月の耳
月の耳?これは一週間ほど前の話。「そんなものがあるの」と月を眺める。これが三日月なら、両端の尖ったところは耳っぽく見えなくはない。
だが今見えている半月から満月の間の微妙に角度が違う膨れた部分を見ても耳というより、ふっくらした顔にしか見えないのだ。
ということは月の耳とは期間限定のものなのか?腕を組んでもう一度月を凝視する。
すると月に耳があるような気がしてきた。丸みがかった月の欠けているところ黒にしか見えないが、なんとなく何か突き出ているそんな気がするのだ。
「ちょうど月齢が20くらいですな」ふと隣に知らぬ人がいて、静かにつぶやいていた。「20歳?そうか、だから今日は20日なんですね」ふとその人の言葉に反応してつぶやく。そこで少し吹いたような声がした。
「月齢は、今の太陽暦とは一致していないよ」と言われた。
「あ!」そんなこと当然知っていたのに、月齢と日付が一致してたから早合点。思わず耳が赤くなった。
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