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他人から向けられる性欲がキツイという記事を読んで、昔の恐怖体験が蘇った。

ついこの間、自分に向けられる性欲に対して嫌悪感を持ってしまう、という記事を読んだ。
記事を書いた人と想定読者は女性だったが、不思議と共感する部分も多いことに驚いた。というのは昔僕も性欲向けられて恐怖した経験があるからだろう。

性欲を向けられるという恐怖体験について、具体例を3つほど挙げてみる。
1. 海水浴場で出会ったアジア国籍の女性。
2. 大学の同級生でバイセクシャルの男性。
3. スーパー銭湯にいた見知らぬ男性。

自分で言うのも変な話だが、僕はハンサムではないし、そこまでモテた経験が多いわけでもない。
それでもそこそこバラエティに富んだラインナップを持っているのだから、世の中には同じ恐怖体験を抱えている人は意外と多いのかもしれない。

今日はこの中のうち、3. スーパー銭湯で出会った見知らぬ男性。について書いていこうと思う。



時は10年ほど遡って大学生の時。体育会に所属しハードに鍛えていた僕は控えめに言ってもいい身体をしていた。
そこそこ太い腕、割れた腹筋、逆三角形の背中。競技の特徴から大胸筋は発達していなかったけど、いわゆるスポーツマンの身体をしていた。

たしかあれは冬場の練習が終わった時のことだった。
基礎トレが多くなる冬場の練習は疲労感を伴うので、身体のケアの一環として練習場近くのスーパー銭湯へ行くのが部内の流行だった。

その日も例によって後輩たち数名とスーパー銭湯へ行こうという話をしていたところ、ある後輩が急にこんなことを言ってきた。

「あの銭湯へ行くとパンツがなくなることが多いんですよね。気をつけてくださいね。」



別れ際に不吉な言葉をかけられ気が削がれかけたが、当時の僕は若く、恐れを知らない若者だった。やられたらやり返せばいいのだ!と軽く考えていた。それが間違いだった。

スーパー銭湯についた。風呂に入る前にコップ2杯の水を飲み、湯船に浸かった後サウナで汗を流すのがいつものルーティンだ。

一通り湯船を堪能した後、
「サウナに行ってくる。」
後輩にそう告げて僕はサウナに移動した。


サウナは無人だった。
僕だけかもしれないけど、無人のサウナは妙な開放感を感じさせる。灼熱の空間が人の思考を鈍らせ、気持ちをハイにさせるのだろう。僕はすぐに綿の腰巻き(=タオル)を外し、生まれた時の姿となって腰を下ろした。

1-2分ほど経った後、別の人が入ってきた。
「開放感も終わりか。。」なんて考えていると、その人はが僕の真隣に座ってきた。10人は入れる広めのサウナで、である。

「まずいことになった。」
当時の僕の率直な気持ちである。
平時であればすぐさま距離を取るのだが、何故かすぐに距離を取ると相手に不快感を与えるのでは?という謎の配慮の気持ちが生まれた。

「1分だったら出て行こう。」
そう決心して心の中で数を数え始めた。隣から文字通り“熱い視線”を感じるような気がするが、きっとぼくの思い過ごしだろう。暑さは感覚すら鈍らせるものだ。

30分にも感じられた、長い1分が経った。
機は熟した!とは言わなかったが、この時を待っていた。
逃げるように立ち上がったその時、隣の男性に尻を揉まれた。綿の腰巻きもなかったので、生のお尻である。
 
人間というものは想像だにしない恐怖に出くわした時硬直するものだとこの時初めて理解した。やられたらやり返す、なんて思考は思い浮かばなかった。
思い浮かんだ思考はただ一つ。「まずい、ヤられる」である。

サウナから飛び出して、後輩を急いで見つけてこう伝えた。
「この銭湯には魔物が住んでいる。逃げるぞ」


この出来事以来、スーパー銭湯に行くことはめっきり少なくなってしまった。この恐怖を塗り替えるにはまだまだ時間がかかるだろう。

だいぶ話は逸れてしまったが、言いたいことは、性欲だけでなく感情を他人にぶち撒けるのはできる限り避けた方がよいと思う、ということだけだ。

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