音楽は、夢の中の風をよむ。
アナロジーによる思考のスライド、そして飛躍。つまり「誤謬の論理」によって、パースを生み出し空間を立ち上げる。それが僕の次元における「思考のダブミックス」だ。
空間が立ちあがることで、音が生まれる。音は空気の振動だ。ダブミックスは低音と高音に極端なまでのエフェクトをかける。大蛇がうねるような、または地鳴りのような、腹の中に直接響く太くて真っ黒い低音の塊。飛び散るようにこだまする冷たい高音の破片。巨大なサウンドシステムを通して、それらの音の振動が僕の鼓膜、皮膚、細胞、核を解放する。
僕が「思考のダブミックス」により立ち上げる空間は「夢」。メキシコの呪術師たちは夢を媒介に精霊たちと待ち合わせ、ナワルという獣になる。沖縄、奄美のユタたちは夢で先祖や神の声を聞く。アボリジニたちは我々とは全く別の時間軸「ドリームタイム」を生きる。
「夢」という空間は別の次元への隠し通路につながっている。僕は、僕が立ち上げたいびつな空間のなかに音を鳴らすことで隠し通路から流れている風をよむ。
僕は夢の中の風をよむ
僕は夢の中の風を読む
僕は夢の中の風を詠む
風よみ
風読み
風詠み
風黄泉
言葉にディレイをかける。
ダブミックス。
誤謬のパースが生まれる。
空間が生まれる。
空間には音が流れる。
音が流れるところには、別次元からの風が流れている。
僕は「夢」のなかに音楽を鳴らす。
そして流れる風をよむ。黄泉からの風を読み、黄泉からの風を詠む。
それが僕の音楽だ。
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