人間とはよくできた生き物だ｜第3話　私の中にいる『ロビー』

前回のお話はこちらから

「すみません。はい。会社に戻る途中で倒れたみたいで。はい。とりあえず今日はこのまま失礼してもいいですか？申し訳ありません」

「はい。はい。そうさせていただきます。ありがとうございます。失礼します」

会社へ一報を入れ、ぼんやりとしながら歩き出した。

途中で路上喫煙区域を見つけ、一本吸っていこうかとも思ったが、何となくやめた。

（私の中にいるんだもん）

病院からの帰り道はほとんど覚えていない。

ただただ「私の中にいる」「私の中に『ロビー』がいる」という言葉が頭の中で渦巻いていた。

（なぜだろうか…）

家に着いてからはソファでぐったりとしながら、ぼんやりとしていた。

（この瞬間にも私の中に『ロビー』がいる）

私という私の身体の中に私ではない別のものがいる。

私の中にいる。

何を考えているか分からない『ロビー』が私の中にいるのだ。

（なんということだろう）

考えれば考えるほど苦しくなってくる。

（まるで昔映画で観たエイリアンのようじゃないか）

居ても立ってもいられず、後輩に仕事のふりをしてメールをした。

（売上の資料週明けでもいい？ごめん。今日早退してさ！）

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つづき