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再び、病院にて。

退院して2週間がたち、麻痺の回復も順調に進んでいたところで再び入院生活となった。

今度はなんと、虫垂炎。「モウチョー」である。

盲腸?ハア?この年で?

まったく、予測だにしない病気に人は突然かかるものなのだ。

週末、胃が突然痛み出した時には、また「胃袋に怒られた」のかと思ったのだが、よく考えるとそんなハズはない。退院以来、一日三食をほぼ自分で作り、優等生の食生活を誇っていたのだ。胃袋に怒られる筋合いはない。

そうこうするうち痛みは下腹部に移り、救急病院で盲腸と診断されそのまま入院となった。

検査では卵巣との癒着も疑われ肝を冷やす。婦人科系も全部調べたが幸い問題はなく、単純な虫垂炎だったようだ。

なぜこんなに立て続けに来たのか。医者は断定はしていないが、おそらく年末年始のステロイド集中治療で免疫力が下がり、炎症が引き起こりやすい身体になっていたのだと推測している。

手術するほどではないということで、「抗生剤で散らす」治療をしている。

知らなかったのだが、「散らす」ということは「絶食」を意味するのだった。

完全に腸を空っぽにして、炎症がなくなったところで食事再開なのだそうだ。「結構時間がかかるよ」と医者に脅かされた。これを中途ハンパにやると振り出しに戻るのだそうだ。

今日でもうすでに絶食4日目。順調にいってもあと2日続くのだという。点滴はしているが、たいしたカロリーではないらしいらしくお腹は空く。人間、こんなに食べないでいられるのね。

「流行のファスティング&デトックスですね♪」とおしゃれな友人がうまいことを言って慰めてくれた。

たしかにそうだ。昨年秋、身体をリセットしたくなり断食道場に予約したのだが、仕事が入りキャンセルしたことを思い出した。その後なかなか予約を取れず今に至る。スタイルはだいぶ違うが、意図ぜず思い通りになったとも言える。

前回の入院はステロイド点滴だけで食事制限はなかったので「上げ膳据え膳」をエンジョイ、いろんなことができた。noteも書きまくった。こんなんだったら定期的に入院したいな〜などと半分本気でまわりに言っていたぐらいだったのだ。

しかしファスティングだと思い込むにしても、一切食べられない入院生活というのは、これはもう修行に近い。

1日三度、お楽しみの食事タイムは私のところには決して運ばれてこないし、食べてないせいかすぐに目が覚めて、夜中ずっと悶々と起きてる状態。これが何よりつらい。本でも読もうと思っても気が散って集中できない。

突然の話だったので、仕事関係の皆さんに事情を説明してアポをキャンセルしまくった。みな「お大事に」と言ってくれるけれど、申し訳なくて消え入りたい思いだ。

自他ともに認めるポジティブシンカーの私だが、久々に落ち込んでいた。


さらに、発病したのが週末だっこともあり、この病院に落ち着くまで、「たらい回し」的な目に遭って、怒りの感情もわき上がっていた。

いつか「休日診療の闇」をテーマに告発記事でも書いてやろうと思うぐらい冷徹な扱いを受けたのだ。

今まさに七転八倒している患者(=わたし)を、「なぜ何年も検診を受けていないんだ」といきなり叱りとばしてろくな診察もせず、虫垂炎である可能性すら言わず、漢方を処方して帰そうとした某胃腸科内科には怒りを通り越してあきれた。「休日当番に面倒くさい患者は来るな」と言わんばかり、何を言おうが徹頭徹尾けんか腰、追い返すような態度なのである。よほど休日当番が嫌だったのだろうか。

一度帰されたが痛みはどうにもならず、再度診察に行き紹介状を書いてもらって今の総合病院に行った。担当してくれたのは幸いにいい先生で助かった。

医者と一言で言ってもほんとにいろいろだ。技術や経験の違いももちろんだが、人間性のない医者に当たるのは悲劇だ。弱った身体に冷たい心が伝わるのだ。病状も悪化しかねない。

26年前になくなった父は開業医だった。指示した通りにしないと怒るので患者さんからは「おっかない先生」と言われていたが、薬の副作用を懸念して処方する薬を定期的に変えるなど、患者の身体のことを真剣に考える人だった。そこには愛と責任があった。小さなクリニックだったが、改めて父は立派な医者だったと誇らしく思う。

ということで、前回の入院とは違って頭すっきりとはいかず、悶々とした日々を過ごし、noteを書く気にもなれなかった。


しかし捨てる神あれば拾う神ありだ。

落ち込む自分とは裏腹に、仕事のご相談を続々とメールやメッセンジャーや電話でいただくのだ。ありがたいことだ。

身体をゆっくり休めて、無理しすぎ、と友達は心配してくれるが、断食中の暇でつらい身体には、新規案件のことを考えることが一番楽しいし、自分はまだまだ人のお役に立てるということで身体も元気になる。だからnoteも再び書く気になった。

仕方がない、自分はそういう性(さが)なのだ。おそらく死ぬまで治らないだろう。

とはいえ、また迷惑をかけないよう、少なくとも春が来るまではあまり外に出ずに仕事する方法を考えようと思っている。


そうそう、もうひとつ楽しみがあった。

これだけ絶食してどれぐらい痩せるのだろうか、という点である。

何しろつごう7日近く食べないのである。大幅なダイエット効果が期待できる状況だ。

看護婦さんに聞いたら、

「そうですねー。みなさんたしかに痩せますが、退院して食べたらすぐに戻るみたいですよ」

だってさ。

ちゃんちゃん。


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