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40年後の愛川町へ~「愛川町公共施設等総合管理計画(案)」~ (愛川町日記 2016年12月7日より転載)

早いもので、2016年ももうすぐ終わりです。
今年の愛川町も様々な事がありましてね。
私としては、今年は「審議会」にあまり行けずに・・・
なんとなく審議会の開催タイミングが読めてきた気がしたんですが、まだまだ甘いですね。
2016年のまとめは後ほどとして。


40年後「マイナス199億円」か「マイナス34億円」か。



どちらにしろ。
なかなか衝撃的な金額です。

愛川町公共施設等総合管理計画

策定までのスケジュールなどは こちら を見てもらうとして

現在、町民からのパブリックコメントを募集中な計画です



要するに。本当に簡単に言えば

「町の建物とか施設をこれからどうする?」

という計画です。


昭和30年代の日本高度成長期、イケイケどんどん的な感じで「公共施設」が、不要・必要な十分な論議があったのか別にして、競うように造られました。それは、愛川町の公共施設も同じ。

そして、その古き良き時代に作った「公共施設」が、全国的にほぼ同時期に修繕・更新をむかえます。当然、修繕・更新には費用や労力を使います。体力のない自治体は、それらの作業が十分に行えない可能性もあり、「廃墟化」や「重大な事故の可能性を含む施設」になる恐れがある。だから、今のうちに施設の「使う」「使わない」「壊す」「残す」の精査をして早目に対処してくださいな、
というのが、平成25年11月に国によって策定された「インフラ長寿命化基本計画」で、それをうけて「公共施設等総合管理計画」を各自治体で制定する事となりました。

自治体の十分な管理ができずに老朽化や修繕不足からの事故は「ふじみ野市立大井プール事故」などがあげれれ、十分な管理ができていない施設は事故の危険性を秘めています。

耐震などにも問題を抱える施設もありますし。愛川町の約半分の施設が旧来の耐震基準(中地震に耐えるように設計)であり、新しい耐震基準(中地震に対して損傷しないことに加えて、大地震に対して倒壊しないことや、平面と立面的にバランスよくすること等)ではない点は、いくら愛川町が地震が少ないといえどもどうなのかな、と少々不安になります。



そして、今のままの公共施設を、今のまま使い続ければ
修繕と更新で愛川町は40年後「199億円」の赤字という途方もない金額を抱えます。
平成27年度の一般会計予算は117億4400万円。
あれ?完全に予算オーバー?
これはやばい。
ということで、公共施設の延床面積を今の30%カットする。
それが愛川町の管理計画です。

まあ、でも。どちらにせよ、赤字のようで・・・
(延べ床面積を30%カットすれば、47年後には黒字に転化するそうです。)




じゃあ、


古い施設は壊せばいい。


そういう単純なロジックではないのです。


「新しい」と「古い」で見る





88施設。
主な施設だけでもこれだけあります。

現役バリバリで、多くの人が利用している施設も多いです。

最近できた主な大型公共施設建設事業としては、愛川町郷土資料館(2007年・2008年)、健康プラザ(2012年・2013年)、
公共インフラ事業としては、幣山下平線道路建設(2005年から2013年)が挙げられます。

これら88の公共施設には、全部で131棟あり、築20年以上が102棟(全体の約87%)、築30年以上が63棟(全体の約53%)と総じて言えば「古い建物」が多いです。

この中から、延床面積30%をカットする。

その「判断基準」として置くべきものはなんでしょうか?

確かに、「建築年数」というフレーズは、今回の場合一番の「基準」です。
老朽化も当然ですし、「バリアフリー」や「耐震」など時代にそぐわないものもあるでしょう。
修繕・改築をするコストとにらめっこしてどうなのか、ということですね。

パブリックコメントを求めている「愛川町公共施設等総合管理計画」。
その資料ですが、「判断基準」となるいくつのパーツがないような気がします。

まずは「施設の稼働率」です。
どれだけその施設が必要とされているのか。
その数字が見当たらないです。
稼働率が低ければ、その施設の必要性がないので、思う存分更地なりなんなりすればいい。
ただ、稼働率が高く、周辺住民からの必要性が求められれば、修繕・改築などの空白期間を置かずにできるだけ迅速な改築・修繕を求める。
ごくごく自然に考えればそうです。古くても、そこに集まる人々がいればおいそれと建て壊すことなどできないでしょう。

「統計あいかわ」の数字を出します。

例えば、88カ所の施設のうち、「文化施設」に区分される「公民館」です。







「稼働率」でみれば、「半原公民館」「文化会館」は横ばいか減少にあり、「中津公民館」は大幅に上がっている年があります。
(資料が古いのが残念ですが)

特に、数字上でみれば大幅に稼働率が落ちている「文化会館・楽屋」の「和室」「洋室」の必要性は疑われますな。


そして、もう一つの「判断材料」は「地域性」です

例えば、として。「公共施設」ではなく「公共インフラ」となっている「スポーツ施設」を。

こちらも「統計あいかわ」から。



比較しやすいように横並びにしましたが、ちょっと見にくいですね。

愛川町内の「ソフトボール場」です。4箇所あります。
田代、坂本、志田は四年間で大幅に利用人数を減らしています。
対して、二号公園は微増、小沢は横ばいです。

田代運動公園はソフトボール場以外の他の施設は利用者数は増加しています。

志田と田代、坂本と二号公園を一元化する事はできないでしょうか?
はたまた、愛川町にソフトボール場は4カ所も必要なんでしょうか?

