本に舞う桜吹雪、またここでお会いしましょう
お友達の微熱さんが「お花見会をしましょう」と呼びかけて下さったのは3月のことだった。
実はこの記事が出る前から、私は微熱さんがお花見会を開催したいことを何かの拍子でたまたま知る事になった。その時私は、微熱さんに「行きたいけど行けないかもしれない…」とお返事を返していた。私の住まいから離れた土地への遠征を、家族が許してくれるかわからなかったからだ。
しかしながらも、微熱さんはめげなかった。
「いや、くまさん!企画の内容だけでも読んでもらって…それからもう一度考えてほしいな。きっと素敵な時間になるから」と、彼女にしては押しの強いお返事が返ってきた。
お花見会の記事を読んで私はなるほどと納得した。
「これは参加しなければ!」
私はおそるおそる夫に相談した。
ダメもとで話した夫の返事は意外なものであった。
「それならみんなで行こう。家族で行ってもいいのかな」
え?いいの?行っていいの?しかもみんなついてきてくれるの?
私はそわそわした気持ちで微熱さんにさっそく相談した。
「いいですよ。じゃあ、その日はくまさんちで貸し切りだね!」と迷いもなく即決でご連絡を頂き「6日は参加人数に達しました」とnoteにつぶやきでさっそくアナウンスをしてくれた。
後日「ねむいねこさんも同じ日にいらっしゃるけどいいかしら?」と微熱さんからご連絡が来た。私は「ねこさんは私も良くしてもらってるし、『うちの家族の記事が好きです』と公言して下さっていたので、ぜひ彼女が良ければ同席させて下さい」と伝えた。こうしてあとはお花見の日を待つのみとなった。
お花見会の前日。
4/5の夜。
仕事を終えた私たち夫婦は車に荷物をつめこみ、子供を乗せ深夜の長距離ドライブの旅に出た。
子供たちは車内で音楽を聴いたり、歌を歌ったり、会話をしながら過ごす。
うちの家族は車の旅に慣れている。
小さい頃から遠くの地まで車で旅をすることが多かった。
夕飯はサービスエリアで玉ねぎがてんこ盛りの八王子ラーメンを皆で頂いた。玉ねぎが嫌いな子供たちの玉ねぎを引き受けた私のラーメンどんぶりは、玉ねぎ盛り盛りのマシマシになっていたが、写真を撮るのを忘れていた(本当にすごい量だった)(あとで気づいたが夫の記事を見る限り夫は写真を撮っていたようだ)
玉ねぎは美味しかった。
運転する夫の助手席にいるので、私はなるべく起きてようと心がけていたはずなのだが、すやすやと寝息を立てて眠る息子にひき寄せられて、気づいたら私も眠りの世界へ旅立っていた。(いつもどおり)
長野のホテルについたのは日が超えてからだった。
実はこのホテルは私が以前、微熱さんにお会いしに行った時に宿泊したホテルと同じホテルだ。
『うわぁ、なつかしい。やっぱり鍵が今どきめずらしいアナログの棒付きのままだ。そしてフロントの男性たちの顔ぶれが一年半前と変わってない!』
いい感じで古い。
ホテルの部屋は無駄に広かった。
ただ寝るだけなのに、なんだかもったいない。
夫と息子、私と娘に別れた部屋で、私は再びまどろんだ。
朝方、起床。
朝ごはんを食べるかどうか問題。
微熱さんがお弁当を作って待っている。
少し悩んで食べることにした。
私はこれを後ほど大後悔することになる。
ホテルを出て目的地まで車で向かう。
あたたかく風も強くなく、やや曇天。
お花見にはもってこいのお天気。
朝、水曜日に参加したおひたちさんにも「楽しんできます」とメールする。
「Enjoy!」となぜか英語で返ってくる。
水曜日組は雨だったのだ。
でも「雨を楽しむ気持ちが大事」と彼は参加する前にメッセージをくれた。きっと他の参加者も同じ想いであったのだろう。
「お母さん、見て!めっちゃこわい!」
公園の隣は動物園だ。
その手前に小さな遊園地みたいな広場があって、そこの乗り物のトンネルの裏の絵が不気味であることを息子が教えてくれる。
娘も「これは確かにこわい!」と同意する。
ちびっこたちはみんなどんな気持ちで眺めるのだろう。非常にローカル的な雰囲気を感じる。
公園は窪みのような地形になっていた。入り口からゆっくりと坂を下っていく。
