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捉え方を変える〜弱みは強みを強化するもの

突然ですが、

「あなたの弱みはなんですか? それであなたの性格を説明してください」
 
皆さんどう答えますか?

転職サイトでよく見る発想の転換ですね。

「即決しないところです。
その分周りの意見をよく聞き、
着実に、そしてより高いレベルの結果を残す努力をします!」

これで転職が成功するかは別として、
確かによく言われるように、弱みの裏に強みがある。
もっと言えば
弱みは強みを強化するためだけのもの、とも捉えられますよね。

 普段からこのように強みに焦点を置いた発想でいれば、
周りもそうやって見られれば、
世の中もっとプラスに捉えることができそうな気がします。

少し一緒に考えてみませんか。

耳の人、ろう者

皆さんはろう者の定義、聞かれたら何て答えますか?

「耳が聴こえない人」
「耳の不自由な人」

多くの方がそう答えると思います。
もちろん正解です。
でもこれって、なんだか弱みにスポットライトが当たった捉え方ですよね。

医学的定義

 医学的にも、
「両耳の聴力が100dB以上の聴覚障害者」
つまり全く聴こえない人のことを “ろう(全ろう)” と言います。

ですから、ろう者や聴覚障害者を表すものは大抵耳をモチーフにしています。

ろう者が車に付ける聴覚障害者標識
耳を蝶の羽に見立てたマーク
耳マーク
聞こえが不自由なことを表すと同時に、
聞こえない人・聞こえにくい人への配慮を表すマーク(全難聴HPより)


 ところが最近
ろう者は目の人だ!
という考え方があるのです。


目の人とは

 皆さん、こんなカフェがあるのはご存知ですか?

 公用語を日本手話と書記日本語(筆談)とする、2011年にオープンしたスープカフェです。
このカフェの名前についてHPにこのように書かれています。

視覚言語である手話をポジティブに連想させるカフェをイメージして命名いたしまた。“g”の中に目アイコンがあることにお気づきでしょうか?
目で生きるという意味が込められています。

Sign with Me HP “店名の由来” より

 私がかつてオーナーの柳さんからお話を聞いたときは、
「このMeも日本語で読めば “め(目)” ですから」と言っていたと記憶しています。
(HP上にはなかったので不確かな情報ですが)

そう思うと確かに、
普段会うろう者たちは目の人!
いつも “目が高い” のです。

「目が高い」とは

 “目が高い” と聞くと、日本語ではいいものを見分ける価値の判るお客さんに
「お客さま、お目が高いっ‼︎」
なんて使いますが、手話は少し違います。

 前髪を少し切ったこと、いつもとかばんが違うことにすぐ気づく時、
遠くにいる知り合いをすぐ見つける時…等。
ちょっとした視覚的違いや、普通気づかないことにすぐ気づくことも
「目が高い」と言います。

手話表現としては、/目/ /(金額等が)高い/。
 ※手話では高さの“高い”と、金額・価値の“高い”は、単語が違います。

ろう者には、“目が高い” 人がすごく多いのです。

「目が高い」を実感

 以前私がろうの友人の車に乗っていた時のこと。
彼が急に車を脇に寄せ出しました。
何かあったのかな、と思っていたら段々救急車のサイレンが…
私が音に気づくより前に、後方の救急車のライトに気づき
車を寄せ出したのです。
周りの車含め、誰よりも早く気づくその “目の高さ” に感動しました。

 ろう者(全ろう)は長年免許取得の資格がありませんでしたが、それは本当実態を知らないが故だな、と実感した出来事でもありました。

 彼のみならず様々な場面でろう者の “目の高さ” を実感します。
ろう者の言語は手話=視覚言語。
そう!確かに、ろう者は“目の人”なのです。

弱みより強みを見る世界へ

 「ろう者」ときいて浮かぶのは“耳”のこと、
つまり“障害”に重きを置いた見方です。

でも弱みの裏に強みがあるならば、

「ろう者は耳を使いません。
その分誰よりもよく見て判断し、目で社会のことをしっかりと捉えていきます!」

と言えると思います。
まさに弱みで強みが強化されているのです。

 弱みはあくまで強みを強化するだけ。
ならば、ろう者ときいて“目”のことが真っ先に浮かぶような世の中が、
強みにスポットライトが当たった世界、
私たちが目指す世界なのかもしれません。

 どんなことにも “強みに目を向けた捉え方したら何だろう?” って考えてみる、案外楽しいかもしれないですね。



ろう者、手話のことをまとめています↓


私の自己紹介


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