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あをによし 墨は墨屋【古梅園】奈良あるき

昨夜もドスンときた。
その度にいよいよきたか!と
慌てて携帯見ても、ネット見てもなんの警報、速報も情報も出ず
あれ? 夢?
朝、改めて調べると、ちゃんと揺れてた。

最近あちこちで揺れてますね・・・



今朝の空




さて先日の近鉄西大寺駅からスタートし、海龍王寺、奈良県立美術館前に寄っての
奈良あるきの最終目的地だったのが

『古梅園』

書道などされる方、奈良の伝統に詳しい方はご存知の方も多いのかな?
ワタシは昨年知りました。
奈良というより日本で一番古い製墨の会社。
創業1577年という。

そんな室町時代から続く墨屋さん古梅園は、ならまちに工房とお店を構える。



その、奈良の名産であり、固形墨の国内シェアは95%にのぼるという。
そう、ほとんどの墨がここ奈良で作られ奈良墨として有名なのです。

南部の墨の歴史は1400年近く遡り、仏教と共に盛んになった写経のために必要だった墨、中国から輸入されていたが需要が追いつかず国内で生産されるようになった。


古代の伝統を受け継ぎ、書の歴史と共に発展した奈良の墨で書かれる文字は
漆黒で極上の艶やかさがあるという。


ならまちの餅飯殿(もちいどの)商店街のアーケードと並行した道沿い
椿井町にその工場と店舗を構える。

JR奈良から歩いてるとその工房のサイドを通ってくることになるのだが
その規模は広大!ひと区画分はあり、正面の間口もかなり広い。



北側壁面




老舗だが慎ましい
奈良らしい店構え


漆黒の暖簾




はじめてこちらを訪れたのは4ヶ月ほど前のこと。
写経を始めて少し経った頃で、なんとなく筆で書くことに興味をもちだし
たまたまお店の前を通った時に、なんとなく入って行ったのだった。

とにかく写経は初心者で、今は筆ペンでなぞっているレベルで、
後々は筆で書きたいという旨をお店の方に伝えると、
墨のこと、筆のこと、そして硯のことをとても丁寧に教えてくださった。


ただその時はまだ筆で書く心の準備?!が出来ていず
道具一式を揃える覚悟がなかった(かなり大袈裟笑)
なので、写経和紙だけ購入して帰ったのでした。


握り墨


墨型パンフレット


製造工程が丁寧に掲載


銘墨
紅花墨




その後ずっと筆ペンでの写経を毎日続けていて、
やはりちゃんと筆で書こう!というのが今年の抱負の一つにして
また『古梅園』の暖簾をくぐることにしたのです。

お店の方が覚えていてくださり、また色々アドバイスをくださった。

前回の説明と、用途からいって筆と墨はほぼ決まっていた。
その時も踏ん切りがつかなかった大きな理由が、硯の選択が難しすぎて
決めかねたのでした。

もちろん長く続けたいので、ある程度のものは欲しいとは思ったが
そのある程度がどの程度にするかが、さっぱりわからず
もちろん価格も幅があり、かなり迷った。

実はこの日も結局、決められなかったのです。
これはワタシにはかなり珍しい優柔不断ぶり笑


ということで、なんと筆と墨だけ買って帰ったという始末・・・

大昔、CDが出現した時、プレーヤーを買う前に
CDをジャケ買いしたという前科もあったわ笑

硯なくして、筆と墨だけって・・・



かな用


油煙墨




筆は京都店で製造とのこと。
そう、寺町歩きの時あったわ!


イタチくん


色がいい!



ステキ




そう、どう考えてもおかしな話で・・・
スキーの板持たずに靴とストック持ってリフト乗っていたような?!



硯についてネットで調べてもみたが、結局実物を見ないと不安であるし
お店の方がとても信頼できる方だったので、買うならこちらでと思った。

ということで再再度暖簾をくぐり、板、じゃなかった硯を入手したのが本日。


4ヶ月前の初めての時におすすめと、見せていだだいた龍のコは
すでにもういず、そうでなくてもお値段的にちょっと手が出なかったが・・・


かっこよかった




そして先日、「これがいいわよ!」とお薦めだったこのコが
これからの相棒となった。


端渓硯
やはり中国の石が良いと





書道の心得もない、学生時代のお習字レベルだが
これから長く学び続けたいと思う書。

字(写経)だけでなくいつか『不染鉄』のような旅の絵日記を描けたらいいな〜
と夢は大きく・・・




大好物
色見本


今も昔も
変わらぬ光景





現在の16代当主筆
あれっ、
ここでこんなご縁が・・・
独り言です




先日訪れた時、中国系のお客さん御一行が買い物していた。

その後もワタシが説明受けている時に、中国系女性二人が入店しここで
極細筆ペンを購入して帰っていった。
その二人が試し書きした字を後から見てびっくり!
かなり美しく、書き慣れた筆運びというのか筆跡だった。
試し書きの紙には『羅』『台湾』と。

遥か昔に中国から仏教とともに伝わった墨や筆の文化。
こうして日本に根付き、伝統工芸というだけでなく実用として
受け継がれ、作られ使われている数少ないものであるように思う。

そしてそれが今度は中国、台湾などの方達に求められる、
日本のものづくりの実力を見たような気がした。


粒子が細かく均一で墨色の変化も少なく、深みとつやを含んだ墨色が出るのが
特徴との奈良墨。

400年以上、職人技が引き継がれ暖簾が続いてきたということには
きっと何か理由があるわけで
その理由をこの墨を通して確認してみたいと思う。




奈良晒の暖簾






変わらぬ技術と伝統の漆黒の墨、ご機嫌ブラック追加!


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