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たまには書評でも:武器としての交渉思考

なぜ読んだか

先日、投資家・京大客員准教授の瀧本先生の訃報が流れた。

昔から彼の著書が好きで、ファンだっただけにとても悲しかった。ちょうど今年のはじめこんなツイートをしたら本人にもリツイート・コメントをいただいた。

さて、先日渋谷のツタヤにいたとき本書をみつけ、だいたい著書は読んでいたがまだカバーしていないな、ということで読んでみた。

私なりの要約


・世の中を変えていくには、リアリティとして自分ひとりでは何も成し遂げられない。
・そのなかで仲間を集めることで大きな力を生み出す必要がある。(他の著書と一貫性あり)
・変革には新しい仕組みを作る必要がある。その中で、自分たちで考え議論し、ステークホルダーとの合意を勝ち取らないといけない。
・その合意形成に必要になるのが、交渉。
・交渉は、ロマン(ビジョン)とソロバン(実現のためのお金)を結びつける行為。
・物事はロマンに始まりロマンに終わる。一方でソロバンが大事な要素。最初の一歩はソロバンが大事
・交渉は相手のメリット(相手にとって何が得られるか)という観点がないと成り立たない。
・バトナ(複数の選択肢を持つ)とアンカリング(最初の提示条件が大事)というタクティック使うべし
・ときに断れるけどそこからが勝負なので頑張っていきましょう

私ははこう考えた

瀧本さんの厳しくも優しさがあふれる本であると思った。特にビジョン=ロマンの大事さを指摘していくが、若いうちはソロバンのほうが大事であるというリアリティを添えている。

給料は低いがやりがいはあるという話を聞くが、世の中で言う「やりがい搾取」みたいなものを経験する前に私は外資系に写ってしまった。やはりこの世界は成果→評価→待遇という連鎖は当たり前のものとして受け入れている。

しかしロマンも大事、これもわかる。このあたりはゼロサムゲームではなく両立することを常に考えることが大事になると思う。

さて、交渉というものから話題が外れたが、いま仕事・プライベートなどで真剣に交渉という場にいない人にはもしかしたらふーんで終わってしまうかもしれない。確かに身近な例では役に立つものも多いのだが、(少なくとも私は)仕事関係なく本気で交渉に取り組む場面があまりない。

どの仕事でも上に上がっていくと営業部門ではなくても営業の側面が深まる。私もコンサル部門の部門長だが、基本的にはコンサルのデリバリーと背中合わせで次回への提案などがあり日々交渉が必要になる。対クライアントもそうだが、プロジェクトを進める上では社内のアライメントもマストだ。

その局面で、各ケーススタディ含めてものすごく考えさせられた。たとえば、アンカリング=最初の提示条件が大事という考え方はものすごく刺さる。身近な例だと、最初に出した見積もりから金額あげるのは至難の技だろう。

もしかすると、数年前読んでいたら考えることは変わっていたかもしれない。その中で将来もう一度この本と自分のレビューを読み直したら面白いかもしれない。

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