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星に願いを

ねえ一緒に死のうか。

イルカはつぶらな瞳のまま、ボクの手を突っついた。
イルカは大きく口を開けた。ボクには聞こえない超音波で、喉も裂けろと叫んだらしかった。
プラネタリウムの電源をオンにする気軽さで、真っ暗な夜が満天の星空に変わった。

仲間がいるよ、とイルカは誘った。
無数の星々は区別なく蠢いて、押し競饅頭していた。みんな必死だった。

ボクの涙腺は再起不能だったから、もはや普通の顔となってしまった無表情な仮面のまま、イルカのいう仲間を見上げた。

どっちみち、ボクは死ねなかった。イルカは意地悪だ。

#小説 #詩 #寓話

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