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徒然雲 【富岡鉄斎 知の巨人の足跡】@大和文華館

朝のイソピーちゃんの声に加えて、カラスや鳩の鳴き声がはじまり
大騒ぎ?!
カラスのカァーーカァーー、体が大きいせいか声も大きい、可愛くない。
カラスもピーピーピーヒョロロと鳴けばもう少し愛されるんでは・・・

そしてツバメも舞う、賑やかな暑い春の日の空。



この日も晴天の休日で嬉しい朝、お天気ならば・・
と用事の前に立ち寄ったのが大和文華館。
先週から始まった『富岡鉄斎』没後100年特別企画展を観たかったのでね。

今回のフライヤー、大和文華館にしてはかなりポップに頑張った感満載!笑


2月の景色とは打って変わって、駅から大和文華館に続く道の街路樹や
住宅のお庭の植木が色とりどりに鮮やか!

ハナミズキがあちらこちらで咲き始め、これまた道が華やぐ。
ピンクと白の二色交互に植るのをよく見かける、ワタシは一色の方が好みかな。


紅白




ということで、今回もこちらのお庭、建物を含めて楽しんで行ってみよう〜!


松林


コデマリも開花!



緑の幕の向こうに



前回観たの企画展『文字を愛でる』で改めて興味を引いた富岡鉄斎
まさにじっくり作品を拝見したかったところだったので嬉しい!

ただ、今回は展示の撮影は禁止だったので、あれもこれもの画像はないが
その分しっかり観て読んで心に留める努力をした。
が、やはり記憶は怪しいので、カタログも購入し復習に備えた。
図録というほどでなく、小冊子といったもので全展示品を網羅していなかったのが残念。



富岡鉄斎


法衣商十一屋伝兵衛富岡維叙の次男として生まれる。
学問を重んじる家系であり、幼い頃から和漢の古典などをはじめ
諸学に触れ、学者の道に進む。
なので、画家の前に儒学者という肩書きがつくのも納得の文人画家。

1924年に亡くなり享年89歳、今年没100年。

40代ぐらいからの作品が展示されていたが、道釈人物画や山水画、
物語画、など題材は多岐にわたる。

それら鉄斎のほぼどの画にも自題(賛)が書されているが、

「わしは意味のないものは描かぬ、わしの画を見るなら、まず賛を読んでくれ」

と鉄斎は述べていたそう。


今回もそれぞれの作品に丁寧な説明文が添えられていた。


印象的だったもので、カタログにも載っているものを記録しておきます。



蘇市笠屐図
蘇 軾
鉄斎が最も敬愛した人物
海南島に左遷された蘇軾が雨に遭い、農家に笠屐を借りて帰ったところ
婦女子に笑われ、犬に吠えられたという
逸話に基づく




ワタシは鉄斎が描く鍾馗図が好きです。


朱描鍾馗図
「正気駆邪」
正気(鍾馗)が邪気を追い払うという語呂合わせ




墨一色だけで描かれた、お気に入り!


寿老図
南極老人(カノーブス)の化身とされ、長寿をつかさどる寿老人
蝙蝠、福徳のシンボル



奈良の古梅園の墨を愛用していたとも!




今回の展示の中で一番好きだったのがこちら。

特に由緒ある古銅器の拓本に、肉筆で花や石などを描き入れる図が清末民初の
文人達に流行した図の形式。


挿花鼎図
三幅対
焦山寺所蔵の周時代の古器「無専鼎」の拓本に
明の文人画家、陳淳の画風に倣って
松、竹、水仙、鳳仙花、百合、霊芝、百合根、叭々鳥 、蝶・・・
吉祥モチーフてんこ盛り
鉄斎、80歳の画


この拓本に画を加える画風がとても面白く、ちょっと何か参考にできそうな・・・






攀嶽全景図
賛、長くて細かい!!
鉄斎54歳の画
ふ〜ん
54歳ね




そして、どんどん自由になっていく鉄斎の画風。
特に、この近藤家とのやりとりの書簡は前回の手紙の展示でとても印象的で
改めて鉄斎を知りたくなったもの。


これ(晩年の自由化)はどの画家もそういう傾向があると、
先日の福田平八などを観ても思った。


鮮魚図
80歳



絵葉書のはしり?!
こんなのいただいたら、額に入れるわ。


近藤家から送られた紅魚(アコウダイ)
「大吉」
古代中国の壺名から、字形をとったものと思われるとのこと



これら以外にも老子を題材したものや仏画、墨画などが観ることができた。




そう、鉄斎は奈良の石上神宮と大阪の大鳥神社で宮司をしていたこともあるという。これは興味深いこと。



改めて鉄斎の画を観ると、儒教のこと、中国の文人のことをもっと学ばないと
なかなかすんなり理解できないと痛感。

そしてやっと富岡鉄斎の入り口に立った今、もっともっと彼の作品を深く知りたく
観たいと思った企画展でした。

今回も大満足!



現在、京都でも同じく没100年展が始まっている。
行かねば!




関係者の方に、外と吹き抜けの写真撮影の許可をいただいた。
見張り付きで撮影(笑)


テラスから池を望む



展示室中央の吹き抜けの
青竹





絵葉書とカタログを購入して、またお庭をぶらぶらしながら帰ります。



やっぱり美しい













お庭がキレイなワケ





キレイに整った苑内を歩くだけでも気持ちの良いところ。








知の巨人の足跡に、画と書と楽を学ぶ。















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