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IVS2023 KYOTO / IVS Crypto 2023 KYOTOのKulture参加レポート vol.2

前回に引き続き、今回もIVS2023 KYOTO / IVS Crypto 2023 KYOTOのKulture参加レポートをお届けします。

今回は、Kulture所属のエンジニア視点から見たIVS2023 KYOTO / IVS Crypto 2023 KYOTOについてのレポートをお届けしていきたいと思います。より技術的な観点でのセッションレポートをお楽しみください。

前回の記事はこちら↓


はじめまして、Kulture所属のエンジニア/テクニカルディレクターの阿部です。Kultureでは、新しい技術に関する調査・PoC や 新サービスの設計・開発 を担当しております。今回は、IVS2023に参加して感じたことをレポートしていきます。

活況となった「初のオープンなIVS」

昨年まで招待制だったIVSが今年からチケット制となり、非常に多くの参加者で常に会場は盛り上がっていました。

Day1の入場時、列は会場の外まで長く伸びていた。

ASCIIの記事によると、

> 予定参加者は約1万人(海外参加社2000人)を超える

https://news.yahoo.co.jp/articles/90887570a4740ac2f2bd367a951308c42c0b3754

だったそうです。アジア最大級のスタートアップカンファレンスであるIVSの活況は、スタートアップへの注目・期待度の高さを表しているものだと捉えられます。

そんな中、Web3に特化した IVS Crypto2023 のエリア「NEXT CITY -CRYPTO」についてはどうだったかというと、こちらも大盛況。通路の至る所で自己紹介や情報交換している声が飛び交っていました。

ではセッションはどうだったか。
参加した2日間の中で、一番人が集まっていたセッションは、「CR1-4 Astar: Web3 Mass Adoption and Our Strategy /Web3のマスアダプションと戦略」でした。やはり日本発のパブリックチェーンの発展への期待、そしてソニーグループの中核通信子会社ソニーネットワークコミュニケーションズとの資本業務提携発表のインパクトが大きかった印象です。

その他、エンジニアとしては気になる「CR1-3 Sui: Why Sui is Awesome for Gaming & DeFi」「CR1-2 Tencent Cloud: Cloud Infrastructure for Web3」「CR2-7 Ripple: ここでしか聞けないリップルの話」などの別の特定サービス・技術寄りのセッションについては、人の波があったように感じました。スタートアップカンファレンスであるIVSとしては、必ずしも技術者ばかりではないことも関係してるように思いました。

その他、ピッチコンテストやハッカソンなど、Web3への新しい取り組みが様々な場所でフォローアップしきれないほど発表されており、引き続きWeb3への熱量の高さが伺えました。

マスアダプションに向けた取り組み 〜「日常に忍ばせ広げる」か「特化した体験を提供するか」〜

各セッションのタイトルにも多く見受けられたのが「Web3のマスアダプション」です。これをいかに実現するか、それぞれのセッションで様々な立場・視点から語られていました。

「CR2-5 CEX最前線〜Web3のマスアダプションに向けた戦略と展望〜」ではタイトル通り、CEXの視点から以下にユーザーをWeb3へと誘うのかについて。LINEやメルカリなどに機能を追加し、利用できる機会を増やしていく取り組みが語られていました。

「CR2-5 CEX最前線〜Web3のマスアダプションに向けた戦略と展望〜」より

また、前述のAsterやTencent Cloudのセッションのタイトルからも分かる通り、基盤側のDXの改善や積極的な進化による、作り手側の人口増加への取り組みも、今後ますます増えていくと思われます。

「CR1-2 Tencent Cloud: Cloud Infrastructure for Web3」より。Web3開発で変わること・変わらないことを整理が非常に腑に落ちた。

このようにして、Web3を技術として利用しやすくなりアプリケーションが増えていき、それを利用するためのウォレットなども既存アプリなどに組み込まれて自然と利用できるようになっていく。となると、重要になるのは「その先にどのような魅力的な体験が待っているか」です。

