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長野克也氏講演会、鈴木宣弘氏講演会ほか、持続可能な農業と安心安全な食を求める活動を進めます【くまたね2023年度の計画】

2019年、県の種子条例制定を求めた請願運動から始まった「くまもとのタネと食を守る会」の活動も、4年目を迎えます。
その活動は種苗法の問題、在来種・固定種の課題、農薬の問題、ゲノム編集の問題と多岐にわたってきています。しかし、どの問題も根っこにあるものは同じ。食の安全や農業・食料自給を犠牲にした貿易自由化と、それを展開する世界的な多国籍企業の食の独占です。
私たちは個々の活動を進めていく時、常にその原点に戻りながら、地球環境の中で生かされる持続可能な農業と、安心安全な食を求める活動を、諦めることなく、多様な広がりを目指して進めていきましょう。

小農の権利宣言に感動!

2018年に国連で採択された「小農と農村で働く人々に関する権利 国連宣言」をご存知でしょうか?
多国籍企業の独占に何をすべきか、各論で振り回される私達に、それは「人権」の問題であるとして、多国籍企業が進めるグローバリズムと対抗しうる画期的な視点を提示しています。
 
その始まりが、2009年の国連人権理事会における「食糧への権利」の決議です。
「食糧への権利」とは、心も身体も健康に生きていくために必要な食料を自らの手で得られる権利のことで、もっとも基本的な権利のひとつとなります。人が尊厳をもって生きるために必要な最低限の約束です。

人権は知的所有権より上位の権利

「食糧への権利」では、食糧の基本である「種への権利」もうたわれています。この権利は、特許などの「知的所有権」を脅かすものとして米国やEUから激しい攻撃を受けていますが、「人権は知的所有権より上位の権利である」として、「農民の種の権利」が認められました。
日本ではこの国際法に逆行するかのように、種の特許が種苗法改正で強化され、在来種・固定種に対する農民の権利が脅かされています。
 
これは国境を越える農民運動ビア・カンペーシーナが10年の月日をかけて、驚くほど粘り強く、小農の権利を保障するための国際法の整備を目指して議論を重ねてきた結果、結実したものです。
国連総会では「小農と農村で働く人々に関する権利 国連宣言」は圧倒的多数の賛成で採択されました。もちろんグローバル化を進める英米など8カ国は反対、日本は棄権でした。

食糧安全保障は国の基本「飢えさせてはいけない」

現在、ロシアvsウクライナ戦争が勃発したことで、世界中が食料争奪戦に動き、国内の食料が不足しかねない状況となっています。
カロリーベースの自給率は2020年で37%というのは有名な話ですが、農産物の基礎であるタネの自給率は10%、化学肥料はほぼ100%輸入、畜産の飼料(主にとうもろこし)の自給率はほぼ0%、鶏のヒナまでも輸入が大半という実情を、誰が知っているのでしょうか?
種や飼料の海外依存率まで視野に入れた本当の自給率を知れば、日本の食料安全保障がいかに脆弱なものであるか、恐ろしくなるほどです。
もはや、日本における「食糧への権利」は、侵害されています。
これらのことを今年度は、鈴木宣弘氏を招いて学びましょう。

タネの本来の生命力を知り、在来種・固定種の輪を

各地で有機農業関係団体が長きにわたって開催してきた種苗交換会。熊本においても、くまたねの参加団体である「たねと未来くまもと」などによって20年以上おこなわれてきています。
種採りは、不思議な魅力のある作業で、最近は農業者を超えて、家庭菜園を営む消費者にも広がっています。
また、人類よりも長く、あらゆる地に適応し、地球で生きながらえてきたタネが持つ多様性と生命力の面白さを知ることは、人が在来種、固定種を採取してきたのではなく、タネに導かれてきたことに気づかされるでしょう。
これらのことを、タネとの出会いを求めて世界中を走り回っている、くまたねの顧問・長野克也氏から学びます。
これは、遺伝子を操作してタネを作る最先端技術と言われるゲノム編集の問題への、思想的対抗軸となることでしょう。

今年は飲料水の調査を

グリホサートやネオニコチノイドの勉強と調査を始めて3年目となります。一般社団法人・アクト・ビヨンド・トラストの助成を受けて実施するものです。
農薬メーカーも多国籍企業の動きと切っても切れないものです。シンジェンタ(スイス)、バイエル(独)、BASF(独)、ダウ・アグロサイエンス(米国)、モンサント(米国)、デュポン(米国)の6社で、世界の種子・農薬市場の70%近くを占めているのですから。
今年度は、飲料水に含まれるネオニコチノイドと窒素肥料の成分硝酸態窒素を、年間を通じて検査をする予定を立てています。
人間の尿からネオニコチノイドが検出されることは2022年のデトックスプロジェクトで明らかにしてきましたが、飲料水の検査に踏み込むのは今年が初めてです。

文:はざま-宮田すみこ



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