マガジンのカバー画像

ひとりごと小説

1
運営しているクリエイター

記事一覧

うたかた

うたかた

 君がこの世を去ってから、3度目の夏が訪れようとしていた。僕は相変わらず君のことを想い、時にその名を口にしている。
記憶という、いつ消えてしまうか分からない脆さをはらんだあやふやなものの中に、君の存在を少しでも長く留めておきたくて、日々、出来る限り多くのことを思い出そうとしていた。

それでも僕は、既にたくさんのことを忘れてしまっている。

僕の頭の中には、撮りっぱな

もっとみる