病室の詩

四角く均一化された不気味なほど磨かれた白い部屋に妖しく輝く緑のピクトグラムは、常時別世界へ誘う。隣は脳神経外科患者のうめき声。リアルお化け屋敷ができるほど、人間こそ異種なのね。
コンビニへ夜食を買いに行く健気さがあれば、大丈夫という言葉が嘘をつかずに済むんだよ。一緒にアイスをほうばる恋人なんていなくても。
点滴と共にスマホの充電器をぶっ刺すのは失礼かと思って、電池切れまで放置しては孤独を肌に着る。もはや郷愁が相棒だ。お手本的感情をひっくり返して窓を見つめたって、ドラマみたいなそよ風一つ感じられない。
お見舞い願ったツイートはしてあげないよ。次は君が寂しくなる番だからさと裏垢で呟ける友達もいないからWiFiは滅びればいい。
憐れみの目で見つめられるほど哀れなことはなく。親や親戚がわたしを機械同然に覗き込む。臨時のホームルームなんてやらないで下さい。
わたしは大丈夫、を繰り返し、台風の目として空虚な真ん中で一人ぽっち幸せになります。

#詩 #死

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