【#教育007】9月に困らない夏休みの過ごし方
いよいよ夏休みですね。キャンプや海水浴など、普段なかなかできない経験ができる時期である一方、日中に時間を持て余してしまったり、つい夜更かししてしまうなど、生活リズムが崩れやすい時期でもあります。
長期休みの過ごし方についてお悩みのご家庭も少なくありませんので、今回は「9月に困らない夏休みの過ごし方」として、休み明けを見越した夏休みの乗り切り方のポイントをお話しします。
朝しっかり起きる
生活リズムが崩れやすいこの時期、特に大切なのは睡眠リズムをできるだけ保つこと。学校がある時と同じくらいの時刻に起きるのが望ましいですが、どうしても遅くなってしまう場合もあるでしょう。目安としては起床時刻が学校のある時と最大でも2時間以上ずれないようにしてみてください。
「休みの日はなかなか起きなくて」というご相談も、お子さんの年齢が上がるほどよく聞かれます。朝の日課を決めておくこと、たとえば朝の涼しいうちに散歩することや、朝食を一緒に食べるなど、親子ともども無理のない範囲でかまいませんので、何か決めてみるのも一つの方法です。
もし夏休み中に睡眠リズムが崩れてしまった場合には、学校が始まる1週間前くらいから、生活リズムを学校リズムに戻せるよう調整してみてください。
宿題のペース配分はお子さんに合わせて検討を
夏休みの宿題の進め方も「9月に困らないため」にはとても大切です。
宿題に取り組む際のポイントとしては「勉強できる思考状態を保つこと」「定期的に課題に取り組み定着させること」がまずは大切です。
そのため、一気に進めて終わらせてしまうよりも、ペース配分を考えて進めたほうがいいでしょう。お子さんによっては、数日で終わらせてしまって休みが明ける頃に学習内容を忘れてしまうこともあります。そのような場合は、特にコンスタントに少しずつ続けることで定着を図っていきましょう。
また、学校再開前の1週間は、学習で脳を活性化させておいたほうが、休み明けの授業へのスムーズな参加につながります。
休み中の学習は学校の宿題のみというお子さんもいるかと思いますが、スラスラと早めに解き終わってしまう場合には、「お子さんが追加で学びたいことを学ぶ」「お子さんが読みたい本を読む」など、時間がある時だからこそ取り組める「本当に学びたいこと」を取り入れながら進めると、その後の学習が「活きた学習」となっていきます。
一方で、特に小学校高学年から中学生に多いのですが、宿題が難しかったり量が多くてなかなか進まないお子さんも少なくありません。その場合には進捗の確認をしてみましょう。完璧主義のお子さんの場合ですと、休み明けに「宿題ができていないから学校に行けない」となってしまう場合がありますので、早めの確認、手助けをしてあげてください。
登校機会等を利用してやることを増やす
夏休みの期間中、比較的家にいることが多いお子さんには、学校の補習やプール教室、中学生以降なら部活動などに参加することをおすすめします。
学校に定期的に行くことで生活リズムも乱れにくくなり、登校の刺激が適度に入りますので、9月の登校の際にもお子さんの心理的負担が軽くなります。
家で時間を持て余してしまうと、ゲームや動画視聴等の時間が長くなってしまい、睡眠も乱れるなどの悪循環に陥ってしまうこともあります。ですので日々やることを増やしていくことが大切です。
登校できる機会があまりない場合には、自治体や児童館などで参加できるプログラムなどもありますので、調べてみてもいいかもしれません。
もともと学童クラブを利用しているお子さんは、夏休みの間も生活は整いやすいといえます。ただ、普段と違い放課後だけでなく長時間学童にいることになりますので、疲れもたまりやすくなります。帰宅後はゆっくりと過ごすなどのバランスも大切です。
お子さんと一緒に楽しい思い出を作る
日曜日やお盆休みなど保護者の方がお休みの際には、無理のない範囲で構いませんので、お子さんと楽しい時間を共有することも心の安定につながります。
帰省や旅行に限らず、日帰りで普段行かないところに一緒に行ってみる、お忙しいご家庭でしたら夕方過ぎに少し遠くの公園まで散歩をしてみるなど、ちょっとした工夫をするだけでもかまいません。
なお、お子さんだけでなく保護者の方も一緒に楽しめるものほど、よりよい思い出になるようです。保護者の方が楽しむ姿を見せることは、お子さんの感情面の栄養になり、秋以降の安定にもつながります。
夏の経験は大人になってもいい思い出として覚えていたりもします。出来事の大小にかかわらず、本当に小さな楽しさの共有でも心に残ることは多くあります。ぜひ一緒に楽しめる時間をとってみてください。
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「9月に困らない」という観点で、夏休みの過ごし方についてお話ししてきました。
最近では8月の最終週あたりから学校が再開する地域も増えていますし、夏休み明けに定期テストが控えている中学校もあります。それぞれのご家庭・学校の事情に合わせつつ、より充実した夏となるよう、ぜひお子さんと一緒に考えてみてください。
猛暑が続きますので、熱中症に気をつけて、よい夏をお過ごしください。
(山崎 衛 公認心理師/臨床発達心理士/特別支援教育士)
【追記】
平成26年に文部科学省が公表した不登校についての調査結果によると、不登校のきっかけとして2位にあげられているのが「生活リズムの乱れ」でした。特に夏休み明けは不登校が増える時期。夏休みに生活リズムを崩してしまうと、9月にいいスタートが切れなくなってしまうのはデータからも明らかといえます。
不登校とまではいかなくても、登校しぶりや、夏明けの気持ちの重さを少しでも軽くするためにも、夏の過ごし方をお子さんと一緒に考えてみてください。
「不登校に関する実態調査」文部科学省(平成26年7月9日)