平山軽_ゆる文学/『あらゐけいいち全作品研究』再販

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平山軽_ゆる文学/『あらゐけいいち全作品研究』再販

■『あらゐけいいち全作品研究』発売中。 https://kumomajin.booth.pm/items/3719744 ■「ゆる文学ラジオ」公開されました。 ■note連載「文学は文学ではない。ゆえに文学である。」不定期更新。

マガジン

  • 文学は文学ではない。ゆえに文学である。

    論理的に崩壊していたり、飛躍した思想を眺めるのが好きだ。 言葉のバランス感覚を失ったテキストが愛しい。 妙ちきりんな悪文は見ていて飽きが来ない。 もちろん実生活においては、整合性のとれた文章を書かねばならない。 だけど、矛盾に満ちた人間を表現するには、それでは足りないと思う。 まずは書き手自身が、激しい矛盾に引き裂かれ、 文章もそれを反映していなければならないのではないだろうか。 文学とは錯乱である、とドゥルーズは言った。 このマガジンでは、そんな狂気に陥った言葉たちを掬い上げたい。 文章の出所は問わない。 名高い文豪から無名の人々まで、さまざまな来歴を持つことになるだろう。 そして、美文と違って多くの人から認められることのなかった、 「文学」を肯定していきたい。

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  • 固定された記事

ボケた文豪は、ボレロを奏でた。:晩年の武者小路実篤について 【#1】

文学が好きだ。文学のユニークな表現が好きだ。とりわけ、常識を大きく逸脱した文学の言葉づかいが大好きだ。 流麗な文体の作品も、もちろん魅力的ではある。だけど、既存の言語体系からはみ出したヘンテコな文字列に、より惹かれてしまう。 難解で、得体の知れない、世間では悪文と呼ばれる読み物。奇書と文学のあいだを綱渡りする、危なっかしい言葉たちのことを愛おしく思う。 その意味で、とある作家が最晩年に書いた散文には、読み返すたびに心を鷲づかみされる。八十九歳を迎えた文豪は、他に類を見な

    • 【翻訳】ドイツ語版『日常』単行本発売記念、あらゐけいいち先生インタビュー記事(2023/05/08)

      元記事:Interview mit Keiichi Arawi – Mangaka von „Nichijou – Das ganz normale Leben“ ・翻訳にはDeepLのドイツ語→英語、およびドイツ語→日本語の翻訳文を使用。 ・その上で、固有名詞の誤りを訂正し、意味の通らない表現について意訳を行いました。 ・翻訳のミスにお気づきの場合は、コメントにてお知らせください。 ドイツ語版『日常』(“Das ganz normale Leben”)の発売にあたって、

      • 「あらゐけいいち空想と妄想と想像と創造展」@大阪会場(+あらゐ先生サイン会)ルポ

        梅田ロフト開催のあらゐけいいち展に足を運び続けていました。 以前開催されていた東京会場・名古屋会場は、遠方のためそれぞれ数日間しか来場できませんでした。が、大阪は地元なので通いまくりです。楽しい。 「あらゐけいいち展」の展示内容についてはすでにまとめているので、今回は大阪会場と他会場の違いを中心にまとめようと思います。 あと、あらゐけいいちサイン会の写真も後半に載せておきます。 展示内容の詳細を紹介したルポはこちら。 同時開催の「日常レストラン」に関しては、こちらでま

        • 「日常レストラン」全メニュー紹介・原作ネタまとめ

          東京/名古屋パルコ開催の「日常レストラン」に行ってきました。(来店日:2023/01/24, 02/19-20) ※3/30追記:心斎橋パルコの会場にも行ってきました。 ポップで洒落た外装と作り込まれた漫画原作ネタが合わさって、『日常』ファンであればライト層もディープなオタクも揃って楽しめる、素晴らしい企画になっていたと思います。 ただ折角ネタが細かいのに、出典の検証をしている人がほとんどいなかったので(※)、この記事では各メニューの原作ネタを拾い上げていこうと思います

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          3本

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          「あらゐけいいち空想と妄想と想像と創造展」@名古屋会場ルポ【後編】

          名古屋パルコ開催の「あらゐけいいち展」に足を運んできました。(2023/02/19-20) 会場内は一部を除いて写真撮影可能だったので、この記事では物販ブースに関する様子をまとめようと思います。 展示会場の他ブースの紹介【前編】はこちら。 ※4/24追記:大阪会場の様子もまとめました。 同時開催されていた「日常レストラン」に関する記事はこちら。 「物販」スペースグッズの見本展示に加えて、商品説明イラスト・コメントがあらゐ先生の手描きになっているのがポイント。グッズは

          「あらゐけいいち空想と妄想と想像と創造展」@名古屋会場ルポ【後編】

          「あらゐけいいち空想と妄想と想像と創造展」@名古屋会場ルポ【前編】

          名古屋パルコ開催の「あらゐけいいち展」に足を運んできました。(2023/02/19-20) あらゐ先生の作家生活20年を振り返るイラストパネル、過去の同人誌やアイデアノート実物の展示、オーディオコメンタリー、サンリオコラボグッズ販売など、ファンにはたまらない展示となっていました。 一部を除いて写真撮影が可能だったので、会場内の様子を振り返ってみようと思います。 ※事前に開催していた東京会場にも足を運んでいたのですが、混雑のため会場全体の様子が撮影できなかったので、こちら

