2年間勉強してデータアナリストに転職した話
こんにちは、@kun1em0nと申します。初noteです。この度、2021年11月末を持って新卒から10年半務めた会社を退職し12月よりデータアナリスト職に転職しました。前職は大手JTCにてずっとデータ分析業務に携わってきましたが、転職活動を始めた時点では機械学習については未経験でした。今回、このような状態から無事にデータアナリストへの転職を成功させることができたので自分のこの転職経験が誰かの参考になればと思い、この記事を残すことにしました。
自己紹介
・現在36歳
・国立大学情報学専攻の修士卒(C++とか触ってました)
・大手JTCの総合職
・社会人11年目(これまで転職経験なし)
・業務でデータ分析経験はあったが、機械学習については転職活動開始時点では未経験
・機械学習の勉強を始めたのは2年ほど前から
・2児の父
前職について
大手JTCで働いていました。詳細には書けませんが入社3年目までは自社サービス保守業務に従事し、それ以降はずっと社内データの分析業務に携わり、事業における課題把握、解決方法の提案などに取り組んでいました。ただ、転職活動を始めた2年前の時点ではSQL、Excel、Access、SPSS(IBMのBIツール)を扱える程度のライトなデータ分析経験のみで機械学習についての知識や実務経験はありませんでした(SPSSで重回帰分析やクラスタ分析をしたことはありましたが理論的なことはあまり分かっていませんでした)。
前職の会社についてはとてもホワイトな会社で年間有給休暇20日の取得は必須、給料はそこそこですが社宅等に住むことができ家賃がほとんどかからなかったのでゆとりをもって家族と暮らすことができていました。給料も普通に働いていれば毎年昇給していくので傍から見れば辞める理由のない会社です。
転職理由
会社の求める人材と自分のキャリアビジョンのずれ
前職の会社ではプロフェッショナルではなくいわゆるゼネラリストとして会社の様々な業務を調整できる人材が求められていました。そのため、社員は2、3年のスパンで全く業務内容の異なる部署に異動するのが慣例でした(極端な例ですがコールセンターのオペレーターを管理する業務になったり、人によっては突然法人営業になることもありえます)。しかし、私としては今後もずっとデータ分析業務に従事し、その道でスキルを伸ばしたいと考えていたため、違う部署に異動になる前に転職したいと考えるようになりました。また、会社としてはゼネラリストを必要としていることもあり、データ分析部署を含め研究開発部門はあまり評価されない風潮があるように感じました。所属していた部署の上長からも「うちの部署はあまり評価されないから早めに異動したほうがいい」と言われたことが何度かあり、そのような状況に違和感を覚えていました。
会社でのデータ分析スキル向上の限界
どこの会社でも同じなのかもしれませんが、一つの会社で何年もデータ分析に携わっているとどうしても同じようなデータ分析の繰り返しになってしまいます。前職でも社内データの分析が主になっていたので、仮に異動せずずっと今の部署にいれたとしてもデータ分析スキルの向上には限界があると感じていました。
全国転勤
これも大企業ならではですが部署の異動と併せて全国への転勤もあります。これに関しては新卒で入社したとき当然転勤があることを覚悟の上で入社していたので独身のうちは特に気にしていませんでした。しかし、結婚し、子供が2 人できてからは考えも変化し、単身赴任はせずに子供たちの育児に参加し、成長をそばで見守りたいと考えるようになりました。また、転職活動を始めてからコロナ禍になり、企業によっては働く場所を問わないフルリモート勤務を採用する企業も出てきました。世の中の働き方も大きく変化している中、地方に転勤し家族と離れて単身赴任で働くことの意味が分からなくなりました。
以上のような理由から今の会社で働き続けることに疑問を感じ、転職することを決意しました。
転職活動期間
かなり特殊かと思いますが転職に向けて勉強を始めたのがおよそ2年前の2019年9月、企業の求人に応募を始めたのは今年の5月頃、内定が出たのは今年9月になります。本当は転職活動を始めてから半年ほど勉強やデータ分析関連資格を取得したのちにすぐに企業の求人に応募したかったのですが、コロナの影響で社会情勢も不安定になっていたため、コロナ禍が少し落ち着いてきた今年の4月頃まではただひたすら勉強をしていました。
転職する企業に求める条件・軸
転職活動するにあたっては以下の条件に当てはまるかを軸に企業を検討しました。
データ分析業務に専属で携わることができる
(2、3年での定期的な職種異動がない)データ分析組織としてある程度成熟しており、ノウハウがある
→これまでは割と自己流でデータ分析に取り組んできたところもあり一度、データサイエンスのノウハウが体系化されている環境で働いてみたいと思ったため様々なデータを扱うことができる
→今よりもデータ分析スキルの幅を広げたかったためテクノロジーを尊重する会社である
(研究開発職、技術職が正当に評価される会社である)転勤がない
会社の事業が安定していて、かつ給与が現状以上である
→子供がいることもあり、この条件でないと妻の理解を得られないと考えたため
転職に向けて取り組んだこと
