マガジンのカバー画像

42
生命の火花。
運営しているクリエイター

#詩

この世が有限であることの証明

星とたった二人きりになりたい。

隣に恋人がいたとしても、その瞬間だけ忘れてしまうくらいに。わたしの影は星明かりにスポットライトを当てられ、ワープしてしまうの。宇宙に投げ出され、種族の殻を溶かしたわたしは、宙を駆る。上も下もなく、泳ぎだす。

もしもこの世界が無限だったら、きっと星々の存在が知られることもないくらい、輝きしかないんだろうね。あるいは、弱肉強食を具現化するように蠢いて、お互い

もっとみる

病室の詩

四角く均一化された不気味なほど磨かれた白い部屋に妖しく輝く緑のピクトグラムは、常時別世界へ誘う。隣は脳神経外科患者のうめき声。リアルお化け屋敷ができるほど、人間こそ異種なのね。
コンビニへ夜食を買いに行く健気さがあれば、大丈夫という言葉が嘘をつかずに済むんだよ。一緒にアイスをほうばる恋人なんていなくても。
点滴と共にスマホの充電器をぶっ刺すのは失礼かと思って、電池切れまで放置しては孤独

もっとみる
星に願いを

星に願いを

ねえ一緒に死のうか。

イルカはつぶらな瞳のまま、ボクの手を突っついた。
イルカは大きく口を開けた。ボクには聞こえない超音波で、喉も裂けろと叫んだらしかった。
プラネタリウムの電源をオンにする気軽さで、真っ暗な夜が満天の星空に変わった。

仲間がいるよ、とイルカは誘った。
無数の星々は区別なく蠢いて、押し競饅頭していた。みんな必死だった。

ボクの涙腺は再起不能だったから、もはや普通の

もっとみる