他の人に「#東南アジア小説」を書いてもらったらどうなるのかをやってみた。
2月の上旬から中旬にかけて、リアルに東南アジアを旅行しました。その際に、他の人が東南アジアの小説を書いたらどうなるのだろうという疑問を以前から持っていました。そこで書く人がいないか募集したところ3人の方に協力してもらえたのです。
はじめに「この企画を想至った経緯」
私は、東南アジアに縁があるため毎年現地に行き、そこで得た情報を元に東南アジア各国をテーマにした小説を書いて、noteにUPしています。しかしそのときに良く聞かれたのは「東南アジアのことが良くわからない」ということでした。
LCCで気軽に行けるようになり、実際に現地に旅をしていると、有名なところに行けば、たいていそこに住んでいる日本人や日本人旅行者の姿を見かけます。またタイ料理店やベトナム料理店が年々増えてきていますし、インドネシア・バリ島の料理なども以前からあって国内で食べられます。
マッサージ店も増えてきていますね。
また、今やネットでいくらでも情報がわかる時代、美味しいお店とか珍しい観光情報、両替レートの安いところとか検索すれば嫌というほどの情報がでてきます。
ところがいざ「小説」として東南アジアをテーマにした物語を書くと、なぜそういう反応になるのか? かねてから疑問でした。
そしてある結論として、私があまりにも東南アジアと馴染みがありすぎるので浮世離れしているのかもしれないと。ならそうでない一般の人は東南アジアを小説に書くというのは発想すらないのかもしれないと。
でも、そんな人たちがもし東南アジア小説書いたらどうなるんだろうという疑問というか興味を持ちました。
そのときに、たまたま私が縁あって知り合った、こちらオンライン文学サロン「青い傘」で、いろいろ募集できるところを見つけました。
ここで、、私は上記理由を添えて「#東南アジア小説」を書いてくれる人を募集しました。そしてその小説の続きを、私が書いてみたらどうなるかというもの。そうしましたら、3人の方が参加してくれました。
1、秋さんの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・カンボジア」
秋さんのこちらの作品は3部作となっています。大まかな内容は、シンガポールに住んでいる主人公が、マレー鉄道でタイに行くのではなく、一旦カンボジアのプノンペンに行き、そこから陸路横断してタイのバンコクを目指すという物語。
これは、一部実際に体験したことがあったので読んでいて懐かしかったです。物語ではプノンペンからバスで一気に国境まで突き進みます。私の場合はプノンペンから船でトンレサップ川とトンレサップ湖を経由してシェムリアップに滞在。アンコールワットなどを見学してから、バスで国境に向かったという違いがあります。
でも、国境地帯にあるカジノホテルの外観は、実際に見ましたから「懐かしい」というのがありました。さすがに作品にも登場する国境のカジノの詳しい情報などは初めて知りましたが。
そしてタイに入国してからはそのままバンコクを目指します。ちなみにリアルに私が体験したときは、国境を越えてから別の都市「ナコーンラーチャシーマ」に行きました。
そしてバンコクに夜到着後、大都会の暗闇に寂しさを感じる所で終わりました。
これに対して私は次の一本を書きました。
これは、主人公が夜バンコクについてから、カンボジア国境の事を回想しながら、翌朝のバンコク市内を散歩するような内容にしました。シンガポールから来たという設定だったので、シンガポール料理に似たタイ料理のことなどを交えながら、どうにかまとめることができました。
2、かのこさんの「【短編小説】クアラルンプールからの手紙。」
次は、かのこさんの作品。これはあらかじめリクエストをもらいまして、手紙を書いてほしいということでした。2パターンあって、同僚もしくは後輩向けに東南アジアに在住している人が手紙を書くというもの。
国が特定されていないことと、どちらでも対応できるようにと、マレーシアのクアラルンプールとフィリピンマニラからそれぞれ手紙を出して使ってもらおうとしました。
するとこれは驚きました。マニラにいた先輩から送られてきた手紙を受け取った大学院生と、同じ日にクアラルンプールから送られてきた手紙を受け取ったその母という設定。そして二人は旅行に行くことになったというものです。
これに対して私は次の二本を書きました。
これは、ふたつの国にまたがる物語なので、クアラルンプール編とマニラ編に分けました。最初はクアラルンプール編。これは母親の方の同僚と会う設定。どうしようか悩みましたが、二部設定にしたので、それぞれ一人ずつ相手と会うという風にしました。大学院生の母親ということで、その同僚でかつ海外赴任するひとが登場するとなれば、パートの主婦ではイメージがおかしくなるので、それなりのキャリアがある女性像にしてみました。
つぎに、マニラ編です。こちらは子の設定。先輩と再会してややラブロマンス的な雰囲気を取り入れて見ました。また実際に行ったことのある、マレーシアのペトロナスツインタワーやマニラのモールオブアジアなどを舞台に使いましたので、これも懐かしかったです。
3.詩織さんの「鳴いて泣いて凪いで、」
3番目は詩織さんの作品。これは突然友人が前の日にドタキャンして、仕方なくひとりでタイのプーケット島に来たという主人公。どうしたものかと悩んでいると、地元の青年が声をかけてきて。という話でした。
これに対して私は次の一本を書きました。
実はこれが最も難しいかったです。なぜならばプーケット島に私は行ったことがないからです。それでもタイという国の状況は把握できますし、あとは現地の情報を調べながらいろいろ試行錯誤して、どうにか書き上げました。島の出会いから青年と主人公が過ごした雰囲気を、少しながら出せたと思います。
ちなみにこの画像は私が撮影したものですが、プーケットではなく、ボルネオ島のコタキナバルのビーチで見た夕日を使ってしまいました。(あくまでイメージということでお許しください)
まとめ「楽しくて大変」
ということで、ある意味実験的な試みでしたが、私の感想としては「楽しく」「大変」でした。まずいずれの作品も私個人では絶対に考えつかないストーリーになっていて、「ああ、こういうやり方があるのか」と驚きの連続で、それだけでも楽しかったです。
そして、やっぱり難しくて大変でした。企画の主旨からして、元々書いた人のイメージと違う風になるのは仕方がないとしても、どうしてもあまりずれすぎては良くないと頭が働きます。前の作品の雰囲気を残しつつ、私なりにオリジナリティを出してまとめるというのは、単独で考えるよりはるかに困難でした。しかし出来たときにはいつも以上の「達成感」がありました。
ちなみに、もしこれを見て興味がありましたら「#東南アジア小説」のタグをつけて投稿していただき、連絡して下さったら、このような試みをやってみたいと思いますので、よろしくお願いします。
最後にこの企画に参加してくださいました。秋さん、かのこさん、しおりさん、並びにそういう場を提供して下さった、オンラインサロン青い傘に厚く御礼申し上げます。
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