見出し画像

銀河売り

 銀河売り?想像もできない言葉に一瞬頭が真っ白になった。
「旦那、そんなに驚かないでくださいな。この宇宙にはどのくらいの銀河があるのかご存じで」「い、いや、想像も1000個ぐらいか」
「ハハハハ、わかっているだけで2兆個って言われてるんです」目の前の売人はそう言って笑う。

「今はこの銀河も売買されるご時世で、旦那もひとついかがですか」「ぎ、銀河を買っても広すぎて」売人相手に何も言い返せない。こんなのは金額以前の問題だ。
「そうですか、銀河を一つ手に入れれば旦那の自由に、邪魔な星を100個くらいつぶして新しい星を思いのまま育てる。所有する銀河では神に成れますぜ」

 売人の奇想天外な言葉に、何も言い返さずその場を立ち去った。


「で、その後どうしたの」続きを聞きたがる彼女。「え、夢だからそれで目が覚めたからな」と言って白い歯を見せる。

 だが彼女に少し見栄を張った。本当は銀河よりもはるかに小さな家の売買の夢だったから。

※こちらの企画に参加してみました。

#小説 #スキしてみて #noteのつづけ方
#400字小説  #シロクマ文芸部
#
銀河売り
#短編小説






この記事が参加している募集

#noteのつづけ方

38,632件

#スキしてみて

527,222件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?