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あをによし 戒と魁と雲と【唐招提寺 鑑真和上坐像】奈良をみる


この日は西ノ京へ。

雲行き、いとよろし!












やってきたのは

今年2月に訪れ、ワタシの中で何度でも訪れたい場所になった唐招提寺



南大門



金堂



唐招提寺

現在の唐招提寺という名、当初は「唐律招提」と称していたという。

招提:チャートゥルディシャ・サンガに由来する中国語で、
   四方から僧たちの集まり住する所を意味する。



今回は入山後、御影堂へ直行。



御影堂




6月6日 鑑真の命日の前後三日間、御影堂とそこに鎮座する鑑真和上坐像が一般公開される。

その日程をカレンダーにしっかり書き込み、見逃すまいとしていた。
最近、うっかりするとあっという間に時が過ぎ見逃してしまうことが多々。
一年に一回という貴重な三日間。

最終日の7日がちょうどハタハタの日なので、その前に参詣。



大勢の人が訪れていた。


御影堂はもともと興福寺の別棟寺院、一乗院の宸殿と殿上の遺構を移築、復元されたもの。
華美ではないが重厚かつ品格あふれる建物。



今年一番お逢いしたいと思っていた方の一人。

鑑真和上



『寿像』
参拝記念の絵葉書より
こんなに明るくはないが・・



以前の記事にも記録したので、ここでは簡単に。

鑑真

14歳 揚州の大雲寺で出家した
21歳 長安の実際寺の戒壇で弘景律師に授戒を受ける。

その後 揚州大明寺で戒律を講義し、713年に故郷の大雲寺に戻り江南第一の大師と称される。

そんな中、仏教が浸透する日本で授戒制度を広めるにわたり、
授戒(戒を誓うために、10人以上の僧尼の前で儀式)できる僧を招請するために
唐へ渡った栄叡普照の要請で日本に渡ることになった。


その苦難の渡海は有名な話。


仏教を正しく伝え授けるためにという信念、強い強い心で貫いた道。

特に信仰を持たないワタシですが、鑑真のこの揺らがない強い意思と行動に
いつもなんとも言えない気持ちになります。

命をも惜しまない、命を懸けても貫き通すべく信ずるものがあること。

親が子供を命をかけても守ろうとするのは理解できる。

それが信仰のためにというのがやはり難解ですが、尊いことと強く感銘。


不屈の精神



そんな鑑真和上の弟子、忍基が講堂の梁が砕ける夢を見、師の死期が迫っていることをさとり、弟子達とその容姿だけでなく精神性を映す御影の制作を企てられた。

それが、この御影堂の松の間に静かに坐す 鑑真和上坐像

今に伝わる最古の肖像彫刻。


続く列に並び、厨子の中の鑑真像は暗くあまり良く見えないが手を合わせ一礼、
進むよう促されての一瞬の拝観。


拝観の列ではない部屋の隅の厨子の正面に座り、遠目で姿をじっと見つめてると、

暗いと思っていた厨子の中が目が慣れたのか、姿がだんだん見えてくる。

目を閉じ禅を組む鑑真像としばらく対峙させていただいた。



そして想う・・・・







この日の公開で楽しみにしていたのがもう一つあります。


東山魁夷が10年の歳月をかけて制作した障壁画襖絵たち。

5室68面の襖と床の壁面。

上段の間 『山雲』
宸殿の間 『濤声』
桜の間  『黄山暁雲』
梅の間  『桂林月宵』
松の間  『揚州薫風』
厨子絵  『瑞光』



『山雲』
上段の間



『山雲』

この画の描き出される景色、山肌に雲が纏わりつく幻想的で神秘的な姿を
ここ奈良にきて毎日と言っていいほど見ることができる。

朝、窓からの見える山の上に下に横にとうつろう雲の動きに毎回

日本画のよう・・・東山魁夷の画のよう・・・

とうっとりするのです。


そんな風景を見事に絵に表現されたものでした。



『黄山暁雲』
桜の間





ワタシは梅の間の『桂林月宵』が好きでした。


そして東山魁夷が鑑真と向き合い描き上げた、
の画にただただ感服。


美しかった。



人の流れに逆らいながら、『山雲』を見に戻り、今一度目に焼き付けて御影堂を退出。




鑑真和上がねむる御廟へ。

柔らかい光と、優しい葉の影を踏みながら参拝。









鑑真和上御廟










人の少ない道を通り戒壇へ。












そしてここ唐招提寺でワタシが一番好きな場所。



戒壇



扉の向こうの別世界も 夏模様。







戒壇前の薬草園





天平の甍は今日も厳かに




唐招提寺の金堂の荘厳に並ぶ列柱は、いつ観ても美しい。

この日は人が多かったので撮影はできなかったが・・・





映す





堅い信念で己の道を貫いた、古の偉人に改めて想った・・・・・


          
強くしなやかに生きたいと









順位をつけるのも野暮だが、南都で一番と言っていいほど好きなお寺。

ワタシの中でがお寺という感じではないのです

なんでしょう・・・

わからないが、寺院を訪れている感覚にならない場所。





また参ります








ということで6月6日はUFOがあっちいってこっちいって落っこちた日だけでなく
鑑真和上が天に昇った日でもありました。(笑)





南大門から東へ、秋篠川を渡りバス停へ。



秋篠川



雲映す



密談




雲近し







西の京の杜に眠る偉人に、山と海と風と月とそして雲をみた。





冬のある日に見た景色




大和(ニッポン)は麗し。











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