約束の11時前であったが、すでにねこさんが微熱さんの横にいらっしゃった。私はすぐに2人だとわかったので、大きく手を振った。2人とも笑顔で振り返してくれた。
「えーと、うちの夫と息子と娘です」
私は自己紹介と簡単な家族の紹介をした。
目の前にはたくさんのご馳走が並んでいた。
噂の微熱さんの手作りの料理たちが勢ぞろいしている。こんなにたくさん......微熱さんが朝早く起きて作ってくれたことを想像した。感謝してもしきれない...そして私たちにできることは、これらを楽しくおいしく頂くことである。
念の為に持参したレジャーシートを敷いて、テーブルと椅子を設置して料理を運んだ。これは持ってきて正解。なぜなら、料理は微熱さんが持ってきたテーブルから大きくはみだしていたからだ。いや、しかもこれはテーブルではなかった。実は大きなスーツケースであることを終わり際に片付けの時に知った。相変わらず彼女はかしこいなーと思う。生きる知恵がある人だ。
息子がすでにからあげに食いつきそうな勢いで箸をかまえていたので、挨拶をしてそうそうにみなで食べる雰囲気になった。
微熱さんは「これがアメリカンドッグで〜これがたまごサンドで〜おにぎりはシールがついてるのがシャケね!」と笑顔になりながらいつものハキハキしたテンションで説明してくれている。
横でねこさんも同じくにこにことしながら、箸とお皿とコップをうちの家族に渡してくれた。彼女は完全におもてなし側の一員になっている。さすが微熱マネージャーと一部で呼ばれるだけの人である。リアルねこさんはやっぱりかわいくて、しとやかで、かつ、しっかりさんだ。ちゃんと状況を見ている人だなと思った。
私は最初にホットベリーティーをもらった。心も体もあたたまる。いいお味。そこからまずアメリカンドッグに手を伸ばした。形が丸っこくてかわいい。生地も甘さが程よい。どうやって作るか尋ねると「こうやってクルクルするんです」と微熱さんがジェスチャーつきで教えてくれる。
夫はシンガポール風の焼きそばが気に入ったようだ。たけのことパプリカと...お肉と!私もこの異国風の味付けが好きだな〜と思いながらたくさんよそる。「私、シンガポールに住んでいたことがあって」と微熱さんが言うと、ねこさんがすかさず「待ってそれ初めて聞いたよ」と静かにツッコミを入れる。「あれ?そうだっけ?そっかー」と返すのが微熱さんらしいなと思う。2人のコンビネーションはオフラインでも絶妙である。
息子のリクエストで作ってくださったからあげとシャケのおにぎり。息子は待ってましたとばかりに食べまくっていた。
この日はお土産にもらったおにぎりもあわせて彼は1日で合計7個のおにぎりを食べていた。とてもうまい!最高!と喜ぶ。わかりやすい人である。
娘は午前中はなかなか食べられない体質であったり、眠気も強かったので、正直どうかなぁと思っていたが、ちらっと確認するとからあげやたまごサンドをきちんと食べていた。
後で本人に聞くと「見ただけで満足しちゃうような気持ちに最初はなったんだけども、食べたらあまりにおいしくて止まらずに食べちゃった」と話していた。
そうなのだ。娘はけっこうグルメな人だ。
彼女は、少し食べてうろうろして、また戻ってきて食べるということを繰り返していた。
息子も娘も本当に自由にマイペースに過ごしていた。
これは微熱さんとねこさんだからこその空間だったと思う。
息子が途中で「僕、そこでゴロゴロ転がってくるね〜」と言って、芝生の坂道をゴロゴロ転がっていく姿にも「かわいいね〜」と言ってくれたり、娘が途中で丸くなって寝ていたり、皆と離れてお絵描きをしていても、特に大きく心配することもなく、2人は見守ってくれていた。
普通は...普通がなんなのかわからないが、だいたいの大人は、息子の我が道を行く感じや協調性のなさ、天然っぷりにあきれてしまったり、また、娘の人見知りや表情の硬さ、うずくまっている姿に対して、過剰に気を使って話しかけたり、心配したりなどの反応をされることが多いのだ。
でもそうではなかった。2人は本当にうちの子たちを尊重して見守って、時にはいい感じのパスを出してくれた。それもとてもすばらしいタイミングで。