転職活動を始めた時点で30代半ばであったこともあり、書類選考で落とされる可能性が非常に高いと考えていました。そこで、書類選考を突破するには職務経歴書の内容を充実させることが必須だと考えました。それに加えて、機械学習における実務も経験する必要があると考え、以下の内容に取り組みました。
なお、機械学習や資格取得に向けた勉強については、この2年間、仕事で帰りが遅くなるような日であっても必ず毎日3時間以上は勉強するように心がけてきました(そのせいもあり、モンスターエナジーもこの2年間ほぼ毎日飲んでいました爆)。
①機械学習の勉強、資格取得など
・Python3エンジニア認定資格(基礎/データ分析)
… Python、機械学習スキルを学ぶため
・統計検定2級
… 志望企業で働く友人から取得推奨資格になっていると聞いていたため
・ORACLE MASTER Bronze
… 志望企業の求めるスキルに「SQLやデータベースに関する知識」があったため
・AWSクラウドプラクティショナー
… 歓迎スキルに「AWSに関する知識」があったため
・AI Questへの参加
… 自身の機械学習スキルの向上のため
資格取得については、志望する企業の応募求人に書かれているスキルに関連する資格を意識して取るようにしました。ツイッター上ではよく「資格の取得はあまり意味がない」といった意見も見ますが、採用選考において仮に同じ能力・実務経験を持った2人が選考に残った際には資格の有無で有利になることも十分あり得ること、普段から勉強する習慣があることを企業にアピールもできることから、私個人としては資格取得も転職活動では十分に有効だと考えました。
②Qiitaへの技術記事の投稿
職務経歴書の内容はなるべく簡潔なものにする必要があるため、多くの内容を書くことはできません。そこで、WEBエンジニアのポートフォリオのように何かオプション的にアピールできるものを用意したいと考え、Qiitaに技術記事を投稿することにしました(職務経歴書には自身のアカウントのURLを記載するようにしました)。
③機械学習コンペへの参加
データ分析スキルの幅を広げるためにKaggleやSignate、atmaCupなどに参加しました。Kaggle Expertにはなっておきたいと考えていましたが結局現在もなれてはいません。私自身があまり器用ではなく、例えば資格の勉強を始めるとそれの勉強のみを優先してしまう性格のため、コンペにフルコミットすることができていませんでした。
④実務経験の充実
これまでデータ分析業務に携わってきましたが機械学習の面では実務経験がありませんでした。そこで、機械学習の実務経験を積むために自分が所属している部署の業務に機械学習を活用することにしました。詳細には書けませんが、社内で蓄積していたデータを用いて、会社で保有する設備のどこに異常が発生しそうかを予測する機械学習モデルを作成しました。取り組むに当たっては、所属部署の業務所掌を超えていたこともあり、組織長や上長、職場の同僚へ繰り返し説明・納得してもらい、やっと検討テーマとして認めてもらいました。作成したモデルの肝心の精度ですが、思っていた以上に良い精度を出すことができ、自社の役員クラスにも説明をする等、非常に良い結果を得ることができました。
転職活動で応募した会社と結果
コロナが少し落ち着いてきた今年2021年の5月頃から企業への応募を始めましたが、今回の転職活動においては企業2社のみに応募をしました。普通の転職活動では何十社と応募をするのが一般的かと思いますが、私の場合は先に書いた転職する企業に求める条件・軸でかなり会社を限定していたこともあり、結局応募はこの2社のみになりました。
選考結果としては、A社は最終面接落ち、B社からは内定をいただくことができ、B社の内定を承諾しました。
ちなみに転職エージェント・転職サイトは公開求人を見る用途でしか使わず、選考への応募はすべて志望する企業のHPから直接応募しました。直接応募にした理由は、転職エージェントから応募する場合には応募企業の選考の前にエージェント内選考がありますが、この余計なプロセスを避けたいと考えたためです。また、転職エージェント経由の場合、応募者の内定後に企業から転職エージェントへのインセンティブ(年収の2、3割程度)の支払いが発生しますが直接応募の場合それは発生しません。そのため、仮に同じ能力をもった2人の人材が直接応募、エージェント経由で応募してきた場合に、採用コストが低い直接応募のほうが採用されやすいと考えました。
取り組んだことの振り返り
資格取得やAI Questへの参加
募集求人には必須スキル、歓迎スキル合わせて10個くらい書かれていましたが応募時点では8個ほどは条件に当てはまっていました。そのため、選考の中でも面接官の方からは「募集職種にドンピシャですね」とか「スキルセットとしては申し分ないです」と言っていただけました。取得した資格のいくつかは内定をいただいた会社内でも取得推奨資格になっていたり、AI Questも社員に参加を推奨しているとのことだったので良い印象は残せたと思います。
Qiitaへの技術記事投稿
