熊本の農業に黒船襲来!
木之内さんの話は、TSMC(台湾の世界最大の半導体企業)という黒船が来る前の農業の現状からはじまりました。
「エーッ、今日はTSMCのことではないの?」と思った人も多いいはず。実は、TSMCの問題を考える時、この伏線が重要なんです。
日本の農業を支える人の8割が60歳以上で、そのうちの50%が70歳以上。
そう、半数が70歳以上!!!
その内訳は、専業農家が16.5% 第1種兼業(農業所得を主とする)が19.2% 第2種兼業(農業所得を従とする)が64.3%。
家庭菜園的にやっている第2種兼業農家が半数以上ということを問題としているのではありません。
専業農家が16.5%だという現状からTSMCの問題を見ると、みえてくることがあります。
菊陽町周辺ではそれまで借りていた土地を返してくれと「かしはがし」にあって農業が続けられなくて困っているという報道が続いていますよね。
そう「かしはがし」なんです。農業をやっていた人が、TSMCに売ったわけではなく、農業をやっていない農地所有者が、専業農家に貸していた農地を売るので、返して欲しいと言ったということです。
それまでは、あの菊陽の広々とした黒ボク土(とても土がいい農地です)の農地ですら、年間1万円で貸し借りがされていました。売っても50万にしかならない農地を、先祖から受けついだ農地だから荒らすわけにはいかないと、年間1万円で貸していたその土地を、800万で売って欲しいと言われば、売るでしょう。。。。
TSMC に売らなくても、駐車場にするだけで月に10万、年間120万入ってくると言われれば、心は動きます。
木之内さんは、菊陽町の特産品である人参を大規模に作っている専業農家ほど打撃をうけていていると言っていました。だってそれまでは、農業をする人もいなくて、誇りをなくした農業の土地代は、ないに等しかったので、1万円で借りることができたのですから。
畜産農家も飼料作物を広く作っています。これは儲かる作物ではないです。でも面積は必要な作物です。輸入飼料が高騰しているので、国産飼料をつくりはじめて畜産を守るためにつくっている作物です。安い借地にトウモロコシとかを植えることで、畜産農家はこの飼料の爆あがりの時代に、生きながらえてきたのです。
そうやって耕作放棄地になる可能性のある農地を守っていた16.5%しかいない専業農家が、「かしはがし」でなりたっていかなくなる可能性でてきた。では、菊陽町の農業はどうなるのか?
誰にも見えません。見えるのは、都市化の波です。
TSMCという黒船が来る前から農業の未来は危なかったのに、どうなるのでしょう?
TSMCが及ぼすという経済効果に、農業は入っているのでしょうか?誰か、それを計算したのでしょうか?
どうせ、農業ではやっていけないのだから都市化しようよと、お札でビンタをはられた気分です。
菊陽町周辺の人件費は高騰し、掃除をするだけの人で時給1500円。1500円も払えない農家の手伝いに来る人がいるとも思えません。
水環境への影響ははかりしれないですが、行政の縦割りも弊害となっていて、農政だけでは対応ができないようです。そもそも、農業はどうやって水資源を守ってきたのかということに答えられる人も少ないでしょう。阿蘇の草原の維持、田んぼでの稲作、縦横無尽に走る水路、これら全てが地下水を作っています。その農業の担い手が高齢化でいなくなる。野焼きの担い手も厳しいから、野焼きをしなくていいように草原をやめて木を植えようという話もありますが、それでは熊本の地下水を守れません。菊陽町の農地は、水を吸わないコンクリートに変わっていくようです。
農業の未来全般について、木之内さんの話では明るい未来はみえませんでした。
それでも、TSMCの黒船襲来には、「熊本県農業と半導体産業等の共存共栄に関する研究会」
を立ち上げられ、意見を交換し、東海大は調査研究をおこない、提言をまとめる予定だと言われたことに期待します。
共存共栄はありうるのか・・・・・
私たちも、これからおこる農地や人手不足、交通渋滞、環境の変化に対して、住民目線からの意見を行政にとどけないといけません。
講演会では、TSMCの環境アセスメントのがれの問題もでてきました。それらTSMCに直接かかわる問題は、後日まとめてみます。
文:はざま-宮田すみこ
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