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万能感に浸ってはいけない

  メディカルチェックは スポーツドクターやトレーナーなどが 病院やスポーツ現場 治療院などで 競技者や愛好家の身体のチェックを行うものです。運動を行うにあたっての健康診断のようなもので スポーツ・運動による傷害の予防に用いられます。現在の疼痛の有無 過去の傷病歴 筋肉の柔軟性や関節の弛緩性 関節の可動域 上肢下肢のアライメント 筋力などをチェックします。場合によって 血圧 血液 生化学 尿 心電図 などの検査も行います。整形外科系と内科系にわたって行われます。

 メディカルチェックの結果を障害予防に役立てるには 経験値がとても重要です。競技者としての経験・医療従事者としての経験がメディカルチェックの評価・応用に厚みを持たせてくれます。中身の濃いメディカルチェックの結果を持っていても 評価・応用に厚みがなければ印籠にも参考書にもなりません。ここで言う競技者としての経験は トップでなければならないわけでは有りません。スポーツ・運動を日常として継続した経験です。その他に 携わっている競技の特性を知ろうとすることです。その競技を実際にあるレベルまで経験して技術の習得を理解することです。知識は 経験・行動があっての結果です。

 スポーツ現場で 整形外科系のチェック(動的・静的アライメントや関節弛緩性 筋肉の柔軟性など)に問題があっても 疼痛もなく大きな怪我を抱えることもなく競技を長年続けている選手をみてきました。筋肉の柔軟性が特別に劣っていても自身の専門種目ではしなやかな動作をみせてくれますが専門外の種目ではぎこちなく鈍い動作しかみられなかったり 静的柔軟性可動性に優れているのに 動作には滑らかさの影もなく不確実なプレイをすることもみてきました。これらの前提には選手自身のケアのレベルが高いこと 競技の理解力も一因にあるかもしれません。結局 どのように自身の身体を操縦しているかなのでしょう。車と同じ。身体の現状を理解していなくてもそれに見合った質の高い動作を継続できる人もいれば 怪我などでのブランクを通して体得する人がいて それぞれです。

メディカルチェックのデータを手にしたからと言って それだけでは予防対策は万全ではありません。選手を守る 自身を守る鎧を身に着けた気になってはいけません。完璧なものは有りません。経験・行動をもとに知識を広げましょう。今ある情報が全て正しい訳ではありません。自ら見つけにいきましょう。

「ちょっとやってみようかな、マネしてみようかな」というところからカラダの使い方に興味をもってもらえれば嬉しいです。