と、いう声が聞こえてきそうです。

先出の公民館の例をもう一度出せば、半原公民館が規模を縮小した場合、その補完的な場所は現時点では半原内にはなく同様の公民館は文化会館・中津公民館になります。半原からの距離は遠く、当然半原公民館利用者にとってなんら魅力のない公民館活動となりえますね。

「稼働率」「地域性」



今回の「愛川町公共施設等総合管理計画」は

「128,585㎡のうち30%の約39,000㎡を古い建物から削りなさい」

という単純な数学の問題ではありません。そんな数学的な答えなら「文化会館あたりをどーんと」という乱暴な答えまで存在できます。

そうではありません。

「128,585㎡のうち70%の約90,000㎡の愛川町の人々にとって必要とされるものを残しなさい」

という極めて建築的な(多少の文系性と情緒性を持つ)問題なのです。

そして、128,585㎡と別に考えなくてはいけない数字があります。



橋は、平成27年(2015年)に制定された「町橋梁長寿命化修繕計画」の範疇であり、公園(先ほどのソフトボール場はここになるそうです。ちょっと不思議)や道路、上下水道は明確な管理計画はありません。

道路、橋、上下水道のは重要なライフラインであるが上に、災害にもろいもの。
突発的にこれらが破損したときに、当然そちらの修繕が優先となり、今回の公共施設の管理計画は後回しとなるのでしょうか?
公共施設の接道する道や橋の優先度は「施設」「道・橋」どちらに重きを置くのか?
公園内の施設は「公共施設」ではないのか?
今回の「愛川町公共施設等総合管理計画」と同レベルの道路・橋・上下水道・公園の管理計画があってもいいと思います。


町の形が変わる



例えば。

「例え」ばかりで申し訳ないです。
でもの、この計画は40年後の愛川町の「形」が大きく変わるかもしれない計画です。
想像力を働かせて、見ていく必要があります。

ひとつの公共施設が縮小する。
そこを利用する人たちは別の施設を利用する。
それは町外かもしれない。
人の流れが変わる。
それは、町の「形」が変わる、ということです。

「建築年数」「稼働率」「地域性」を考慮し、「縮小」「維持」「廃止」を決めていかなくては。

そして、40年後に残す施設もどう利用するのか。
40年といえば遥か未来です。僕らから見れば。昨今の技術推進を見れば。
オリンピックも10回あります。今見ている日本が大きく違う可能性があります。

さて。

「例えば」

88の公共施設、延べ面積128,585㎡の実に半分以上52.7%を占めるのが、「学校」です。
しかも、20年以内にすべての学校が「更新」となり、資金と労力を必要としています。





知っての通り、愛川町も日本中も高齢化し、子供が少なくなります。
果たして今の規模の小学校が、20年後必要なのか。(できれば、必要であってほしい)
当然、縮小されていくでしょう

じゃあ、必要なくなったからといって、学校の施設を削るのか。
別の用途に使うのが得策です。

「例え」ば、半原公民館が手狭になってきて、規模を拡大する必要がある。
しかし、愛川町としては公共施設を増やしたくない。

そこで、半原小学校や愛川中学校の空いている教室を開放する。
池田小学校事件以来、全国的に閉ざされた小学校を開放する。
半原なら繊維会館がある。

学校や児童館とを高齢者施設を一緒にしてもいい。
世代交流ができるではないか。

2つの施設を1つにしできるなら、それで延床面積の数字は減ります。

「公民館が公民館のみの機能」、「学校が学校のみの機能」
それにそぐわない古い施設が壊す。のではない。
新しい施設を造るのもお金がかかる、壊すのもお金がかかる。
ならば、まずは使える建物を次世代に使えないか、残せないか。

そして、公共施設を「点」で使うのではなく、「面」で使う。
複数の機能を補うように、公共施設を利用できるようにする。

ただ、地域の偏りがあってはいけません。
「面」といっても、「愛川町全体の面」ではなく
行政区や地区などのより細かい「面」で公共施設の偏りをなくす。

また、地域の「シンボル」は残す。
文化会館は立志式や成人式で利用される町民の思い出に残る建物。
そういう建物は残すべきです。

私は、「古い」ではなく「町の為」にをキーワードに管理計画を立てていくべきです。
古いだけなら削る施設は簡単ですから。
そうではなく、そういう「建築年数」という単なる数字ではなく、人の息使いや足音を聞く、血の通った管理計画を望みます。

高度成長期に作られたのは、「施設」だけではなく、「組織」もあります。
「組織」や「サービス」の見直しや簡略化で、必要なくなる「施設」が出てくるかもしれません。

「サービス」「組織」の見直し。
これは、管理計画にもあります。

ただ、「消防団の根本的あり方」と消防団だけ明記されているのはどうなんでしょ?
なくなることはないと思うけど、今でも大変な消防団。
ますます負担増にならないかちょっと心配。

「愛川町公共施設等総合管理計画」

地味な計画かもしれませんが
施設が「縮小」「廃止」で変わるということは、町のサービス規模が変わるということです。

そして、ご存じのように町の計画とは一度「縮小」「廃止」の工事の鍬が入れば
そうそう止まらなく、そこで声をあげてももはや間に合わないのです。
もう一度もとに戻す、ということこそ莫大な労力・資金がかかります。

40年後の愛川町。

人口も減り、税収も減ります。
町を取り巻く環境も大きく変わっているかもしれません。


今回の「愛川町公共施設等総合管理計画」は、
古いものをただ単に壊せばいいということではなく
町づくりの為にリスタートになる、という考えで見ていく。

ぺブリックコメントを求められている「愛川町公共施設等総合管理計画」を多くの人に見てもらいたい。
そして、「新しい愛川町」への声をあげてほしい。


「愛川町公共施設等総合管理計画」は ここ で見ることができます

ぜひ見てみてください。

40年後の町を想像しながら。

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