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列に並ぶと目の前を横切られる。
また目の前を横切られた。
行列に並ぶ。列が伸びれば伸びるだけ、横切る人が目の前を通る。どれだけ非効率でもわたしの前を通る。歪な十字が形作られる。
『カラオケ行こ!!』という映画のヤクザ。とても距離が近い。あえて、なのか、無意識なのか。その近さゆえに嫌がられることはあれど、最終的にその身体的距離にふさわしい精神的距離に落ち着く。ずるいな。『正反対な君と僕』という漫画ではそのことを「初速」と表現されていた。初速が遅い男は退屈で旨みを感じられない、と。わかる。けど、いやだな。そんな人たちばかりが跋扈する世界。
ボディタッチが苦手。その距離のつめ方。どれだけ冷静に振る舞おうとしても体が強張るのがわかる。異性でも同性でも同じ。体の強張りを精神力でどうにかコントロールするため、思考は浅くなり、話はおもしろく無くなる。「男性がドキっとするボディタッチ」じゃねぇよ。広めないでよそんなもん。
列に並ぶ。横切られないように前の人との距離を詰める。居心地が悪い。距離を空ける。案の定横切られる。小さな子が「ありがとう」って言ってくれた。
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