見出し画像

西国三十三所観音巡礼 【菩提山 穴太寺】京都

この冬になって一番の寒さかった朝、8時前に家を出るとチラチラ白いものが舞っていた。

今日は巡礼、京都まで遠征。
京都の札所、あと二箇所のうちの一つがある亀岡にむかった。

京都で嵯峨嵐山線に乗り換えるのだが、33番線。
そんなに線路があるんだ・・・
かなり長い車両編成だったが、そこそこ混んでいて
その乗客のほとんどが大人気スポット嵐山で下車した。

嵐山を過ぎると、トンネルが多くなり、トンネルを抜けるたびに美しい渓流が見え
これが保津川ね!

保津峡



山を越えたら広々とした景色になり、まもなく亀岡駅到着。
亀岡・・名前は聞いたことあるがどんなところかイメージは全くわかないが


亀岡駅


今回もアクセスだけ調べての参詣。
亀岡駅からバスに乗るという情報。ちょうど目的のバスが停まっていたので乗車。
今日も乗客三人。
しばらく市街地を通り、だんだん田畑が多くなり道も狭くなる。
善峯寺の時と少し似た風景で、山も見えてきたので山に向かうのかと思っていたら
田畑と住宅の間の街道筋に見えた仁王門の瓦屋根。


少し先の駐車場にバス停もあり、街道を戻ると正面。


降りたのはワタシだけ





仁王門の立派な入母屋造の瓦葺の屋根、柱の様子からその古さを見てとれる。

三間一戸の八脚門



赤い阿


赤い吽





仁王門をくぐり境内に入った時、
あーここはなにか凄い!
と、なんとなくビビビと。
正直、特に華やかだったり大きかったり特徴的な造りなわけでもない、
普通と言っては失礼だが、そんなお寺の佇まい。

しかし何かが違う・・・わかりません、何がか・・・


本堂
1735年再建


穴太時(あなおうじ)
山号 菩提山
宗派 天台宗
創建 寺伝によると慶雲二年(705)
開基 大伴古麿
本尊 薬師如来
   札所本尊 聖観世音菩薩
   御前立札所本尊 聖観世音菩薩


平安時代に当地、曽我部郷の郡司宇治宮成によって聖観世音菩薩を奉迎。  

この聖観音像は身代わり観音の伝説がある。

丹波国桑田郡の郡司をしていた男が都の仏師に依頼して聖観音像を造り、仏師に褒美として自分の大切にしていた名馬を与えた。しかし、与えた名馬が惜しくなった男は、家来に命じて仏師を弓矢で射て殺してしまった。ところが、後で確認すると仏師は健在で、聖観音像の胸に矢が刺さっていた。改心した男は仏道を信じるようになったという。
それが『扶桑略記』で宇治宮成と記されているとのこと。

これは『今昔物語』にも取り上げられているという。

一つ気になる記述がWikipediaに、
この聖観音像は1968年昭和43年)11月に盗難に遭っている。と
当寺のパンフレットには何も触れていないので、どういうことなのか??

秘仏というこで拝観はできずだったが・・・


観音様は拝観できないが、こちらには木造の釈迦涅槃像さまを拝見どころか
触れることができるのです。
明治時代に本堂屋根裏からお出まし(発見)になったという、これまた不思議な謂れのお釈迦さま。

自分の病の箇所と同じ部分を撫でて擦り返すと、お釈迦さまのご利益に与れるとのこと。
病ではないが弱いところ(頭と顔)をスリスリさせていただきました笑
ただ、しまった!
撫でさせていただいただけで、自分とすり替えししていなかった!
残念、変化なしだわ・・・



本堂を拝観後、境内をいろいろ見学。






特に目を引いたのが多宝塔の美しさ!

1804年に再建とのこと。

とても重厚で精巧な木造と瓦屋根がとにかく美しい佇まいで印象的だった。

多宝堂






遠目も美しい





円応院
庭園は閉園中









鐘楼も立派だった。

鐘楼
1759年建立




鎮守堂
天満宮



宇治宮成の墓




規模は小さいが、隅々までとても丁寧に美しく整えられた清々しい境内。
お寺の方曰く、「古いためとにかく維持、手入れが大変」とのこと。

銀杏も紅葉もみんな散った後で、静寂だけが残った中をゆったりと参詣することができよかった。
華やかなものがいっさいないからこそ、建物などの古さ美しさがより深く理解できたような気がする。


毎回思うが、こちらもこの巡礼がなかったらまず訪れることはなかったと思う。


静かに佇む



バス停に戻ると、広がる田園と山の景色。

山辺の道を日本の原風景とよく表現されるが、古代から変わらぬ風景は日本中にあるとワタシは巡礼していて思う。


山と田と空と雲





第二十一番札所



御詠歌  かかる世に 生まれあふ身の あな憂やと 思はで頼め 十声一声




木枯らし吹く丹波の国の美しい古刹をあるいた。

寒かった。

でも心はちょっとポカポカした、そんな気がした。

でも寒かった笑










いただいたサポートは古道活動に使わせていただき、歩いた記録をお伝えしたいと思っております。よろしければよろしくお願いいたします。