また、夫にも気さくに話しかけてくださった。夫は割と初対面の方にも社交的ではあるので、私はそれほど今日のことは心配はしていなかったが、それでも持参した本の話などで大変盛り上がっていた。微熱さんが「今の自分に合ってるものを持ってきてくれた感じ」と好意的に受け取ってくれたことが嬉しかった。
夫がお渡しした一冊の本のタイトルが
「夢の微熱」
だった。微熱さんが「このタイトルがいいなぁ!微熱の夢じゃなくて逆なのがいいんだよ」と喜ばれていたので、心の底から良かったなぁと思った。
ねこさんが持ってきてくれたおしゃれなスイーツを楽しんで、微熱さんが焼いてくれたフォカッチャやレモンケーキ、シナモンロールなどを食べる。どれも風味もやわらかさもお味もそれぞれが良かった。めっちゃ好みの味だ。味つけは濃くなくてどれも素材を大事にしていることが伝わってくる。
ただ私は、このあたりで朝ごはんを食べてこなければよかった、無念!...と大きく後悔をしていた。ひとまず全制覇はしたい!と思って、やすみやすみ食べていたが、お料理はまだまだたくさんある。
結局最後は、微熱さんが「お持ち帰りで全部持っていってください」とパックにつめて持たせてくださった。
実は翌日も私たちは微熱さんに頂いたご飯を家族みんなで食べていた。そして完食した。最後まで飽きることはなかった。
私はこれほどお腹いっぱいに食べるのは数年ぶりだった。けれども、全く胃がもたれない。これには夫を含めた家族も「揚げ物をこんなに食べても胃がつらくないのはなぜなんだろう」という感想を抱いていた。
「からあげが大きいのがいいよね。作り方を教えてもらえたらいいね」と夫が言うので、今度微熱さんに教えてもらおうかなと私は密かに企んでいる。
あと、ねこさんにお土産をもらった。
まだ大事にとってあるので、おいしく頂こうと思う。パッケージがかわいすぎる。
肝心のお花。
満開で楽しませてもらった。
そして、はらはらと桜吹雪が舞い散っていた。
私はさくらを何回見たのだろう。
でもね、きっと今日のさくらほど記憶に残るものもありません。
私はずっと「しあわせ」とつぶやいていたと思う。人生がもし終わってしまうなら、こんな日がいい。あたたかくておいしくて、好きな人と一緒にいられて。
これほど、しあわせなこともない。
微熱さんが途中でご自身の作品を披露してくださった。
なんと、ブックカバーとしおり!絵じゃないんだ!と一同驚き。
ピンクってこんなにいい色の種類があるんだな...と最初に見た時に思った。
これは1人ずつお土産ということでプレゼントとして頂く。手渡ししながら微熱さんはなぜこのスタイルにしたかの説明をし始めた。
「私はアートって敷居が高いのが嫌なんです。美術館に行かないと見られなかったり、ちょっとそういうところがあるでしょ?そうじゃなくて、もっとふれられるものにしたい。だからこんな感じはどうかなぁと思って」
「あぁ微熱さんらしい。(距離を)近くしたいんだよね、たぶん」
と返すと、そうですね!とはつらつと答えてくださった。
おにぎりにもコーヒーにも息子の髪の毛にさえ散っているさくらは、とうとう本の表紙にも舞うことになった。
素敵すぎる。
帰りの時間。
私たちはまた来た道を戻る。
坂道から微熱さんに手を振った。
息子は最後まで...微熱さんの姿が見えなくなるまで振り続けていた。
来年も来ようね。
来年も来るための理由が私たちにはできたから。
それはまた今後のお楽しみに...である。
そのうちまた微熱さんからお話があることと思う。
ひとまず、次はブックカフェかな?
微熱さんは5月に都内にいらして、本の交換とおやきやお茶のおもてなしを企画している。
あなたの好きな本と、微熱さんが持っている本を交換してもいいし
本がなくてもお茶を少し頂くだけでもいい。
むしろ様子を見ていくだけでも彼女はきっと喜ぶだろう。
私もその日は参加させてもらって、ちょっとしたお楽しみを目論んでいる。
また来られる方はお会いしませう。
楽しいことがきっとおこるはずだから。
お花見会の報告はここまで。
読んで頂き感謝。
それではまた。
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