天秤秤Age.51:鯨の鼻骨
鯨の鼻骨/藤田美香
それぞれの目線で秋を愛でながら犬とゆっくり黙って歩く
朝のひかり夜のひかりを繰り返し辿ればプラスαが届く
そうやって歩いているのか急く人にどんどん越される長い地下街
この雨は冷たいわざわざ置いてきた傘の模様を思い出せない
キャラメルの包みの小さな折鶴が低く飛ぶので冬がたちまち
店先の柿になりたい選ばれて買い物かごに入って、そして
ことばへと逃げればそこにも沼があり私の斧は私の斧だ
鎖骨に金魚を飼う人がいてそれならば鯨の鼻骨に私は住もう
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サルビアの蜜だけ吸って生きていく来世の話で恐縮だけど
現代短歌九月号、読者歌壇で天(特選)をいただいた歌です。
選者は大好きな荻原裕幸さん。
評に「人生論だかそんな説教くさい話になったのを、こんな風にちゃかしたのか。あるいは本気の願望か(抜粋)」とあった。
更に十一月号で「この歌にも惹かれたことを申し添えておこう」と言っていただいた。投稿した中でいちばん好きな歌なのでとてもとても嬉しかった。ということを踏まえて、どうしても言いたかったのでここで。
荻原さん、そんなの本気に決まってます。
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★最初に書いたけどあとがき★
江頭2:50さんにどハマりしてます。
以前は嫌いだった彼の芸風。
私、下品なことをやっても下品にならない人が好きなんです。
そんな人にほぼ出会ったことはないけど。
江頭2:50さんはその希少なひとりです。
ただただ笑って見ていられる。
人は変わるんだなあと思います。
変わっていいよなと思います。
変わらなくてもいいんだよなと思います。
どうなったって私は死ぬまで私ですよ。
「建前」も「素」もどれも本当。
なんてことを最近、思っています。
わざわざお読みいただき
本当にありがとうございます。
あなたがそこにいてくれることに
いつもとても感謝しています。
私は、私の歌を。
■写真と短歌「クジラと蛇口」
@kujira_jaguchi
■まひる野
天秤秤Age.51
2022.10.16発行
編集・発行/藤田美香
@w_isana
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「天秤秤」とは、年1回誕生日に発行するネットプリントです。
が、ネットプリントを出力しなくてもお読みいただけます。
今回はネットプリントにすら、しておりません。
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