初夏を聴く
初夏を聴く。私は季節を感じる音を探している。わかりやすいのは真夏だろう。明らかに蝉の声が聴こえるから。
では秋はどうだ。秋の始まりは鈴虫やコオロギが鳴き始め、終わりごろになれば冬将軍というべき木枯らしの音が聴こえる。
冬といえば地域によるが雪の音だ。降るときよりも積もったとき、足の踏み込んだ時に雪が押さえつけられるような音を鳴らすだろう。また正月のころに神社の境内で行われた焚火もだ。ときおり火が飛び散るような音も冬らしいと思う。
春になれば鳥がさえずる。鶯やメジロなどの音色が美しい。そして桜の花が咲くころは、花見客の宴会の声もまた季節を感じるのだ。晩春なんて言葉があるかどうかわからないが、初夏の前なら鯉のぼりが風に乗って羽ばたく音なのかもしれない。
さてここまできていよいよ問題の初夏の音だ。初夏にはどんな音がするだろう。何が聴こえる?すぐにはわからないが、もしかしたらと思った。それは梅雨の静かな雨音。
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