たいせつなひとの、たいせつな日

テレビでは外出自粛が呼びかけられ、窓の外には季節はずれの雪が降り積もる。

付き合い始めてようやく1年経った、パートナーの誕生日。どちらかというと雨女のパートナーの、おおきな節目のお誕生日は、みぞれまじりの雨でスタートした。

パートナーは、ふわふわのやさしい小さな哺乳類のようなひとだ。身の回りのいろんなことを、おおきな目をまんまるくして、じっと見つめている。好奇心が旺盛で、よく動き、よく食べ、よくねむる。

ひとのことを否定しない。自分とは違う意見に、じっと耳を傾けるようすは、ふわふわの生き物がこれはなんだろう?と首をみぎへひだりへ傾けて、いろんな角度から対象を認識しようとする、あの仕草に似ている。

彼女は、かわいくて、やさしい。

いま、わたしのうしろで彼女は、すやすやとねむっている。昨日も、今日も仕事で、年度末の片付けやらなにやらでおつかれなのだ。

こんなに穏やかなきもちで、たいせつなひとのたいせつな日を迎えられるなんて。

テレビの向こう側は、なんだかざわざわしているけれど、
わたしは、今日も、明日も、
いちばん近くにいる、このかわいい人と、穏やかでやさしい日々を過ごしていけたらいいな。

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