          「あらゐけいいち空想と妄想と想像と創造展」@名古屋会場ルポ【前編】

          おれはとほまち的人間、おれは定刻的人間にとどまるわけにはいかない。:「ゆる文学ラジオ」を振り返って

          ひとつの「とほまち」がうまれるのは われわれの頭上で 天使が「時」をさえぎるからだ (田村隆一) 以下の記事は、筆者の出演した『ゆる学徒ハウス』二次選考動画「ゆる文学ラジオ」に関する長い申し開きとなります。今日に限っては、いいわけしていいわけ。 動画内の補足説明については、別の記事にまとめました。 はじめに話し手(筆者)の声質が聞き取りにくかったり、早口が伝わりづらかったり、堀元さんとの会話のキャッチボールが上手くできていない箇所があったかと存じます。 しかしながら寺

          おれはとほまち的人間、おれは定刻的人間にとどまるわけにはいかない。:「ゆる文学ラジオ」を振り返って

          あいまいな日本のゆる学徒 :「ゆる文学ラジオ」の補足説明

          あいまいで〜す!(大江健三郎) 以下の記事は、筆者の出演した『ゆる学徒ハウス』二次選考動画「ゆる文学ラジオ」に関する補足説明となります。 筆者の拙い喋りと「とほまち」に対する漱石枕流、もとい申し開きは、別の記事にまとめました。 (※9/27追記) YouTubeコメントでのご指摘や、興味深い意見に対して返信をしました。 動画内の説明の補足Ⅰアリストテレス『詩学』~二葉亭四迷「浮雲」の辺り 開幕うんちくエウレーカクイズ 堀元さんが言及していた悲劇/喜劇の定義は、アリ

          あいまいな日本のゆる学徒 :「ゆる文学ラジオ」の補足説明

          丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、:晩年の丹羽文雄と「厭がらせの年齢」について【#3】

          ボケの最初の兆候が現れたのは、皮肉にも芸術功労賞のスピーチの最中だった。老人は黒い角棒とガウンを身にまとい、講演先の母校で若者たちを鼓舞していた。 スピーチにおかしな言動が見られたわけではない。聴衆はむしろ、老人の学識豊かな演説に惹き込まれていた。気になるところといえば、講演時間を大幅に延長していることぐらいか。しかし演説に熱が入れば、時間を超過してしまうのも珍しくはあるまい。 壇上に立つ聡明な老人に、疑いの眼を向けるものなどいなかった。文学者として名を馳せた彼は、人類の

          丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、丹羽文雄、:晩年の丹羽文雄と「厭がらせの年齢」について【#3】

          ボケた老人による前衛文学は、前衛なのかボケなのか。:小島信夫『残光』について【#2】

          『残光』の話がしたい。『残光』の話をしよう。 『残光』とは何か。それを説明するのはむずかしい。とてつもなく、むずかしい。 でも、むずかしくて全容がつかめないからこそ、『残光』は魅惑的だ。わたしは『残光』の訳のわからなさに惹かれている。憧れてもいる。ずっと『残光』のことを考えている。 わたしは多分、『残光』に恋をしている。 だから、この思いを伝えたい。『残光』について。明確な結論は、この場では出せないかもしれないけれども。 ◇『残光』とは何か。わかることから書き出して

          ボケた老人による前衛文学は、前衛なのかボケなのか。:小島信夫『残光』について【#2】

          『あらゐけいいち全作品研究』第一巻、再販開始しています。現在入手困難な自主制作漫画の図版や詳細な資料、現在に至るまでのあらゐの活動経歴も併録した一冊となっております。よかったら。 https://kumomajin.booth.pm/items/3719744

          『あらゐけいいち全作品研究』第一巻、再販開始しています。現在入手困難な自主制作漫画の図版や詳細な資料、現在に至るまでのあらゐの活動経歴も併録した一冊となっております。よかったら。 https://kumomajin.booth.pm/items/3719744

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          「日常 in TreeVillage Cafe」に行ってきました(2022/06/06)

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          『あらゐけいいち全作品研究』第1巻ブックガイド:あらゐ作品入門編~上級編まで

          あらゐけいいち全作品研究 第一巻「初期漫画(一九七七~二〇〇六)」『あらゐけいいち全作品研究』第1巻、BOOTHより発売中です。 あらゐ先生の漫画を知る上で、この上ない出来になっていると自負しております。興味のある方はぜひ。 以下この記事では、具体的にどのような情報を載せているのか、項目別にまとめています。本書の詳細をもっと知りたい方は参考してみてください。 入門編:あらゐ作品の根幹を支える要素の研究絵柄のルーツを知りたい あらゐ漫画・イラストの大きな特徴である、デフ

          『あらゐけいいち全作品研究』第1巻ブックガイド:あらゐ作品入門編~上級編まで