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Reman
2015年10月16日 11:43
コオロギたちは秋の創造主を自負していた。熱風を涼風に変え、緑葉を落ち葉に変え、昼を短く夜を長くするのは、創造主たる使命として甘受していた。こんな伝承が語り繋がれていた。宇宙が擦り合い、音が生まれた。音は空と土を造り上げた。空と土は混じり合い太陽と月が産まれた。コオロギの始まりはこの二つの卵である。全てのコオロギはこの子孫である。年々コオロギたちの数は減っていたが、ここに一匹