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徒然雲 染まらぬ美【不染鉄】奈良県立美術館

時折白いものがチラチラ舞う寒い寒い一日だった。


そんな寒空の中訪れたのが、奈良県立美術館。
久々に指折り数えて楽しみに待ち望んだのが『不染鉄』の展覧会。

昨年末にフライヤーを手にしてから、カレンダーに初日を書き込み
楽しみに待ち望んでいた。

初日は先日の土曜日だったが、平日の今日は美術館内は静かで
ゆっくり鑑賞することができた。


奈良県立美術館






日本画、まだまだあまり詳しくない中ずっと気になっていたのがこの

不染鉄

1891年6月16日 東京小石川の光円寺の住職不染信翁の子として生まれる。
そう、不染とは本名。

雅号は鐡二になっているものが多かった。
1976年2月28日に奈良で没する。

その間、伊豆大島や神奈川の大磯、京都などに住まい
その後他界するまで奈良で過ごした画家。

漂白の画家 と題された奈良県立美術館開館50周年記念特別展。

初めて実物の画を観た。

シビれた。(ワタシの最大級の感動言葉笑)


館内の写真撮影が出来なかったので、サイトやフライヤーからの
ツギハギになり見にくい記録になってしまうのが残念だが・・・



描かれる視点が俯瞰のものが多いのだが
遠目でも非常に精密で緻密な描写にみえ、思わずガラスにおでこをぶつけがちになる。

離れて観ても美しいが、よくよく見ると「あらっ、こんなことが!」と
その繊細さに目を見張る。

その視線と描かれたものはとても柔らかく優しく温かい。
色彩も淡くソフトなものでも、なぜかなんとなくの風景画で終わらない
ものを感じた。

またユニークな構図や表現で、それは浮世絵ともまたちょっと違った
繊細さの中に、どことなくユルさが感じられるものも多くワタシは好きですね。

色合いがダークなものでも、よくよく見るとちょっととぼけた仏様の姿あったり。



山海図絵(伊豆の追憶)
いったいどうやって見た?



秋声
樹々のサワサワ揺らぐ声が聴こえてきそうな





仙人拳(サボテン)
サボテン栽培に凝っていたとか・・



落葉浄土
秋深まる静寂の中
仏様たちのポージング





ただ、ゆるっとしたものだけでなく
『夢殿』のように、そっと遠くから静観したいような
心静まる作品もいくつもある。


夢殿
静かに静かに降り注ぐ雨の声が・・








そしてやはりワタシの目も心も夢中にしたのが墨画だった。

中国画の影響を受けたものから、不染鉄らしい画になっていくのがわかる。




南海之図



海を描いたものも多くあり、その中でも『弧帆』とタイトルのついた画が
ワタシは今回の一番好きな作品。

波たつ大海原に白い帆船が浮かぶその姿、
頑なで逞しく、堂々とたしなやさも感じた。



弧帆
ドキっとした




そして『弧帆』と同じぐらい気に入ったのが『春の信濃路』

友人と春の信濃の温泉街を訪れた模様に日記的な綴りを添えてある。

この縦の構図に素朴な画と素の書。

こんな旅日記が描けたらいいな〜
ワタシの古道あるきもこんな墨画で描けたらいいな〜
と本気で思った。
写真も鮮やかにしっかりと記録に残るが
絵、しかも墨画というモノトーンでのシンプルで表現
まさしく好みのスタイルだと思った。

残念ながら絵心・・・ゼロ


他にも添え書き付きの画がいくつもあり(和歌や詩でなく個人的な覚書?)
今でいう絵手紙のようで斬新かつ抜け感があり良い。
その字も達筆ということでもなく、味わいある愛らしい筆運びと文字の並びに
惹きつけられた。
いいなぁ〜



春の信濃路
最高の旅日記!




しめ





指折り数えて待っただけあった、とても見応えある展覧会だった。

まだ期間はあるのでまた観てみたい。

というより・・・美術館に忘れ物した・・・・
これはもう一度観なさい!という神様の仕業!?

いや、単におっちょこちょい笑


まずは第一回目の拝観は、初不染鉄の世界にちょっと衝撃と感動でアワアワした。




美術館の後は、東大寺付近をぶらぶら。

ワタシの頭は墨画でいっぱい。
見える風景もBLACK&WHITE!?



50周年の奈良県立美術館



県庁


渡り廊下




依水園に続く道


路地



蝋梅



酔っぱらい親子





旬の輪





戒壇堂前の階段




戒壇堂





ワイルドだろ〜





横顔




延びる




松葉のベッドで





脇道




古都にアロハ



くぐる





ワサワサ




大仏池




池に鹿




近い近い〜




宿る




貫禄





ワッサワッサ






路地の柱






つたう





宿りすぎ!







王者の憂い





東大寺も少し路地を入れば人も少なく静かに歩ける。

不染鉄の画の余韻に浸りながらの奈良さんぽ。



今年一番に観た画は嬉しい発見と感動で大満足。




染まらぬ鉄に色と墨で緩と弧をみた。







そしてまた・・・
フライヤーの沼




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