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それは、あなたが変わったんじゃない?
全身黒。髭と長髪。どこにいてもオーラを感じる。そんな先輩がふらっとお店に入ってきたのは23時を過ぎる頃だった。久しぶりの再会である。ただ悲しいかな、お酒が入り始めて4時間を経過しているわたしの記憶はその頃からぶつ切りである。
先輩と初めてお会いしたのは、西粟倉村という人口1400人程度の村。当時のわたしはとあるプロジェクトに本気で取り組み、その結果、村にいられなくなる直前だった。初対面であるにも関わらず、飲みながら、泣きながら「悔しいです」と繰り返すわたしに真摯に向き合ってくれたのが、この先輩である。
そんなことがあったのだから、彼の優しさというのは誰よりも感じていた。だけど、今回久々に会った際に、さらに優しくなった、と感じた。お酒が回る頭で、どうにかそのことを伝える。
「以前より、優しくなったように感じます。何か変化ありましたか?」
うまく伝えられず何度か聞いた。
その都度、受け入れてくれるように彼は黙る。
最後にぽつっと
「それは、あなたが変わったんじゃない?」
本当に優しさって、こういうことかもしれないなって思った。
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