IPとファンコミュニティの重要性

Web3コンテンツ・体験の価値を高める点として、今回のIVSで注目したのは「ファンコミュニティ」と「IP」です。

ファンコミュニティ

昨今、Web3プロジェクトの成功に重要だと言われるようになった「ファンコミュニティ」の重要性は、IVS Cryptoでも頻繁に登場しました。

まさにそれがメインの話題となったセッション「CR2-4 成功するWeb3コミュニティの最新事例」では、スポーツ業界でのWeb3活用におけるコミュニティのあり方・プロジェクトについてが語られました。

「CR2-4 成功するWeb3コミュニティの最新事例」より。

上記の画像のプロジェクト例にも、ホームとなる地域への貢献という概念がありますが、「リアル/Web2におけるコミュニティが既に様々ある中で、Web3で新たなコミュニティの枠を作り、それを他と繋げていかにWin-Winにしていくか」という考え方は今後注目していきたいアプローチだと感じています。

例えば、IVS参加者むけにプレゼントされた「IVS KYOTO 2023 NFT」もその一つです。
IVSへ参加した記念となると同時に、伝統の織物をNFT画像にすることで文化に触れさせる、京都の宿泊施設などの利用権をプレゼントし体験へと繋げていく など、こういった掛け合わせを上手く設計していくことで、新たな施策も生まれるかもしれません。

会場内に掲示された、IVS KYOTO 2023 NFTの案内。多くの人がQRコードをスキャンしていた。(QRコードは切り抜いています)

また、「WE1-1 COLORS Web3 Pitch」に登壇した「VeryLongAnimals」 はコミュニティを大事にしているプロジェクトの一つで、PASSの都合で見れなかった「Y2-6 激アツ!アフリカ大陸はWeb3ネイティブな大陸になる」にも登壇されていたようですが、Web3・IPのパワーでアフリカにも繋がりが広がっているのは、ワクワクしますね。

「WE1-1 COLORS Web3 Pitch」より「VeryLongAnimals」のPitch。

IP

Web3コンテンツ・体験に重要だと感じたもう一つのファクターが「IP」です。「WE1-1 COLORS Web3 Pitch」に登壇した 「The Sandbox」は、ゲーム・エンタメ・音楽などの様々なIPとの取引から、楽しみを生み出していることを紹介。

「WE1-1 COLORS Web3 Pitch」より「The Sandbox」のPitch。

また、セッション「CR1-1 Web3.0の旅に出かけましょう~日本の知財・IPをWeb3へ」では、IPホルダーとWeb3有識者によるIP活用が議論されていました。

このセッションの内容は、4Gamer.net さんの記事をぜひご覧ください。

この記事でも注目したいのが、IPホルダーがWeb3を活用することに対して慎重になっているという点。これに対して「これまでの体験にNFT発行を自然と付加していくことでまずは始めてもらう」のか、それとも「Web3らしい体験を打ち出していくことで、魅力を見せて誘引していくのか」のか。
私としては、どちらか一方ではなく、両サイドから多くのアプローチが生まれることによって成功体験を増やし、新たなIPホルダーの参入を増やしていく必要があるように思います。

やはり際立つAIの存在感

そして、IVS2023 の技術的なトピックとして、やはり触れなければならないのは、AI(特に昨今話題の生成形AIや、期待されるAGI/ASI)についてでしょう。

2022年からのChatGPTを代表とした各種生成AIの台頭により、「Web3の勢いが霞んでしまった」というような言説もありますが、Day2 Web3 Stage で「AI + Crypto Hackathon Demo Day」が開催されてたように、私としては両者を組み合わせることでより面白い体験が生み出せるのでは、と思っています。

つながるきっかけとしてのIVSから、次は何が生まれるかに注目

私にとって初の参加となった IVS。様々なセッションに参加しましたが、それと同じくらい価値があると感じたのは、他の参加者やブース出展者との交流でした。むしろ、IVSの価値はここにあるのだろうと思います。

会場の至る所で行われた情報交換やコラボレーションの相談などが、これからどのようなプロダクト・サービスに結びついていくのかを楽しみにしていきつつ、その一つとしてKultureからも面白いサービスを生み出せるように頑張っていきます。最後までお読みいただきありがとうございました!

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