントリー寄りの為か今一つ日本での人気が低いように見受けられるバンド。この記事をきっかけに興味を持って下さる方が居れば幸いだ。

このバンドはもちろん楽曲そのものも良いのだが、とにかく圧倒的に凄いのは演奏である。The Allman Brothers Band『Brothers And Sisters』やPearl Jam『Ten』といった名盤に引けを取らない驚異的なアンサンブルの完成度。彼らの演奏は各楽器の「距離感」がとにかく絶妙で、その大らかで包容力のあるカントリー的な世界観を完璧に表現しきっている。

あくまで個人的意見であるが、このバンドは今作以前の作品はジャム・バンド寄りでやや冗長で、今作以後は持ち前の器用さが災いしてか「名盤」と呼べるような作品を生み出せていないように思える。楽曲のバリエーションとアルバム全体のまとまりが両立した今作が彼らの最高傑作だと断言したい。

Yeasayer 『Odd Blood』

エクスペリメンタル・ロックやサイケデリック・ポップと形容されることが多いバンド。ポップな歌+多層的な鍵盤楽器+トライバルなリズムという特徴からAnimal Collectiveとよく比較される。しかしながら、Animal Collectiveがフォーク寄りの音楽が出発点なのに対してこちらはR&Bやディスコといった所謂ブラック・ミュージックからの影響が色濃く、両バンドの味わいはその実かなり異なると言えよう。

強力な歌メロを主軸に複数旋律が絡み合う編曲を、あくまでポップに聴かせる非常に高度な音楽性は唯一無二。実力に見合った評価を受けられぬまま2019年に解散したのが非常に残念である。

Here We Go Magic『A Different Ship』

NEU!等のミニマル寄りクラウトロック+アフリカン・フォークといった音楽性で、今回紹介したバンドの中では知名度が低め。ヴォーカル兼ギタリストは西アフリカのフォークのみならず日本の琴やスパニッシュギターを研究したというだけあって、パーカッシブなギターがかなり巧い。

一聴すると引っ掛かりに乏しいやや地味な音楽かもしれないが、聴けば聴くほど多層的なリズム構成に引き込まれる。ナイジェル・ゴドリッチのプロデュースによる神秘的な空気感も素晴らしい。Paul Simon『Graceland』やTalking Heads『Remain In Light』が好きな方は是非聴いて欲しい作品。

如何だったでしょうか。今回は僕の好みもあってかフォーク寄りのバンドが多くなってしまいましたが、いずれギターロック寄りの作品なども扱っていこうと思います。。それでは。


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