Qiitaに関しては技術記事の1つが多くの方から高く評価(1150LGTM、1400ストック)して頂くことができ、初投稿から1年半で2000Contributionsを達成できました。選考において面接官から直接の言及はなかったですが、ちょっとしたアピール材料にはなったのではないかと勝手に予想しています。
振り返りの総括
転職活動開始当初、まずは書類選考を突破することが自分の最大の課題だと考えこの2年間は職務経歴書を充実させることを意識してきましたが、転職活動において応募した2社とも問題なく書類選考を通過することができたので頑張った甲斐はあったと思います。
転職における反省点
よく「まずは本命ではない会社の選考で面接練習をしてから後半に第一志望の会社を受けるべし」と言ったりしますが私の場合、今回2社しか受けなかったのであきらかに面接の経験値が少なく面接内容はわりとひどかったかなと思っています(もともと面接が下手な性分だというのもありますが)。面接経験をしっかり積んでから志望企業に臨んでいれば今回最終面接で落ちたA社からも内定をもらえたような気がします。
12月から働いている会社・業務について
12月からは某大手IT企業のデータアナリストとして、データ視点でのクライアント向けマーケティングコンサル業務に従事しています。データアナリストというと機械学習まではやらないイメージがありますが、今の部署は機械学習もばりばり使う部署になっており、世の中で言うデータサイエンティストとさほど変わりはないように思います。今の会社では展開しているサービスも保有しているデータも非常に多様なのでこれから思う存分にデータ分析に取り組めそうで非常に楽しみです。
年収について
気になる年収については、現状以上を条件としていましたが、結果として現状からアップとなりました(希望していた年収通り)。マーケティング領域の業務は未経験なので正直希望する年収は難しいと思っていましたが、そこは期待を込めてこちらの希望を飲んでいただけたのかなと思っています。機械学習コンペの成績次第では結構なボリュームの奨励金も出るとのことなので頑張って年収大台を狙っていきたいです。
まとめ
以上、かなり長文になってしまいましたが私の転職活動のまとめです。
転職活動はおよそ2年間(ほぼ勉強などの準備期間)
転職に向けて取り組んできたこととしては機械学習の勉強、資格の取得、Qiitaへの技術記事投稿、実務における機械学習の活用
企業2社に応募し1社から内定
年収については現状よりアップ
年齢的に転職は難しいと思っていましたが、しっかりと準備をして転職活動に臨めば、30代半ばでも問題なく内定をもらうことが可能でした。コロナの影響もあり転職するのに想定よりかなり長い時間がかかってしまいましたが、目標をぶらさず日々勉強に励むことで何とか転職活動を成功させることができました。
年齢や経験・スキルなどの要因で転職を迷っている方にこの転職エントリが役に立つと幸いです!私もこれから新しいスタートですが、新しい会社でも活躍できるように頑張ります!
最後に
今回転職するにあたりずっとそばで応援してくれた妻には大変感謝しています。2年前から勉強を始めたとき、妻も某国家資格を取得すると言って一緒に勉強を始めてくれました。ひとりだと勉強をさぼっていたと思いますがこの2年間、妻が毎日勉強に付き合ってくれたおかげで今回転職を成功させることができました。妻は今も資格取得のために日々勉強を続けているので今度は私が妻を応援したいと思います。
【追記】この記事の投稿から1年4ヶ月後の2023年3月に妻も無事に某国家資格に合格することができました!
余談
子供が二人いると日々の勉強時間の確保が課題になってきそうですが、私の場合は子供たちを夜9時半までには寝かし付けすることができていたので、毎日だいたい夜10時~2時を勉強時間に充てることができていました。子持ちでも意外に勉強時間を作ることはできると思います。
毎晩モンスターエナジーを飲んでいたため、日中も強い眠気に襲われる期間がありました(おそらく軽いカフェイン中毒?)。しばらく断エナジーすることで解消されましたが、飲みすぎには注意したほうが良さそうです。
AWSクラウドプラクティショナーは比較的簡単なので取っておいて損はないです(10日ほど勉強して取得できました)。けっこうデータ分析関連求人の歓迎スキルに「AWSの知識」って書いてあるのでおすすめです。
ツイッター上でいわゆるSNS転職活動もちょっとやってみたかったのですが会社の同期・先輩が何人かフォロワーにいるので無理でした。もしまた転職する機会があれば是非SNSを活用してみたいです笑
追記
それぞれの資格取得にどれぐらいの期間をかけたのか質問があったので参考に載せておきます(並行して勉強に取り組んでいたものもあります)。
今回の記事では、転職エージェントの利用を非推奨しているわけではない点を補足しておきます。私の場合、転職活動開始時点で応募したい企業がおおむね定まっていたので直接応募にしたということもあります。転職エージェントを利用すれば、自分の条件に合う企業や非公開求人を紹介してくれたり、内定が出た際に自分に代わって企業に給与交渉してくれたりとメリットはたくさんあります。直接応募にするか転職エージェント経由で応募するかはその人の事情に合わせて選ぶと良いと思います。
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